第37話 ゴブリンハイメイジとゴブリンアサシン
主人公は、近接戦闘の実戦を経験し、危険な目にあいました。
だけど。
3級職を幾つか極め、4級職でも幾つか一人前になった事で、強さはそれなりになった。
なので、上位ゴブリン達との近接戦闘を行い、武器を使う戦いを経験する事にした。
まあ、やっぱり、危険だけどね。
だから、近接戦闘は止めようかとも思ったけど、その後も上位ゴブリン達と攻撃魔法を封印した戦いを続けている。
ゴブリンハイプーリスト(高位の僧侶)は、ナイト(騎士)より楽勝だった。
邪牙と言う直進しかしない魔法と治療以外の魔法を持っていない様だったし、防具は邪悪な僧侶っぽい帽子と服だけだったし、武器のメイスは持っているだけって感じだったし。
問題は、ハイメイジ(高位の魔法使い)とアサシン(暗殺者)。
ハイメイジには魔法を撃ち込まれた。
しかも、火矢、水矢、風矢、石矢と言った自動追尾及び誘導タイプの魔法を。
矢系魔法は一発ずつ撃ち込まれてきたので、それを良く見てミスリルの盾Ⅲで叩き落しながら接近し、武器で切りつけて倒したけど。
でも、防御に失敗していたら命中する箇所次第では致命的な傷になる可能性もあったか。
俺みたいに魔法を強化していないから盾で受けられたが、もしスピードとか強化されていたら危なかったかもしれない。
と言うか、複数矢撃ち込まれていたら、急所を盾で庇いながら接近し倒すか、魔法を喰らった時点で魔法による攻撃に切り替えるつもりだったけど、甘かったんじゃないかな。
石矢・水矢を盾で受けた時の衝撃、火矢を盾で受けた時の熱気から『こんなの命中させられて大丈夫なのかな?』と思った後に対処法を考えた処、聖魔法の聖魔障壁で防げばよかったと気が付いたのには、なんて言うか。
自分の頭の回転の鈍さが情けなかったと言うか。
戦闘勘の無さに怖くなったと言うか。
まあ、一気に色々な力を手に入れた弊害と言う事にしておこう。
その後、複数の矢系魔法や槍系魔法を使うゴブリンハイメイジにあった時には運が良かったとも思ったが。
そして、ゴブリンアサシン。
奴は、動きが速い。
飛び回ったり、地面スレスレを這ったりしながらこちらの急所を狙って来る。
まあ、スピードで負けていないから1対1なら対処できたが、2対1なら殺される可能性もありそうだ。
そう思いつつ、ゴブリンアサシンの打ち込んできた短剣を盾で受け流し、剣を打ち込むが素早い動きで避けられる。
と同時に毒を吹き掛けて来た。
吹き掛けられた毒は生活魔法の洗浄で奇麗に取り除き、それでも残った毒は異常治療魔法で治療する。
奴はその様に驚いているが、俺が剣で切りつけると素早く後退する。
う~ん。
厄介だ。
いや。
まともに戦う気が無いのか。
投げつけられた短刀を剣で弾き、奴に突っ込んでいくと、奴はにやりと笑った。
その奴に切りつけると、奴の姿がカゲロウの様になり消えていく。
そして、俺の後ろから飛び掛かってくるゴブリンアサシン。
その姿を確認もせず、振り向きざまに剣を振り抜き、奴の首をはねる。
奴の小刀と俺の剣では間合いが違うからね。
と言うか、感知スキルが奴は偽の自分を作り出し、それに隠れながら超高速で俺の後ろに回り込んで襲い掛かってくるって感知し続けてくれていたからね。
それが無かったら、俺が急所に小刀を刺されて死んでいたか。
はあ。
そう言えば、奴が使ったスキルは何だろう、とステータスウィンドウのログを見ると『ゴブリンアサシンが、影分身を使った』とメッセージが残っている。
確か、ゲームだと自分の分身を造り、それが一回だけ敵の攻撃を受けてくれるスキル。
勿論、範囲攻撃は避けられないし、敵によっては『影分身を見破られました』とのメッセージが出て1ターン無駄にしたって事も多く、俺は使わないスキルだった。
ランク2になると、分身を造った上で1回近接による攻撃が出来た。
更にランクが上がると、2回以上近接攻撃が出来る様になったりしたんだったか。
まあ、消費するMPはそれなりに多かったので、俺は別のスキルを使ったけどね。
でも、異世界の現実だと、どういう力になるんだろう。
まあいいや。
多分、さっきのゴブリンアサシンの様な攻撃方法になるんだろうし。
と言うか、こんな危険で余裕のない近接戦闘をダラダラと続けていると死ぬな。
『近接戦闘で経験を積むのは、今日はここまで』と決め、マップを埋めながら、宝箱を回収し、レベル上げをする事にした。
主人公は、近接戦闘の経験を積む事を止め、先に進む事にした様です。