表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/232

第47話 マドリーンの呟き

 主人公は、強引にエッチをした理由を、『一緒に村から旅立ちたいから』等と伝えましたが。

 まだ、マドリーンは納得していない様です。

 村から一緒に旅立ち冒険者になろう。


 そう誘っているのだけど、マドリーンは村に留まりたい様だ。


 いや。


 俺を村に留めたいのかな?


 だけど、ここでは王都の様にダンジョンが複数ある訳じゃないから強くなりにくい。


 王国軍に入り強くなっているであろう人達に戻って来てもらい、強くなる手助けをしてもらう、と言っても簡単に軍からは抜けられないのでは。


 そう言うと「そうだ。ここもダンジョンなんだから、ここを皆で使えば」とマドリーンは言って来るが。


 「……。それだと、ここの宝箱を皆に取られて、俺が強くなれなくなる。

  それに、難易度が急激に上がるから、一度王都近郊のダンジョンに行った方が良いんだ。

  後、ここは始まりのダンジョンだから、俺と俺の仲間や仲間になる可能性のある人しか入れないかもしれない」


 その存在を皆が知っているダンジョンでは、宝箱に滅多に出会えない。


 ダンジョンに入っている誰かが宝箱及びその中身を見つけて自分のモノにしているからね。


 それに対し、宝箱が多くあるダンジョンは、世界の理によって隠されたダンジョン。


 厳密に言うと、未だ誰も入った事が無い又は長い間誰も入っていないとされる、未発見の隠されたダンジョンだ。


 更に、プレイヤーキャラとその仲間及び仲間になる可能性のあるキャラ以外は入れない隠されたダンジョンと言うのもある。


 そう言うダンジョンだと、プレイヤーキャラ以外にリホップ(再発生)する宝箱を取る人が居ないダンジョンとなり、一定期間経過後に再び多くの宝箱が回収できたんだよね。


 そして、そのプレイヤーキャラ等しか入れないダンジョンが、始まりのダンジョンや聖なる武具の眠るダンジョンだった。


 まあ、そのダンジョンの魔素の濃さによっても宝箱のリホップのスピードは違う。


 それに、他の隠されたダンジョンについても、仲良くなった冒険者等にその存在を教える選択肢を選んだりその存在を知っている仲間と別れたりしなければ、また多くの宝箱を回収できるんだけどね。


 そんな設定を思い出しつつ、そう言ってみたのだけど。


 「えっ。ここは始まりのダンジョンなの?」と、マドリーンは想定以上に驚き必死な感じで確認してくる。


 その声の大きさや表情の変化に驚いたアリーサも不思議そうにマドリーンを見つめているのだけど、マドリーンはそれどころでない感じ。


 それに何故か危機感を覚えながら「そうだけど」と肯定すると。


 「マサちゃんは、勇者になるの?」と俺が強引にした事すら忘れ必死な感じで俺に掴みかかりながら聞いて来るが。


 「さあ。どうなるのかな」としか言えない。


 正直、魔皇帝が発生するまでの期間が短い場合には、勇者職になんて就けるかどうか分からないからね。


 だから有耶無耶にしたのだけど。


 「違う。そうじゃなくて、勇者候補なの?」と、マドリーンは相変わらず必死に俺に確認してくる。


 このゲーム・世界では、基本4職の内、1種に才能がある者をシングルと、2種に才能がある者をダブル、3種に才能がある者をトリプル、そして基本4種全てに才能がある者をフォースではなく勇者候補又は大賢者候補と呼ぶ。


 確かゲームではプレイヤーキャラしか生まれつき基本4職に才能がある人が居なかったので『呼び方が変わるのかな?』と何となく思っていたが、この世界ではどうなんだろう。


 ちなみに、プレイヤーキャラは生まれつき『勇気を世界に示す』と言う勇者への転職条件を満たしている上に4つの基本職に才能があるので勇者候補と呼ばれていた。


 それに対し、プレイヤーキャラクター以外については、基本4職に全て才能がある人は居なかった。


 なので、プレイヤー以外のキャラが勇者職に就く為には基本4職全ての転職条件を事後的に満たす必要があったのだけど、それだけではなく勇者職に就く為に『勇気を世界に示す』と言う特別な転職条件を満たす必要があった。


 でも、勇者職と並ぶ職業である大賢者職に就く為には、そう言った特別な転職条件は無く、様々な職業を極めて行くだけで就けるので、プレイヤーキャラ以外で基本4職に才能を持つ人は大賢者候補と呼ばれるんだけど。


 でも、今はそんな事はどうでもよく、真実を告げるかどうかだな。


 これから、一緒に行動しようと言う二人に嘘はついても無駄だろう。


 そう思っていると「始まりのダンジョンに入れるのは、勇者か勇者候補とその仲間だけでしょ。なら、ヨシマサちゃんは勇者候補なんじゃないの?」と相変わらず何故か必死の形相で確認してくる。


 なので、「4つの基本職に才能がある、と言う意味だと勇者候補か大賢者候補だし、それ以外についても多分勇者候補だと思うけど」


 ゲームと違って、ひょっとしたら世界に勇気を示さないと勇者職に就けないかもしれない。


 それに、安易に二人に勇者候補だと言って良いのか、と言った事を悩みながらも『勇者候補だと思う』と言う事にした。


 すると絶望した表情になったマドリーンが呟いた。


 「そんな。ヨシマサちゃん……。勇者候補は、勇者候補同士で殺し合う事になるのに……」と。

 勇者候補同士が殺し合う。

 それは、どういう事なのでしょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ