第49話 無垢なる者の称号と犯罪
主人公は、幼馴染二人と強引に関係を持ち、仲間に加える事が出来ました。
でも、勇者候補及びその仲間は他の勇者候補及びその仲間と殺し合う。
本来、自分が強くなり、更に幼馴染二人を強くする事で、仲間となった二人を守るつもりだったのに、どうするのでしょう。
初めての評価ありがとうございます。
遅くなってしまいましたが、初めてのブックマークもありがとうございました。
俺は、幼馴染のマドリーンとアリーサと強引に関係を持ち仲間にした。
ゲームだと、宿屋やパーティハウスに帰ると表示されるメニューで『仲間と別れる』と言う選択肢を選ぶと、仲間から外す事は出来た。
だけど、現実でそれが出来るかと言うと。
しかも、今強引に関係を持ったばかりの二人と。
この世界に生まれた者は『無垢なる者』と言う称号を持っている。
そして、異性とエッチをした者からはその称号が消える。
エリクサーなんて再生が可能な魔法薬があるから、女性の初めてを復活させることは可能なんだけど、それを許さない称号の仕組みだとこの世界では言われていたっけ。
ちなみに、それはゲームには無かった理。
エッチなゲームじゃなかったからね。
先程の勇者候補と殺し合いになると言った事や、こういったゲームには無かった理は不安要素だけど、今はそれに拘っている場合ではない。
この世界を造った存在は潔癖症なのか、人に高い貞操観念を求めているのか、そう言う理で世界が創られている。
なので、無理やり未婚の異性と関係を持ち『無垢なる者』の称号を消す事は相手の人生を大きく狂わせる事だ。
だからか、称号無しの人への強姦より罪が重く、縛り上げて死ぬ直前まで痛めつけた上で追放とか、手を切り落として追放とか、財産を全て没収するとか、あそこを切り落とすとか燃やす等の結構な私刑がその地域毎にあると母から聞いている。
なんせ、無理やり無垢なる者の称号を奪う事は、強盗等の重い犯罪同様、世界の理でも犯罪と認識され、『犯罪者』の称号と紫色のオーラが3日間付与され殺す以外の私刑を行っても犯罪にならないと世界の理により明らかにされているのだから。
それもあるから、俺もゲームの裏技とは言え、二人と強引に関係を持つのに躊躇していたのだけど。
別の意味でも、彼女達の人生を狂わせてしまったのか。
勇者候補の仲間と言う事で他の勇者候補やその仲間から狙われて命を失う事があるなんて。
その事を無視できず「俺は村から旅立つけど、二人はこの村に留まってもらえる?」と言うと。
「そんな事をするのなら、無理やり奪われたって言うわよ」と、マドリーンは怒りながら脅してくる。
酷い嘘をついていたと言う事でもない限り、後で心変わりしたからと言って世界の理による罪の認定が変わる事は無いと父から聞いているので、今更俺が紫色のオーラに包まれる事は無いだろうけど。
いや。
『一緒に旅立とう』とか言って関係を持って、村に置いて行ったら酷い嘘をついた事になるのかな。
でも、例え紫のオーラに包まれる事になったとしても、と思いつつ「それでも、二人が無事な方が俺は嬉しいけど」と俺も決めかねていると言った中途半端な感じで二人に頼んでみたのだけど。
「でも、この村に居ても強くなれないから危険だって、ヨシマサ君が言ったんだけど」と、アリーサに言い負かされてしまう。
『交流術スキル、仕事しろよ』とか思ったけど。
今日だけでも、二人をかなり強くは出来る。
それに、彼女達は俺が居なくてもこの始まりのダンジョンに入り続けられるかもしれない。
と言う事は、言い負かされた訳じゃない。
俺は、破滅的な未来が待っているかもしれなくても、マドリーンとアリーサと一緒に居たい、と思っていると言う事か……。
「私、ヨシマサ君と一緒に行くよ。もう決めたから」と、アリーサが言って来る。
ああ。
奥手な彼女がそこまで決断するなんて。
でも、心を鬼にして「魔物や魔族だけでなく、人とも殺し合いをしなければならないらしいんだよ」と俺が心配な事を告げても。
「うん。頑張る」
そこまで言われると、俺は何も言えない。
俺が自分が軽率にした事の重大さに落ち込んでいると「と言う事。ヨシマサちゃんが強引に決断させて『無垢なる者』の称号を奪ったんだから、責任取ってよね」と、今度はマドリーンが言って来るが。
「責任をとれるなら良いけど、命を狙って来る連中から守れるかどうかは」と、自信が無いと本音を伝えると。
「……、守りたい人を守る為に強くなるんでしょ。
それに、いきなり強引に私達にまで決めさせたのに、今更手遅れだよ。
私、傷モノだからお嫁に貰ってくれる人いないだろうし」
混乱したり考え込んだりしている俺に対し苦笑いといった感じのマドリーンが言って来る。
「いや。マドリーンもアリーサも美人で可愛いから、どうとでもなるでしょ」
「ヨシマサちゃんは知らないかもしれないけど、初婚の場合拘る人多いのよ。それこそ、称号なしだったって嫁ぎ先で酷い目にあったりもするらしいし。
と言う事で、諦めて皆で生き残れる様に強くなりましょう」
そう決断したと言う朗らかな顔でマドリーンは言ってくれるけど。
「はあ。失敗したのか。まだ、先の事は分からないけど」
「そういう事。生き残る為に頑張りましょう」
そう吹っ切ったように言うマドリーンに、同意するしかなかった。
主人公は、仲間二人を手に入れた様です。
前途多難と言う感じではありますが。