第97話 チャーレル市と神像の祠
主人公は朝方走って、彼方此方に転移できる様に座標刻印と場所指定をする事にし、今朝から走り始めました。
戻って来て、二度寝をし、皆との朝を迎えるようです。
今日も、朝はマドリーンが起こしてくれた。
なんでも、アリーサとクラリッサは俺が朝まで働いていたから、もう少し寝させておこうと言う意見だったそうだ。
気を使い過ぎだよな。
その気遣いも愛おしいんだけどさ。
食堂での朝食を終えて部屋に戻り、クラリッサに抱きかかえられたメルに食事を与えていると「今日からは何をするつもりなの?」と聞いて来たマドリーンを含め皆が具体的なスケジュールが聞きたい様だ。
「今朝方チャーレル市に到着したから、そこから魔飛空船に乗って隣の国へ移動。
それが終わったら、ここに戻って来て、料理神の祠か未発見のダンジョンへ行きたいかな。
ああ。その前に冒険者ギルドの登録が必要なのか」
「そうだね。と言うか王都の近くに未発見のダンジョンが有るの?」と、マドリーンは半信半疑って感じ。
王都の周りには、既に3つもダンジョンがあるしね。
と言うか、全ての王都の周りに発見済みのダンジョン3つ。
それプラス、魔族の領域との緩衝地帯とされている国の王都以外には必ず未発見のダンジョンが1つある、と言うのは不自然だけど、まあ、そういう風に世界が創られているんだろうな。
そう矛盾に突っ込みつつ「ああ。お告げが正しいならね」と言って置く。
「どちらのダンジョンにするの?」と、マドリーンから聞かれたので、ここでどちらに行くか決める事にする。
「正直、料理神の祠は、まだ難しいかもしれないから、未発見のダンジョンかな。
多分、地下3階までしかないから、1~2日で宝箱を回収できるし」
「そっか。じゃあ、準備しておくね」と、マドリーンがアリーサとクラリッサの方も見ながら言ってくる。
「ああ。その為の資金として」と、1枚10万GAZUであるアダマンタイト製硬硬貨を1個ずつ渡す。
「良いの?」とマドリーンは金額の多さに驚いている感じだけど。
「必要な物を買っておいて。服とか個人のモノもそうだけど、パーティとしてもね」
そう言うと「そっか。必要経費だね」と言うマドリーンは買い物が出来るのが嬉しそうかな。
「隣の国へ行って帰ってくるだけだから多分1~3時間程度の時間しかないから、そのつもりでね。だとすると、そんなに買い物をする時間は無いかもしれないけど」
「うん。わかった」とのマドリーンの返事を聞いて、俺は地下室に行き簡易転移を使用。
簡易転移の方が、勇者候補・勇者のみの力だからか、限定されている力だからか、空間魔法の転移より消費MPが少な目なのをスキルに聞いて確認したから。
そんな細かい事もチェックしつつ、チャーレル市の近郊へと移動した。
街道を通り、チャーレル市の城壁にある門へと。
近くに鍛冶神の祠があるから、発展しているだろうとは思ったがその通りだ。
祠にある神像に金銭を奉納して祈ると生産系や特殊系に転職出来る様になる神像の祠。
祠とは言っているが、転職条件が得られる特殊なダンジョンだ。
そして、その祠にもランクがある。
Cランクの祠なら、その祠で一番強い魔物のボスがCランクになるのだけど、例外もある。
その例外が、チャーレル市の近くにある鍛冶神の祠と、近いうちに行こうと思っている薬神の祠で、神像の間がダンジョンの中ほどにあり、その神像の間の前にいるボスがDランクなんだけど、その奥に向かうとボスよりランクが高く強い魔物が居る。
なお、ゲームではこの祠のランクの差には理由があるとされていて、一つは稀有な職業であるとランクが上がる。
例えば、同じ5級職への転職条件が得られる祠であっても、料理士へと転職が可能になる料理神の祠のボスはCランクだけど、より貴重で稀有な力を持つ錬金術師へと転職が可能になる錬金術神の祠のボスはBランクだったりする。
それとは逆にこの鍛冶神の祠の場合だと、転職条件を得られるのが3級職の採掘士だ。
だから、ボスのランクがDで転職条件は得易いと言われている。
具体的に言うと、このチェーリア市の祠の場合、祠の中ほどにある神像で一定額の金銭の奉納をして転職条件を得られるので採掘士への転職が可能になる。
そして、3級職である採掘士のレベル上限であるLV30になると、その上位職である5級職の鍛冶師へと転職が可能となる理だ。
つまり、鍛冶神の祠で得られるのは、3級職の採掘士職だけでなく5級職の鍛冶師職も得られると言うちょっと特殊な理となっている。
そんな上下関係がある生産系職業は、他に3級職の薬師と5級職の魔法薬師の薬師系しかないけどね。
後は、料理士とか建築士とか裁縫士とか木工士と言った生産系職業は5級職のみで祠はCランク。
傀儡師とか錬金術師とか魔物使いとか付与師と言った特異職も5級職のみで祠はBランクだ。
つまり、3級職への転職条件を得られる薬神の神像と鍛冶神の神像のある祠は、ボスがDランクなので転職条件を得易い。
だから、まだ強いとは言えない現状だと、そこを攻略して転職条件を得ておきたい、と言う訳だ。
また、職業の得られる祠は、転職可能になるだけでは無い。
それに関連する資源が得られるダンジョンと言う事で、ここの祠の場合鉱物が得られるんだよね。
異世界モノにあるミスリルとかアダマンタイトとかオリハルコンすら手に入るダンジョン。
当然、それを求める冒険者が多く集まり、そのダンジョン近くの都市は発展している、と思っていたのだけど、外から見る限り、やっぱり王都に準ずる賑やかさかな。
しかも、隣国への交通手段である魔飛空船の発着場まであるし、かなり発展具合っぽい。
木を隠すなら森、ではないけど、ここなら隠れて生活もし易そうなのも覚えておこう。
主人公は、発展している都市に向かっている様です。




