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第2話

「学科の他の友達にはちょっと頼みづらいんだ。だから他の学科の人とかに頼んでる。活動自体は数人いれば十分できるし、その数人にはあてがある。だからあと必要なのは人数だけなんだ」

なにかを取り繕うように軽く笑い、止まっていたスプーンを動かす。それにつられるように僕も一口。一体なにがあるというのだろう。頼みづらい理由の候補というのはさして多くないように思う。周りがすでにサークルに入っているだとか、学外の活動、例えばバイトが忙しいとかがぱっと思い浮かぶけれど、バイトで言ったら僕もしている。わざわざ僕に頼むというのはなにか別の理由がありそうだ。まあいずれにせよ僕がサークルに籍を置くメリットはないだろう。籍だけというと特に問題もなさそうな印象を受けるけれど、なにかにつけて活動を求められたり、学祭の準備だとかに駆り出されれたりしそうだ。

「俺だって同じ学科の人だ」

「神無は別だ」

「なんで」

「んー。えっと、暇そうだから?」

何て失礼な評価だ。僕はサークルに入っていないだけで何もしていないわけじゃない。趣味といえることは本を読むことくらいだけれど、それだって立派な趣味だし、カフェでのバイトもそれなりに板についてきて楽しくなってきたところだ。

「俺だってバイトはしてる」

「それは知ってる。ああ、えっと…」

少し目をぎゅっと瞑ったかと思えば、覚悟を決めたかのように目を開き、

「お願い!まじで!神無にしか頼めないんだ!」

何故サークルの勧誘ごときでこんなに必死なのか不思議に思ったが、いずれにしてその熱量はなにか隠してそうで胡散臭い。だとしても、ここまで頼まれて断るのはもはや友達ではないのではないか?仮に今友達だとしても、これを断る事で多少なりとも気まずくなったら友達が少ない僕にとっては困るかもしれない。望月とは同じ授業を取ったりたまに学食でご飯を食べたりするくらいで個人的に遊びに行くことはないが、それなりに仲はいい、と思う。そんな友達の頼みを完膚なきほどに突っぱねるのは、人でなしだと誰かに言われそうだ。別に人に言われてどうこうという人間ではないけれど、常識を重んじる自分の中のもう一人にそう言われた気がした。うーんとかどうしようかなとか言っている間にそんなことを考える。

「その必死さはなんか怪しいけど、そこまで頼まれたら断りはしない」

「本当に!?その超回りくどい返事はあれだけど、ありがとう!」

 余計な一言を足さないでほしい。

「じゃあサークル加入の書類は持ってるから、今書いて!」

 抜かりないことで。食べ終わった食器を返しに行き、書類に自分の名前を書く。

「はい。書いたよ」

「ありがとう!じゃあ基本毎週木曜にあるからよろしく!」

「え、籍だけでいいって」

「たまにでいいからさ」

「ええ…」 

 嘘をついて契約させるなんて、何かしらの法に引っかかるだろうと思ったけれど、あいにく文学部なので黙っておくことにした。

小説書くのって大変ですね。

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