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第72話 旅立ちの理由

 主人公達は、上がっているステータスにより順調に移動しているようです。

 そこで、主人公は気になっていた事を聞いてみるようです。

 おそらく時速30~40キロで走っての移動。


 この程度なら息は上がらない様だけど確かめてみるか、と会話をして余裕があるか確認する事に。


 なので、疑問に思っていた事を聞くことにした。


 「二人は、良く俺を受け入れたよね」


 俺がそう言うと「えっ。今それを言うの」と、マドリーンが『呆れた』と言う感じで言って来る。


 「正直、『止めて』って顔を殴られて終わり。そして、一人寂しく旅立つって事になる可能性が高いって思っていたんだけど」


 そう言うと、二人で顔を見合わせて「私達を仲間にする為の、お告げがあったんでしょ」とマドリーンの方が言って来る。


 「あったけど。正直、自信は無かったんだよね」と、本心を言う。


 あの時点では、戦闘と言った現実とゲームでは同じになる筈がない部分以外で、ゲームと現実に大きなズレや情報不足があるとは確信していなかった。


 だから、ゲーム通りにやれば大丈夫だろうと、無謀な事をしたんだよな。


 だけど、でも所詮ゲームと現実が同じ様になるか、と言う不安だってあった。


 だって、今までの生活で二人とは仲の良い異性の友人で、愛されていると感じた事はなかったし。


 正直、他にいい男なんて幾らでも居たし、と思っていると二人が話し始める。


 「……、正直流されたとは思うけど、嫌いな人とするほど私尻軽じゃないし」とマドリーンは怒り気味に言って来る。


 アリーサの方を見ると、同じ意見なのか頷いているし。


 「それに、私達がいじめられていた時、助けてくれたのはヨシマサちゃんだけだったでしょ」と、マドリーンは昔話をしてくる。


 「あ~、あれね」


 二人は今も美人で可愛いが、小さい頃も可愛くて、同性代の男の子は虐めていたと言うか、ちょっかいを掛けていたと言うか。


 「二人とも可愛かったからね」


 俺がそうしみじみと言うと。


 「今なら、小さな男の子が気になる女の子にちょっかいを掛けるモノだって分かるけど、あの当時はね」と、マドリーンは『自分達が可愛い』を否定しないようだ。


 「ああ。アリーサの方は小動物をかまうみたいで、特にひどかったからな」


 「私だって、結構あったのよ。まあ、確かにアリーサの方が酷かったけど」


 「正直、俺も二人をからかう方向に行きそうになったんだけど、母に言われたから。ああいうのは、多分二人に嫌われるって」


 「そうだったんだ」とマドリーンが驚いている。


 二人は母とも仲が良かったから、そう言う話を聞いているのかと思ったけど、知らなかった様だ。


 「まあ、男の子はああいう時期もあるよ。

  でも、アリーサなんて、男性恐怖症になるんじゃないかって心配になったくらいだったか」


 「ホントよ」と、何故かマドリーンの方が怒っている。


 アリーサの方は、ホホを赤くしている。


 恥ずかしいのだろうか。


 「まあ、俺としては男性陣の気持ちも分かるから、そんな事をしていると本気で嫌われるよって優し目に忠告したんだけど、しばらく皆とギクシャクはしたか」


 まあ、本当はギクシャクどころか「彼奴、アリーサとマドリーンが好きなんだぜ」とか、「女に媚売りやがって」とか、「ええカッコし」とか言われたり虐められそうになったりしたけどね。


 幸いにも、この世界では言語は世界の理で自動的に習得するし、算数もスキルを取得する事で身に付けたり理解したりするから学校の必要性が低く、集団で強制的に学ぶと言う事は少ない。


 それ以前に、村なんて教育に熱心ではない文明レベルとも言えるのかな。


 だから、共に居なければならない時間は少なかったから、そんな連中は無視したりやり返したりしながら家の畑で仕事をしていたら、飽きたのか、親に怒られたのか、面倒な相手だと思ったのか、何とかなったんだけど。


 そう言えば、アランとオズワルトは、流石一緒に旅立つ可能性のあるキャラ・人材なのか、俺を仲間外れにしたりはしなかったか。


 マドリーンとアリーサに、軽めにちょっかいは掛けていたけどね。


 そんな風に昔を思い出していると「でも、そのおかげで私達に対する酷い虐めはなくなったんだよ」と、マドリーンが俺から目をそらし、少し微笑みながら言って来る。


 「でも、それが、俺について来る理由なんだ」


 そう聞くと「お花をくれたのも、ヨシマサ君だけだったよ」と嬉しそうに言って来るのはアリーサだ。


 「ああ。俺自身が好きだったからね」


 「そんな男子、他に居なかったでしょ」と、マドリーンも嬉しそうに微笑みながら言って来るが。


 「と言うか、二人があんなモノ欲しそうに見ていたら、花をあげない訳にはいかないと思うけど」


 そう思い出しながら言うと「だって、あれ、お母さんの為に育てたんでしょ」と、マドリーンが今更ながら申し訳なさそうに言ってくる。


 「ああ。そんな事もあったな」


 父が魔物との戦いで亡くなり、母はふさぎ込む事が増えた。


 なので、俺なりにお金をやり繰りして村に定期的にくる行商人に花の種や苗や球根を買って来てもらい、それを畑と畑の間のあぜに植えたんだよな。


 その花が綺麗に咲いたので、母が喜んでくれるとか思っていたら近所の御婦人達が欲しいと言う話になり、あれは母のですからと言ったら、母が了承して皆が持ち帰っていたんだけど、それを木の陰から羨ましそうに見ていたんだよな。


 で、根負けして二人にプレゼントしたのを覚えていたのか。


 まあ、最初の年以降は大規模にして、毎年プレゼントする事になったけど。


 でも、村長には『作物造れ』って怒られたか。


 農家の御婦人達が真似をはじめ、更に切り花や生活魔法の洗浄で乾燥させドライフラワーにした物が王都で売れると分かったら、何も言わなくなったけど。


 そんな事を思い出していたら「それに……」とマドリーンが言い淀んだ。

 マドリーンは、何か気にしている事がありそうです。

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