『プレスマンのお札』
ある男の女房の実家が普請をした。女房は身重であったので、男が一人で新築祝いに行くことになった。女房は普通の女であったが、男のほうは、何本か抜けたような感じであったので、女房は心配して、男に秋葉様のお札を持たせて、もし、新築の家の柱に節があったら、父はそのことを大層気にしているはずだから、秋葉様のお札を張ると、火よけになって、節も隠れてちょうどいい、と言うと、喜んで何か土産をくれるはずだ、と教えた。
男が女房の実家に着くと、女房の父親が出迎えてくれ、家のあちこちを案内してくれた。女房が教えてくれたとおり、柱に節がないか探したが、きれいな柱ばかりで、節が見当たらない。間もなく家をくまなく見てしまい、座敷で茶を勧められた。これだと、秋葉様のお札の使いどころがないので、しゅうと殿、何か穴が空いて困っているようなところはござりませんか、と尋ねると、女房の父は、はて、そのようなところは思い当たらないが、プレスマンの芯がよく折れて困っている、と答えた。男は、はたとひざを打って、しゅうと殿、このお札を使いなさい、と、秋葉様のお札を差し出すと、女房の父は、婿殿、これは秋葉様のお札ではないか、なぜ火よけのお札をプレスマンに使うのだ、と尋ねられたので、芯じる気持ちが大切です、と答えると、座布団をとられた。
教訓:落ちは大切。落ちのために全てがあるといってもいい。そういう意味では、深く反省している。




