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異世界とゲームは違う様です。~やり込んだゲームに似た異世界で生き残りたいのだけど、ゲームと違う事が多過ぎて困っています~  作者: 下見野大
第2章 3人目の仲間と王都編

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第87話 クラリッサの過去と慰め合い

 主人公を含め、全員が人を殺しました。

 救いようのない強盗だったとしても、優しい人にはキツイ事なのでしょうか。

 強盗とは言え人を殺した日の夕食。


 皆、食欲が無いみたいだ。


 宿の食事は豪華だったのだけど、俺を除いた3人の食は進まなかった。


 すると、高めの宿にしたお陰か、食べやすそうな食事に変更してくれる。 


 その宿の気遣いに感謝しつつ、お風呂に入り、お茶を飲みながら談笑し、クラリッサの手を引いてベッドへ。


 大量に人を殺した気分の悪い日だけど、今は、心ウキウキ、ウホウホだ。


 マドリーンとアリーサの時は、なんて言うか必死で、且つ不安で、こんな感覚になる余裕が無かったからな。


 俺の手に引かれながら付いて来るクラリッサ。


 美人さんの上に可愛いよ。


 はあ。


 これから、ゲームでは数十回以上仲間にしていたお気に入りキャラの現実版のクラリッサとの初夜だよ。


 興奮しない訳が無い。


 あんな事があった日なのに。


 男って駄目だね。


 だけど、クラリッサがダメそうなら今日は我慢しないとな。


 ここまで来て、嫌われたら当分寝込みそうだし。


 ゲームだと、『一緒に休む相手を選んでください』ってメッセージの下に表示される、名前を選択していただけなんだけど、現実だとね。


 エッチなゲームならこの辺まで表現されていただろうに、情報不足だよ。


 そんな事を考えつつ、ベッドで俺の隣に座っているクラリッサの様子を確認する。


 うん。


 俺の興奮が伝わったのか、少し困った様な表情をしているが、嫌がる様子はない。


 覚悟はしている様だ。


 まずは、優しくキスをして優しくベッドに押し倒す。


 上になり何度もキスをしながら夜着を脱がせ、更にキスを求めながらクラリッサの反応を確かめていると、クラリッサの瞳から涙が流れ落ちた。


 「えっ。駄目なの?」


 「……、違います。貴方のお陰で両親の敵は取れたのに、気持ちが全然晴れなくて。それを何故か今、思い出しただけです」


 そう涙目で言われてしまったので「そっか。今日は止めとく?」と提案してしまう。


 「良いんですか? 明日になったら私逃げ出すかもしれませんよ」


 「でも、焦った結果クラリッサに嫌われた、とか嫌だし」


 「約束ですから、変な事されない限り嫌いませんが」


 「なら良いんだけど。まだ気持ちの整理がついていないのかな、とか」


 「それは、そうですけど」


 「なら、今日はマドリーンとアリーサに甘えると言うのでも良いし。二人も心配だから一緒に居てあげたい気もするし」


 「……、優しいんですね」


 「優しくないよ。優しい3人に人殺しさせたし」


 そう言って彼女の上から横に寝転ぶ体制に変える。


 すると「私は、優しくなんてありません」と目に涙を貯めたまま険しい表情で言って来る。


 その横顔を見ながら「そう? 強盗達に捕まっていた人達を慰めていた姿なんて、優しいな。俺もあんな感じで優しくして貰いたいなって思ったけど」と甘えた感じで言ってみる。


 でも「……、あんなの普通の事です」と、自分が優しい事を認めたく無くない様だ。


 「そうかな。今日の強盗達見ていると、3人は優しいなってツクヅク思ったけど」


 そう言うと「あんな人たちと比べて欲しくないです」と強い口調で言い返してくるが。


 「でも、一定数ああいうのが居るのが人だろうからね」


 「……、そうなんでしょうけど」と言うクラリッサの横顔を見るとその瞳は悲しそうだ。


 「真面目な話、あの強盗達、全員才能アリだったよ。殆ど戦士系だったけど、真面目にやれば、十分生きて行けただろうに」


 「何か事情があったって事ですか?」


 「さあ。それには興味がないね。結果と言うか行った行為が全てさ。俺はあいつらに同情とか一切しない」


 「はい」


 「でも、そうじゃない優しい人も居て、その人達に殺させたって思うとね」


 「私は違います。強盗達をもっと私が殺したかったとだって思っています」と起き上がってまで俺に強い口調で言って来る。


 「ホントに?」


 「違うって言うんですか」


 「でも、心は晴れなかったんでしょ」


 「それは、両親が帰ってこないからで」


 「そうなのかもしれないけど、それ以外に何かあるのかなって」


 そう聞くと目に涙を浮かべ静かな口調でクラリッサの心情を教えてくれる。


 「私は、もう世界に一人っきりなんです。あなた以外、私を必要としてくれる人も、気遣ってくれる人すらいないんです」


 こんな精神状態の彼女に、俺は選択を迫ったのか。


 「ごめん」


 「な、何がですか」


 「そこまでクラリッサが追い詰められているなんて思ってなかった。なのに、酷い選択を迫ってしまった」


 「……、それでも、まだ救われるくらい私は必要とされていないから……」


 クラリッサは、そう言って涙を流し始めてしまった。


 思い出されるキャラの設定集。


 彼女の両親は、エルフの国の貴族だった。


 エルフの貴族は……。


 まあ、人間・獣人・ドワーフの貴族だって、その婚姻となると血統主義が残っている。


 だけど、人間と結ばれるエルフの貴族も居る。


 ああ。


 ゲームでは説明が無かったけど、ひょっとしたらその人間は勇者候補なのかな。


 そう考えれば血統主義が残っているけど、勇者候補に対する義務だとか、子供に才能が欲しいとか、強い人材を得る為に等と、勇者候補と子を作るエルフの貴族も居ると言うのもあり得るのかなと思えるし。


 ちなみに、子供は母親の種族で生まれて来るこの世界には、ハーフエルフと言う種族は居ない。


 だけど、違う種族であった親の特徴が体に現れる事はある。


 そして、先祖にいた人間の血が強く表れたのがクラリッサ達だ。


 だから、目は切れ長では無く丸くて、耳もそれ程長くない。


 赤ん坊の時から。


 なので、それを嫌い放逐しようとした祖父母からクラリッサを守る為に、両親がエルフの国が無いこの大陸に来て、エルフの来そうに無いヘンピな村で生活をしていた。


 ゲームで仲間になる多くのエルフと同様、クラリッサはそう言う設定だった。


 それを思い出して、彼女の横顔を見ていると「私は、もう貴方のモノです」と冷たく言って来る。


 やっぱり、嬉しくはないのだろう。


 好感度が『非常に良い』になったら会話イベントで「私、子供には私よりエルフっぽい外見になって欲しかったんですよ。だから、エルフっぽい外見の人を好きになろうって思っていたのに。でも、もう……」って言ってきたくらいだし。


 それを思い出し「クラリッサ。本当に俺なんかで良いのかな?」と言って今う俺。


 すると、悲しいと、怖いと、怒りと、混乱が入りまじったような表情に。


 そう言えば、何度か目の『一緒に寝る』の時に、選択肢が出た。


 『無言でキスをする』、「クラリッサ。愛している」と告げる、と後もう一つ。


 「クラリッサ。エルフ達が俺達の事をどう思ったとしても、俺は君が欲しい。だから、俺が死ぬまで、ずっと一緒に居て欲しい」


 そう言ってクラリッサの瞳を覗き込むと、クラリッサは起き上がり、俺を抱きしめる様にしながら唇を重ねて来た。


 うん。


 彼女も、幸せに出来る様に。


 俺が死んでも彼女が強く生きて行けるように頑張ろう。


 そう覚悟を決めて、彼女と引き返せない関係を持つことにした。



 クラリッサとの初めてが終わった後、寝ようとしたが寝られなかったのでトイレに行く。


 その帰りに、やはり二人の気配が気になったので、彼女達の寝室へ。


 ドアを開けても寝たふりだけど、感知スキルが二人は起きていると。


 そして、落ち込んでいると教えて来る。


 アリーサの布団に入り、キスをする。


 するとアリーサは、涙を流しながら抱き着いて来る。


 やっぱり、槌で殴り殺させたのは間違いだったな。


 「アリーサに酷いことさせてごめん」


 そう言って、アリーサを愛する事にした。



 アリーサは、一緒にお互いを求めったら少し落ち着いてくれたみたいだ。


 次は、マドリーンだな。


 布団の中を移動すると「わ、私は良いわよ」とか言っているが。


 「マドリーンに酷いことさせて、ごめん」と言ってキスをして彼女とも。



 二人にキスをしてから、クラリッサとの寝室に戻ると、彼女も起きてしまった様だ。


 なので、キスをして抱き上げる。


 「あの。流石に今日はもう」と言って来るので、「4人で一緒に寝よう。彼女達も、きっとクラリッサを一人になんてしないから」と言ってお姫様抱っこで隣の寝室へ。


 俺の上にクラリッサを乗せ、アリーサの手とマドリーンの手に俺の手を重ねて寝る事に。


 大丈夫。


 クラリッサは華奢だし、俺の耐久ステータスは高いから、クラリッサが暴れても大丈夫。


 って、暴れないだろうけどね。


 今日は、3人のぬくもりを感じながら4人で眠りについた。

 主人公は、謝罪し慰め合った様です。

 これで上手く行ってくれるのは、残酷な異世界だからでしょうか。

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