第8話 初めてのスキル
主人公は、ダンジョンで宝箱を開け、宝玉を手に入れました。
その力は。
始まりのダンジョン初級にあった宝箱を開けて入手した宝玉。
鑑定スキルを持っていない現状だと名称を確認出来ないが、ゲームと同じなら、これは格納箱スキルの宝玉。
スキル名+宝玉の名称を持つ宝玉は、スキル追加の宝玉とも呼ばれる消費マジックアイテムだ。
ゲームでは、初期値だと装備25個とアイテム25種しか持てない仕様だったから、戦利品を運ぶ為に真っ先に手に入れる事にしたのを思い出すな。
でも、異世界の現実で宝玉を何の確認もしないで使って大丈夫なのだろうか。
ゲームだと使うと呪われたりする宝玉は無かったから大丈夫だろう、とも思うが少し心配。
でも、ここで使わない選択肢はとれないか。
早速、宝箱から宝玉を取り出し握りしめて『使う』と意識すると『格納箱スキルを取得しますか。はい/いいえ』のメッセージが目の前に表示される。
それに対しホッとしながら『はい』と念じると、体が薄っすらとした光に包まれ、その光はすぐに消えていく。
あのゲーム及びこの世界では、スキル・ランク・グレード制が採用されている。
そのスキルだけど、アーツ(技能・武技)、魔法、ステータスアップと言った幾つもの力が各種スキルに内包され、スキルを得る事で特別な力が使える様になったりそのスキルの力の恩恵を受けたりする。
そんな事を思い出しているとスキルから確認メッセージが目の前に表示される。
ああ。
両親から聞いていた通りか。
この世界のスキルには、俺達を指導・教育・使い方の説明等してくれる機能がある。
これはゲームには無かった理だ。
いや。
スキルについてのヘルプ機能はあったから、ゲームより強化されている部分になるのか。
その強化されている内容だけど、スキルを持っていた父や母に教わった話だと、スキルには幾つかのモードがあるそうだ。
使用モードと言う、スキルの力を使うのみのモード。
指示モードと言う、スキルの力を現状ならどう使うべきかをイメージやメッセージや音声みたいなモノで教えてくれるモード。
スキル優先モードと言う、基本は俺の意思で行動するが、スキルが必要・危険等と判断した場合にはスキル所有者の体や意思の一部を使い、スキルが戦ったり行動したりするモード。
完全自動モードと言う、モードを解除するまでスキルが体を100%操作し、意識もスキルが一部を使用し行動するモード。
教育モードと言う、スキルから自分の弱点を教わったり、こうした方が良いと言うのを教わったり、スキルをより上手に使いこなせるように教わったり、スキル無しでも戦える様に技術等を教われるモード。
対話モードと言う、こちらから質問をする形でスキルと会話し、スキルの内容について細かく教われるモード。
この異世界の現実だとスキルに付いてはこういうモードがあり、使う人の状況や好みに合わせて、スキルを使いこなせるようになっている。
俺は細かく使い分けるのが面倒なので、最初は教育モードで一通り教わり、使い方がある程度わかったら必要な時に必要な事を教えてくれる指示モードか俺が知りたい事を順次教わる対話モードを使う事になるのかな。
ああ。
スキルが封じられると言った事態も考えられるから、剣技スキル等については訓練時に教育モードでスキル無しでも戦える様に教わる事もした方がよさそうか。
そんな事も考えつつ、スキルからのメッセージを改めて読む。
『新たに取得した格納箱スキルを、どのモードに設定しますか。
使用モード(スキルの力だけを利用するモード)
指示モード(スキルが必要に応じスキル所有者に指示をするモード)
スキル優先モード(指示ではなく、必要に応じスキルが体や意識を使用するモード)
完全自動モード(スキルがスキル所有者に代わり体や意識の一部を使用し行動するモード)
教育モード(スキルがスキル所持者に必要な事を教育するモード)
対話モード(スキル所持者からの質問に応じ答えるモード)
封印モード(スキルの力を使用しないモード。スキル内の個別の力を封印する場合は、スキルメニューから個別に封印してください)』
と言う事らしい。
今回、モードを指定するのは格納箱スキルだからな。
とりあえず、教育モードで使い勝手を教わり、ある程度理解したら対話モードに切り替えるか。
そう決断し、とりあえず教育モードに設定。
そして『ステータス』と念じて、ステータスウィンドウを表示。
そこで、スキル一覧を確認すると格納箱Ⅰと表示されている。
この『Ⅰ』は、格納箱スキルがランク1である事を意味する。
スキルのランクには1から5まであり、更に『4.5』とか『5.1』とか表現する事もあるけど、それはランク4以上になった時の話だし、今は置いておくか。
格納箱スキルは、目の前に30センチ四方の黒い箱を発生させ、それを入り口にしてスキルが造った別空間に物を入れたりそこから出したり出来るスキル。
スキルからの情報によると、スキルのランク1で全くスキルを鍛えていない状態で、最大一辺が2メートルの立方体程度の物を100個ほど入れられるそうだ。
ゲームだとサイズの指定は無く、単純に装備やアイテムを100持ち運べるスキルだったんだけどな。
更に、ゲームだとある程度小さい物は、魔石袋とか武器箱1とか防具箱1とか薬袋1とかに自動で纏めてくれ、その纏まったモノを100持ち運べるスキルだったんだけど、そう言う機能は無いみたいで自分で纏めなければならない様だ。
はあ。
現実は面倒って事か。
まあ、手動で纏める必要はあるけど袋とか箱とかにまとめると、それも1個換算となる、やっぱり便利スキルではあるけど。
これで、重い武器や防具や食料等を持ち運ばなくて済む。
なので、格納箱と念じて黒い箱を発生させ、荷物を整理する事にし、最低限の武器、防具、バッグ、薬等だけを身に付け、大分身軽になった。
と言うか、覚えていた場所に宝箱があり、その中身もゲームと同じだったな。
あのゲームでは、必ず同じ物が入っている宝箱、キャラを作成した時に宝箱の内容の一部が確定しそれ以外は宝箱を開けるタイミングで中身が決まる宝箱、宝箱を開けるタイミングで中身が決まる宝箱があるのだった。
そして、始まりのダンジョン初級では必ず同じ物が入っている宝箱が同じ場所にあるんだったか。
ボスを倒すと発生する宝箱以外は。
となると、始まりのダンジョンの初級には、後、生活魔法、火魔法、鑑定、魔力操作スキルの宝玉が必ずある筈。
その場所も同じならいいが。
そう思いつつ先に進む事にした。
主人公はスキルを得て強くなる為に、更に先に進む様です。