第62話 出立の準備
主人公は、始まりのダンジョン中級を、マドリーンとアリーサと共にクリアしたようです。
それで、これからどうするのでしょうか。
始まりのダンジョン中級のボスであるCランクのゴブリンキングを倒した。
隠れたままの奇襲が成功し、何の苦労もしなかった。
その順調さが少し怖くもあるが、まあ、強くなってきていると言う事なのだろう。
これで中級もクリアしたので、今日は帰る事にして、簡易転移で始まりのダンジョンへと繋がる通路へ。
二人は、初心者LV8に、俺は斥候LV13に偽装もしておく。
その過程で、またゲームとの違いに気が付く。
と言うのもゲームだと、ステータスと念じて自分のステータスウィンドウを表示すると、パーティメンバー名の付いたタグがあり、それを指定するとパーティメンバーのステータスウィンドウが表示された。
しかし、そのタグが無い。
では、どうやって彼女達のステータスを確認するかだけど、鑑定スキルのランクを上げパーティメンバーや他人でも詳細鑑定出来る様になるか、彼女達に自分達のステータスウィンドウをパーティメンバーに見えるモード又は他人にも見えるモードにしてもらう必要がある。
一人でやるタイプのゲームだったから、難易度調整で仲間の状態が見えなくする事はあっても、他人の個人情報は見ては駄目なんて考え方は無かっただろう。
だから、ゲームと異世界の現実でそう言う違いにでもなったのかな。
そう思いつつ、ステータスウィンドウを『パーティメンバーに詳細に開示する』を選んでもらったのだけど。
でも、ゲームの時はステータスウィンドウ内の状態欄の中に、<相性:パーフェクト><好感度:非常に良い>って表示が出ていたのに、それが見られない。
はあ。
確認したかったけど、しょうがないか。
異世界の現実だし。
そんな確認を終えた後、メルを呼出して4人で2人が得た魔法を試しながら村へと向かう。
簡易転移によりパーティで俺の家まで瞬間移動することも考えたけど……。
ゲームだといきなり家とか宿とかダンジョンとかに簡易転移でパーティごと転移して、移動の時間を短縮していた。
正直、リアルでは無いタイプのゲームだったけど、フィールドタイプのゲームで、村の中の移動とか時間が掛かったし、王都とかになると迷うし面倒だから止めろよって言うくらい都市が造り込まれていたりもした。
だから、キャラを歩かせるなんてせずに、最初の一度だけ走ったり、馬車で移動したりして、後は簡易転移や転移で一気に目的地に瞬間移動する事で、面倒な移動を回避していた。
だけど、安易に簡易転移なんて人前で使ったら、勇者候補だとバレテしまうだろう。
まあ、転移魔法だと誤魔化すのだとしても、転移は転移魔法ランク2で覚える魔法。
仲間と転移するのに必要な範囲転移はランク3だ。
低ランクの職業では覚えられない魔法だし、スキル追加の宝玉は殆ど出ない魔法なのに『ランク2以上を持っているの!』って驚かれるクラスの魔法だからな。
基本方針として、俺が勇者候補と言う事を隠すのだから、人に簡易転移を持っていると疑われる状況では、簡易転移も転移も使わない方が良い、と言う結論になるので皆と歩いて帰っているのだけど。
ゲームと違って、異世界の現実での移動はかなり面倒な事になりそうだな。
ああ。
ある隠れ職業への転職の為に走り回るなんて事もしていたか。
その為だと思って、歩きをと言うか、走っての移動も頑張るか。
なんて思いつつ、二人が嬉しそうに魔法を使う様を見ながら、村へと帰った。
メルに影に入ってもらってから村の門に近づいて、門でのチェックを終えて村の中に入り「今日の午後5時にうちに集合ね」と言うマドリーンと手を振るアリーサと別れ、一度家に帰る。
帰りに雑貨屋により、渡していた倉庫のカギを回収し、家に戻って倉庫に届いている食料を亜空間収納に入れる。
倉庫で、亜空間収納と格納箱の中身を整理していると時間となったので、マドリーンの父親である村長の家に向かう。
村長の家に到着すると、マドリーンが出てきて村の会議をする部屋に連れていかれ、皆と引き合わされる。
村長の一家の一部と、アリーサの一家。
村長の家族は全員では無いが取り巻きが居るか。
そこで、俺、マドリーン、アリーサの3人で並び「明日、村を3人で出ますので」と俺が言うと、村長が怒り始めた。
始まりの村からの出立の前に一揉めありそうです。