表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お人好しヒーラーは本当はのんびり暮らしたい  作者: たわしまつわ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/50

第十三話 村の子供達と一休み

 苦戦を制して、見事にレッサーコモドドラゴンを討伐したセイン、ジョルダン、マリサ、カーラの四人組。冒険者ギルドへと引き上げ、明日の探索に備えるのだった。

「へえ、今日は二体も魔物を倒したの。大したものだわ」

 冒険者ギルドに戻ると、ギルド長の妻、ナタリアが出迎えてくれた。まだ昼過ぎの早い時間である。結果を報告すると、そんな風に褒めてくれたのだった。

「はい。頑張りました。それで魔石二つ、引き取りお願いします」

 ジョルダンが魔石を取り出して差し出す。今回はラージウルフとレッサーコモドドラゴンの二体分である。

「銀貨二枚と三枚、合計五枚ね。ご苦労様。確かに魔石は受け取ったわ」

 ナタリアが換金して、銀貨をジョルダンに手渡す。これで今日の探索は全て終わりである。

 そこで、ナタリアが頼みごとをしてきた。

「ちょっと四人に頼みがあるの。まだ時間も早いことだし、アイナとポルタの様子を見に行ってくれないかしら。友達と遊んでると思うんだけど、もし良かったら、一緒に遊んであげると、子供達も喜ぶと思うの。あなたたちみたいなお兄さん、お姉さんと一緒に遊べることって、滅多にないから」

 四人が顔を見合わせた。二回魔物と戦ってきたが、体力にも気力にもまだ余裕はある。確かに、自分達が子供の頃にも、年上の人と遊ぶのを喜んでいた記憶が鮮明に残っている。せっかくだし、誘いに乗って、この村の子供達となじむのもいいことかもしれない。

「分かりました。せっかくの頼みですから、一緒に遊んできます」

「ありがとう。多分、今日は村の中央の広場で遊んでいるはずよ」

 日によっては野原で虫取りをしたり、川で魚釣りをしたり、森の中で探検ごっこをしたり、いろいろと遊びがあるのだろう。その辺は容易に想像がついた。

「では、荷物を置いたら、行ってきますね」


 そして四人は、身軽になって村の広場へとやってきた。

 子供達は全部で八人。全員、学舎に通う年代、つまり七才から十一才までの男の子達、女の子達だった。今はちょうどかくれんぼをしているらしい。

「もういいかい」

「もういいよー」

 オニ役はナタリアの娘アイナだった。

「やあ、アイナ。かくれんぼかい?」

 ジョルダンが声を掛けると、アイナが笑顔で答えてくれた。

「みなさん、おかえりなさい。そうです、今はかくれんぼの最中です。ご覧の通り、私がオニなんですけど、まあ、見てて下さいな。すぐに全員見つけて見せます」

 この広場は木で囲まれていて、建物は物置小屋が二つ。それほど隠れる場所は多くなさそうだった。ただし、隠れた後の移動はありだ。賢い子は、オニの様子を見て、一度探した場所が盲点となることから、上手にそこへと逃げ込むことがあった。

 しかし、アイナはその辺も計算に入れた上で、上手に隠れた場所を探し出していく。一人目は小屋の陰にいたところを即座に見つかった。二人目も別の小屋の物陰にいたが、続けざまに見つかっている。弟のポルタは、小屋の近くに生えていた木の裏に潜んでいたが、やはりすぐ見つかった。

 そんな具合で、全員を見つけるのに五分程度で終わっている。さすがはアイナ、遊んでいる子供達の中でも最年長の十一才だけのことはあった。

 一段落着いたところで、セインが四人を代表して声を掛けた。

「僕達も一緒に遊んでもいいかな」

 その申し出は子供達にとって意外だったようだ。何せ、四人共一応は冒険者で、魔物を討伐する人達なのだ。しかし、少し年上の人に遊んでもらえるのはうれしいようで、口々に、やった、楽しそう、などと話していた。

「それなら、私がもう一回オニをやるわ。セインさん達も隠れて下さい。絶対に見つけてやりますから」

 四人の参加は、アイナのやる気に火をつけたようだった。とても気合の入った表情で、目を閉じて数を数え始めた。

「一、二、三……五十。もういいかい」

「まあだだよー」

 セイン達四人も、本気を出して隠れることにした。それぞれ思う所へと移動し、姿を潜ませる。

「……百っと。もういいかい」

「もういいよー」

 アイナが気合を入れて探し始めた。子供達はいつもの調子で、順に見つけられてしまった。さて、冒険者の四人はさてどこだろう。アイナは楽しそうに木の裏や小屋の物陰を当たっていく。

「ジョルダンさん、見ーつけた」

 四人で一番最初に見つかったのはジョルダンだった。やはり体格が良いので、隠れた場所から体がはみ出してしまっていたのだ。

「そういうの、頭隠して尻隠さずって言うんですよ」

 アイナがしたり顔で言う。ジョルダンは苦笑して頭をかいた。

 二番目はマリサだった。人が通れなさそうな灌木と灌木の間に、うまく身を潜ませていた。普通は見落としそうな場所だったが、それでもアイナはさすが遊びの達人、見事に発見していた。

「マリサさんも見つけました」

「残念。ここならいけると思ったんだけどなあ。さすがアイナね」

 マリサはそう言って、笑みを浮かべて灌木の間から出てきた。

 ちょうどそこでアイナが振り返って小屋の方を見ると、そこにセインがいた。何と、屋根の上である。

「セインさん、見ーつけた」

「あちゃあ、バレちゃった」

 小屋の周辺でも、隠れ場所と言うと下ばかりに気を取られがちなので、見つかるのが遅かったのだ。しかし、遠くから見ると一目瞭然なのである。しかし、さすがセインも田舎村の出身、小屋の屋根に上るのも朝飯前だった。探す側の盲点を見事に突いていた。

 そして、最後まで見つからなかったのがカーラである。さすがシーフだとみなが感心していたが、五分、十分過ぎてもまだ見つからない。まさか本気を出して潜伏魔法でも使っているのではないかと、パーティの仲間が疑い始めた頃、ようやくアイナがうれしそうな声を出した。

「カーラさん、やっと見つけました」

 こちらも木の上だった。太い枝の上に隠れていて、下から見上げても見つからない位置にいたのだった。横から見ても、他の枝が邪魔をして見づらくなっており、それで見つけるのに時間がかかったのだ。さすがにカーラも潜伏魔法は使っておらず、技だけで勝負していたのだった。

「すごいや、お姉ちゃん。よくそんな木の上に登れたね」

「全然分からなかった。さすが冒険者のお姉ちゃんだね」

 子供達がみな一様に感心していた。ちょっと本気を出し過ぎたかと、カーラは少し気恥しそうに、木から降りてきた。

「ねえ、ねえ、ダンジョンの話聞きたい」

「魔物と戦ったんでしょ。どうやって勝ったのか知りたい」

 カーラの隠れぶりに感心した子供達が、冒険者の凄さを改めて知って、そんなことを口々に言ってきた。八人全員が同じ考えに至ったようで、代表してアイナが頼んできた。

「どうか良かったら話して下さい。みんな楽しみなようです」

 そこまで言われては、断るのも無粋だろう。

 ジョルダンが代表して話を始めた。

「今日は二回も魔物と戦ったんだ。一回目はラージウルフっていう、大きな狼の魔物でね」

 そう前置きして、戦いの様子を身振り手振りを交えて、詳細に語った。

 時々、セイン、マリサ、カーラも補足していく。滅多に聞けない魔物との戦いの話に、子供達も大喜びだった。

「二回目はレッサーコモドドラゴンっていう、すごく固い大トカゲの魔物だったんだ。さすがにすごく苦労してね」

 苦戦する場面になると、子供達も心配そうな表情を浮かべてきた。

「危なくなかったの?」

「それは危ないわよ。噛まれたら、大ケガ間違いなし」

「尻尾の攻撃を受けても、間違いなくケガするわね」

 カーラとマリサがそう言うと、うわ、おっかねえなどと、子供達が怖れて声を出した。

 そしてセインのシールドで守り切り、ジョルダンとカーラで傷を深くし、マリサの魔法でとどめを刺したところで、子供達の興奮も最高潮に達した。

「すごい、そうやって勝ったんだ」

「さすが冒険者。かっこいいなあ」

 そんなこんなで、結構な長話となった。日も傾いてきて、そろそろ解散という時間になっていた。

「それじゃあみんな、今日は解散ね」

「うん。冒険者のお兄さん、お姉さん、今日はありがとう」

「また時間があったら、一緒に遊んでね」

 子供達が口々に言って、手を振って立ち去っていった。彼らにも、家に帰ってから、家事の手伝いや公衆浴場に行く用事などがある。学舎で学び、たくさん遊び、家の仕事もこなしてと、心身共に健康に育っていた。

「つい四年前までは、私達もあんな風だったわね」

 マリサが懐かしそうに言った。三年間の学院生活が充実していたので、そちらの方が思い出深い。それでも子供の頃の記憶もまだ色濃く残っている。

「そうだな。俺は遊びもチャンバラが多かったけどな」

「あたしは道具いじるのが多かったわね。楽しかったの覚えてる」

「僕はアイナ達みたいに、友達と遊ぶことが多かったな」

 他の三人も、懐かしそうに過去を振り返っていた。

 アイナがそんな四人の姿を見て、改めて礼を言った。

「今日は一緒に遊んでくれてありがとうございました。みなさんを見ていると、冒険者を目指すのもいいなって、改めて思いましたよ」

「アイナ姉ちゃん、ずるいよ。僕だって冒険者になって、お父さん、お母さんのお手伝いがしたいんだよ」

 弟のポルタが口を尖らせた。何とも平和な光景だった。


 その日の夕食は、とても和やかに進んだ。

「そっか、アイナとポルタも四人と遊べて良かったか。魔物退治の話も聞けて、子供達も大喜びだっただろう。ありがとうな、みんな」

 タイロンが笑みを浮かべて礼を言ってきた。

「いえ、こちらこそ、童心に戻れて楽しかったですよ」

 ジョルダンがそう言うと、マリサが苦笑しながら言葉を付け足した。

「でも、私達も、まだ子供の延長だなって思って。もっと経験を積んで、一人前になるよう頑張らないと、とは思いましたけどね」

「あたしも同じ意見。冒険者は命懸けなんだから、しっかり頑張らないと、とは思いました」

 カーラもそんなことを言った。セインは頼れる仲間達に感心しつつも、相変わらずの口調で言うのだった。

「でもまあ、これで四体も魔物を倒せましたし、順調かと思ってます。なので、焦らず、着実に力を付けられるよう、努力していきます。タイロンさん、ナタリーさん、アイナ、ポルタ、これからもお世話になりますけど、どうかよろしくお願いします」

 その言葉で、四人が一斉に頭を下げた。

 まだまだ先行きは長い。おいしい夕食を頂き、この日もゆっくりと休んだ四人組なのであった。

 村の子供達との交流編です。戦闘続きだったので、ほっと一息ついた感じですね。まだまだダンジョン探索は続きますし、戦闘もあります。これからも、レベルが上がるまで頑張っていく四人の姿を描いていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ