第86話 再びニーチャ町へ
主人公は、落ち込み気味になっている気分を、偽善的な行為で上げる事にした様です。
鑑定スキルはランク3だから、自分のモノであれば解析鑑定も可能だ。
と言う事で解析鑑定し、前の所有者達やその人の相続人と世界の理に認識されている人達を確認していく。
大量殺人をした事、殺人をさせてしまった事に落ち込み気味になった、俺自身の気分転換の為に。
なので、前の所有者の名前とその相続人を記した木札を戦利品のコンテナの前に置いておく。
干し肉の小さいのと言った、細々として値段も安い物は、前の持ち主に返す事は諦めた。
作業が細かくなり過ぎるから。
手元に残った大きな物は、何故かあの強盗の頭が正規の所有者だったゴーレム馬車だけになったが、まあ良いだろう。
村長は、感謝しているが、ちゃんと渡してくれるだろうか。
まあ、戦利品の鑑定結果の所有者欄にあった前の所有者の所有物だと念じて物に刻んである。
そうすると、別の名前が表示された物もあったが、その新たな名前が相続人だと言う事も、表示されている名前を解析鑑定する事で表示される家系図を見て確認したし、まあ大丈夫か。
その名前はちゃんと木札に書いたし、村長達がもし盗めばその人の名前が物の所有者欄に赤く刻まれるしね。
後は、ちゃんとこの村が引き渡してくれればOK。
傷む物もあったから、手早く引き渡してくれるそうだ。
そんなお願いをして、村から出立。
勿論、村の農作物を買って王都で売ると言う嘘の為に、袋や木箱で小麦・サツマイモ・ジャガイモの買い付けもしたけどね。
名残惜しさを感じさせず、アッサリとしたクラリッサとホルスト村を出立。
クラリッサの荷物は、俺の格納箱スキルで格納した。
最初はゴーレム馬車で運ぶと言う偽装もしたけど。
でも、ニーチャ町に近づいたらゴーレム馬車を格納箱に入れて歩きに変更。
強盗の持っていたゴーレム馬車だから、攻撃されるって心配もあったし、強盗の頭が正規の所有者だったのが引っ掛かっているしね。
領主とかの道楽息子が盗賊団のリーダーだったりすると、面倒事になるから。
しかし、女3人よれば姦しいなんてことわざもあったけど、うちの場合、美女3人だと華やかだな。
まあ、まだ知り合って間が無いから、これから賑やかになるのかもしれないが。
一応、全員俺の彼女・婚約者と言う事になるのだとしたら、仲良くして欲しいと言うか、仲良くしてもらわないと困るんだけど、今の処大丈夫そうかな。
まあ、そう言う意味でもゲームで仲間にした人だけを仲間にするのが間違いがないのかな。
そんな事を考えつつ、別の気になっている事を確認する。
それはクエストクリアによる経験値獲得が有るかどうかだ。
あの強盗退治は、クラリッサを仲間にするイベントでもありクエストでもあった。
だから、このタイミングで経験値が入っていないのだとしたら、ゲームとは違いクエストクリアによる経験値取得は無いのだろう、と思いつつステータスウィンドウ内のログを確認してみる。
今日のステータスウィンドウ内のログを一通り確認したが、ゲームではあったクエストクリアによる経験値取得とクエスト報酬のお金の入手は残念ながら無い様だ。
マドリーンとアリーサを仲間にしたのは、クエストではなくイベントだった。
しかし、クラリッサを仲間にしたあれは、イベントであると同時に盗賊退治のクエストでもあったのは間違いない。
だから、確かゲームでは強盗に捕まっていた人達を村に届けた時にクエストクリアのウィンドウが表示され、職業経験値とお金が得られた。
まあ、それ以前にゲームだとクエストを受けるかどうかの確認ウィンドウとか出てたけどね。
残念だけど、クエストクリアによる職業経験値取得は、異世界の現実だと無いのか。
ゲームの時は、クエストをクリアすると次のレベルが上がるのに必要な経験値にある程度応じた数値の経験値が得られた。
だから、仲間を得る為に、アイテムを得る為にと言った目的と共に職業経験値を得る為に世界中にあるクエストをクリアしまくったんだけど。
クエストによっては、クリアすれば職業レベルが1上がるクエストすらあったから、クリアする順番とか考えて順次クリアとかしていたけど、職業経験値が手に入らないとなると、その優先度は低い、と言うかクエストを受けない方が強くなるスピードは早くなり生き残れそうなのか。
その辺も考えないと。
そう言えば、ゲームだと強盗団との戦闘終了後は、お金と強盗達の装備品の極一部が手に入ったけど、あんな数の盗品が俺のモノになるって事は無かったな。
でも、クエストクリアの職業経験値とお金が手に入ったか。
ひょっとして、あの俺のモノになりそうになった盗品の代わりが、クエストクリアによる職業経験値とお金だったのかな。
そんな事も道中で考察しながらの移動。
今朝出発した町に戻って来て、門の使用料4人分を払い、宿をとる。
大き目のベッドを備え寝室が2部屋ある高めの部屋だ。
希望する部屋の種類を言ったら、1人当たり7000GAZUと大盤振る舞いになってしまったが、今日はしょうがない。
値段に比例し、食事も豪勢だったが、3人はあまり食べなかった。
すると、食べやすい食事に替えてくれたのは、値段が高い宿だからだろう。
やっぱり、この宿にしておいた良かった。
そう思いつつ、お風呂に入り、お茶を飲みながら談笑し、クラリッサの手を引いてベッドへと向かった。
主人公は、クラリッサとベッドに向かっている様です。