第53話 勇者候補について
主人公は、状況を整理した後、従魔のメルを紹介しました。
二人と強引に関係を持ち、仲間にして、状況を確認した。
その後、従魔のメルを紹介するとヌイグルミみたいに可愛いメルに首ったけになる二人。
メルは可愛いし、清潔だし、モフモフだけどさ。
先に進みたいんだよね。
そう鬼の決断をし、モフモフを堪能していた二人からメルを無理やり取り上げ、始まりのダンジョンの中級の地下3階と4階を繋ぐ階段へと3人と一匹、と言うかメルと意思の疎通が出来る事を知ってからはほぼ擬人化してしまった感じなので4人で簡易転移。
俺以外は、俺と同じ様に簡易転移先の選択や簡易転移先の安全確認は出来ない様なので、俺がしっかりと注意すべき様だ。
そんな確認もして地下4階に向かいながら、王都で勇者・勇者候補についての本を読んだマドリーンに色々と聞いておく。
ちなみに、メルが居ると二人が落ち着かないので、影に入ってもらっている。
「やっぱり、始まりのダンジョンは、勇者候補とその仲間か仲間候補しか入れないって理なんだ」
「うん。全く関係ない人は入り口の幻覚を幻覚だと認識できず入れないダンジョンだって記載があったよ。壊して入ろうとしても駄目だったとまで書いてあったし」とマドリーンは残念そうだ。
始まりのダンジョンの初級や中級みたいに魔物が1匹だけとか2匹までと言うダンジョンは他に無い。
だから、他のダンジョンに比べて安全に魔物狩りが出来るから、人は集まるだろう。
その上、人が集まっても魔物の発生スピードがその辺の平原と比べると明らかに速いから獲物不足になり難く、ある程度のレベルまでなら多くの人があっという間になれるだろうし。
だから、ここが皆も使えるダンジョンであれば、村人の魔物狩りによる強化だけでなくダンジョンから得られる資源や人の集客が村の発展にも寄与するだろうからな。
でも、駄目なんだよな。
ダンジョンがあったら、村が魔族に目を付けられるとかあるかもしれないから、微妙ではあるのか。
そんな事を考えつつ、気になった事をマドリーンに聞いておく。
「仲間に一度でもなったら、ずっと始まりのダンジョンに入り続けられるのかな?」
「仲間を抜けると、もう入れないって書いてあったよ。しかも、勇者候補に仲間って認識して貰えば入れるのではと試したけど、それも駄目だったって」
「そうなんだ。良く分からないな」
認識だけでなく実態が必要とか、ゲームで仲間に出来た人でないと駄目とかあるのかな。
まあ、現状ゲームで仲間になった人しか仲間にする気はないんだけど、それ以外にも仲間になる人が居たら試してみないとな。
そう思いつつ、マドリーンに質問を続ける。
「後、気になったのは、勇者候補が殺し合った場合、その後はどうなるの?」
「どうなるって?」
「蘇生は可能なのか、とか」
そう言うと、明らかにマドリーンの表情が曇る。
「……。勇者候補が勇者候補に倒された場合は、灰になって消えるそうよ。だから、蘇生は不可能なんだって。
で、魔石の代わりに光る球が残るんだけど、それは倒した勇者候補に吸い込まれて、成長の加護と簡易転移の加護が強化されるんだって」
「……、そうなんだ」
「うん。勇者候補の仲間が勇者候補を倒した場合は、魔物や魔族に勇者候補が殺された場合と同様に、勇者候補が宝箱になるんだって。
でも、魔物や魔族に殺された場合は、その宝箱に蘇生を行うと普通の人と同様に蘇生が可能らしいけど、他の勇者候補の仲間に殺された場合は、蘇生が出来ないんだって」
まじか。
まあ、本に書いてある事が本当かどうか、と言うのもあるけど、本当だとしたら嫌な理だな。
勇者候補やその仲間に殺されたら、蘇生も不可能だなんて。
そもそも奇襲する方が圧倒的に有利なんだろうけど、二人に蘇生の魔法を取得してもらって逆襲するとか出来ないのか。
積極的に、人を殺しに行くのには、ちょっと抵抗があるんだけど。
悪人だと分かっているのなら兎も角、良い人の可能性もあるし。
でも、普通に考えて奇襲をする方が有利だろうし。
しかも、勇者候補を殺せば、間違いなく俺の強化になる。
世界の理が、積極的に勇者候補同士で殺し合えって進めている感じなのか……。
気が滅入って来たけど、今は今すべき事をしておこう。
そう決めて、今日の予定を二人に話す。
「とりあえず、色々と思う処はあるけど、二人にも強くなってもらう。だけど、とりあえず今日はレベリングだ」
「レベリングでレベル上げる以外にも強くなる方法が有るの?」と、マドリーンが今後の為にも知らなければならないと言う感じで聞いて来る。
「実戦経験は必要だろうね。仲間との連携とか、魔物を動きや行動になれるとか、生き物を殺す事になれるとか、レベリングでは身に付かない事は多いと思うよ。
スキルは色々と教えてくれるけど、スキルが低ランクだと教わりながら戦闘の場合ワンテンポ遅れるし、ステータスが上がるとスキルがそのスピードについて来られないって話もあるし」
「そっか。私も村の戦闘訓練を受けておけばよかった」と、マドリーンは軽く落ち込みながら言うけど。
「……、でも、それをしていたら、二人は村の自警団か、王国の騎士団とかに入っていただろうね」
「そうなの? あっ。そう言えば、勇者候補は未来が見えるって本に書いてあったけど、本当なの?」と、マドリーンは今思い出したと言う感じで聞いて来る。
「……、嘘かな。本当に未来が見えるのなら、勇者候補との殺し合いの事だって知っていた筈だし」
「そっか。そうだよね。でも未来が見えないなら、どうして『戦闘訓練を受けていたら私達が自警団とかに入っていただろうし』って話になるの?」と、マドリーンは不思議そうに確認してくる。
「え~と、二人は真面目だから、力があると分かれば、多分自分から自警団とか騎士団とかに入るんじゃないかって予想だよ」
「私達才能が有るの?」と、マドリーンはその詳細を聞きたそうにしているけど、どう説明しよう。
勇者候補は未来が見える、と言うかゲームにより色々な事を知っている。
でも、勇者候補が殺し合うと言う事すら知らなかった。
その辺を踏まえ、どう説明するのでしょう。
今年最後の投稿です。
皆さま、良いお年を。




