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丹薬

丹薬


この時、丹陽子は李火旺が何を考えているか全く気にせず、すでに恐れおののいている弟子たちに訓示をしていた。


「これから誰かが不埒な心を持つようなことがあれば、今日見たことを思い出せ!」


丹陽子のこの言葉に、全員の心は一瞬引き締まり、目の中の恐怖がさらに増した。


彼は手を背にして方歩を踏みながら、自分の弟子たちの前を歩き、その鷹のような目が全員の顔を見渡した。


「道士である私が言う、他人を助けて仙人になるのは大いなる功徳だ。もし私が仙人になったら、あなたたちの恩を忘れない。しかし、もし誰かが私の良いことを台無しにしたら!ふんふん!!」


言葉が終わるや否や、彼は突然李火旺の前に立ち止まり、目の前の他の弟子とは異なる表情の少年を見つめた。


「お前のような幻覚を、私は恐れない。お前は私の頭の中の一つの考えに過ぎない!」李火旺はそう考え、冷静に目の前の癞子頭の師父と対峙した。


丹陽子が汚れた右手の爪の間から指を立てると、洞窟の雰囲気が少し重くなり、他の人々はこの師兄が師父に逆らう勇気を持っているのを見て、師父がこの男をどう処理するのかを待っていた。


ところが、丹陽子の表情は突然和らぎ、上げた右手を李火旺の頭に軽く叩いた。その重苦しい雰囲気は瞬時に消え去った。


「昨晩の裏切り者たちが、お前を一緒に逃げようと誘ったのに、なぜ断ったのか?」


この言葉は李火旺に向けられたように見えたが、実際には彼への賛美だった。


李火旺が口を開こうとした瞬間、丹陽子が右手を上げた。


「無駄なことを言うな。お前は本道士に適時報告しなかったが、あの心に不満を抱く徒弟たちと比べれば、お前は十分に良い。」


彼の手が下ろされ、さらに続けて言った。「お前は才能があると思う。これからは料房で働く必要はない。お前は本道士の記名弟子になる。」


李火旺は一瞬驚いた。自分の地位が上がったのか?しかしすぐに気づいた。この洞窟でこんなに多くの人が死んだのだから、彼の周りの手助けは足りなくなるだろう。


「そうだ、既に本道士の弟子になったのだから、教に入った以上、道号が必要だ。これからお前の道号は玄陽だ。」


李火旺は隅の円形の洞をちらりと見た。前の玄陽の惨状が彼の脳裏に一瞬浮かび、「おお、この名前は本当に縁起が悪いな」と心の中で思った。


この待遇に李火旺はあまり気にしていなかったが、料房の他の人々は一瞬目を輝かせ、非常に羨ましがった。丹陽子の記名弟子になれば、死ぬことはなくなるのだ。


しかし、丹陽子にとってはそれだけでは不十分で、大きな棒の後にはもっと多くのデーツを与えなければならない。「玄陽よ、教に入ったばかりだから、本道士も少し気を使わなければならない。」


自分の名前を呼ばれた李火旺は急いで彼のそばに行き、どうやら何かをもらうようだと感じた。


丹陽子は腰のひょうたんから五つの黒い丹薬を取り出し、李火旺の掌に置いた。


「しっかり持て。この五つは本道士が調合した神仙丹薬だ。これを食べれば、十年の陽寿を延ばすだけでなく、一時的に大力神通を得て命を守ることができる。」


李火旺は眉をひそめてその丹薬を前に置いた。「これが人を使って調合されたものではないだろうな?」


彼がそう考えていると、李火旺は突然、手の中の一つの丹薬が微かに転がり、円形から楕円形に変わり、何かが中から出ようとしているように見えた。


再度じっくり観察すると、その丹薬には何の変化もなかった。


「まさか、私の神経が狂ったのか?幻覚の中のことを気にしてどうする?これはすべて偽物だ。絶対に再びはまってはいけない。」


李火旺は悔しそうに手で自分の頭を叩いた。

丹陽子は李火旺の異変に気を留めず、残りの人々に目を向けた。「見たか?道士に逆らうのは死への道だ。しかし、道士を助ける者には報酬がある。そして、その報酬は重いぞ!!」


全員の視線は丹陽子と丹薬の間を行き来し、心の中ではそれぞれ何を考えているのか、彼ら自身にしかわからなかった。


目的を達成した丹陽子は、汚れた長袖を振り払い、全員に散らばって仕事を続けるように指示した。


李火旺はもう料房に行く必要がなくなった。彼の道号は玄陽であり、以前の玄陽が持っていたすべては彼のものになった。地位、道袍、さらにはその独り占めの小さな溶洞も。


しかし、今の彼はこれらの幻覚の中で起こるすべてのことを気にしていなかった。彼が本当に気にしているのは、自分が得たものだった。


彼は両手を胸に抱き、白い病室のシーツの上にある二つのもの、玉佩と丹薬を見つめた。


「なんと、これが本当に持ち出せたとは。」


しかし、今の李火旺は困惑していた。古い問題が再び彼の前に立ちはだかり、彼はそれに向き合わざるを得なかった。


「もしこの丹薬を持ち出して、食べたら本当に効果があったら、この場所は果たして幻覚なのか?自分は一体どうなっているのか?」


彼は以前、医者の指示を真剣に守り、あちらのすべてを幻覚だと固く信じていたが、このものが確かに目の前に存在していることで、彼の心は揺らぎ始めた。


もしこれが本当に幻覚なら、なぜこのものが実体化したのか?自分にどんな危害があるのか?


もしあちらが別の世界なら…。


師父に丹薬にされた狂った師姐、黒鼎に飲み込まれた玄陽、さまざまな恐ろしい映像が彼の脳裏に次々と浮かび、彼の呼吸は速くなった。


「うわ!!うんざりだ、相談できる人もいない。」イライラした李火旺は両手で自分の頭を掻きむしった。


発散した後、李火旺は現実に向き合わざるを得なかった。長い間考えた後、彼は自分の対処法を確定した。


幻覚のあちら側が本当に真実であろうと、そうでなかろうと、彼は以前のようにできるだけ協力し続け、完全に本当だと思い込むことにした。


もし万が一本当なら、自分も身を守れる。


もし偽物なら、自分には何の損傷もない。


まずはこれらの送られてきたものの真偽と価値を確認し、その後でさらに計画を立てる。


対処法を決めた李火旺は深呼吸し、食指と親指で一つの丹薬をつまみ上げ、目の前に置いた。


「ダメだ、自分で食べるのは危険すぎる。」彼の視線は外の庭で日向ぼっこをしている患者たちに向けられた。


心の中で一瞬の葛藤があった後、彼は諦めて丹薬を下ろした。彼らも自分と同じように可哀想な人々だ。どうして彼らに薬を試させることができるだろうか。後で時間があれば、小さな白鼠を見つける方法を考えよう。


続いて李火旺はその円形の玉佩に目を向けた。丹薬に比べて、これの扱いはずっと簡単だった。


「さあ、何の用だ?私は壁を越えて出てきたんだから、もし悪戯なら、ふんふん!」ヤンナは白い小さな拳を握り、李火旺に脅しをかけた。


「妹よ、兄はやむを得ず君に手伝ってもらうために呼んだんだ。君も知っているだろう、私は本当に出られないんだ。」


李火旺はそう言いながら病室のドアを閉め、カーテンを引いた。

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