第305話 何でこうなった
主人公は、早朝の戦闘を終え、皆と出かけるようです。
しかも、食堂で朝食を食べられる時間まで待たずに出立するようです。
その理由は。
まだ暗いうちに装備を整え、朝食の仕込みをしている食堂のお姉さんたちに出発すると伝え、食料等を満載した荷馬車と馬車に分乗して王都の北門から出る。
荷馬車に揺られながら「今日は、どうするんだっけ? このまま食料の輸送と食料集めに行くの?」と聞いて来るのはマドリーン。
「ああ。今日5月1日でしょ。
だから、料理神の祠で神像へ行くツアーがある筈。
それに便乗して、ベテラン冒険者の仕事ぶりとか見てみようかなって」
「あ~。そうなんだ」とマドリーンは納得しているし、皆も納得した感じに。
「だから、感知による監視が感じられなくなったら、亜空間収納と格納箱に馬車も荷馬車もゴーレムも荷物も全部入れるつもり。
その後は、走ってトーラル市の冒険者ギルドへ急ごうかな。
確か10時までに集合って話だったけど、まあ、早めに行こう」
そう詳細な説明をして、しばらく馬車・荷馬車で進みながら亜空間収納内に保存していた食事を皆と食べる。
そうしているうちに窪地みたいな所で王都からの誰とも分からない感知スキルによる感知の網から外れたので、そこで皆と荷馬車等に隠形を使い格納と収納を行う。
後は、皆と走って料理神の祠の近くにあるトーラル市到着し、冒険者ギルドへと向かう。
門の使用料に相変わらず1日1人1000GAZUも払う事になるから、早く冒険者としてのランクをFにした方が良いのかな。
そんな事も考えつつ、冒険者ギルドへ到着し、馬鹿みたいに増設された受付で料理神の神像へのツアーを申し込もうとしたのだけど。
「今回の料理神の神像へのツアーですが、この誓約書に記入を御願いする事になっています」と言って来る受付嬢。
その内容だけど、ツアーに参加した結果、命を失う事になっても自己責任との事。
「前回話を聞いた時は、そう言う説明は無かったですし、『今回の』と言う事は、何時もは違うと言う事ですか?」と一応気になった事を聞いてみる。
「はい。実は、魔王の狂乱の影響が神像の祠にも出ていて、危険な魔物が発生しているとの報告が幾つも上がって来ていて」
「料理神の祠もですか?」
「料理神の祠については、事前に高ランクの冒険者達で、厄介な魔物の討伐は行われています。
ですが、今、斥候能力の高い冒険者は強制的に国に徴兵され、魔族領の近辺での監視の任務についていて、感知能力が高い者が少ないので、絶対に安全だとは言えない状況なので」
あ~。
あれか。
ゲームだと、初期の頃は斥候能力が高い奴はあまり周りに居ないので、高ランクの偽装スキルで誤魔化せない状態で強くなっても国や冒険者ギルドに目を付けられる事はないと言う設定があったけど、現実だとここまで影響するのか。
そう思いつつ「どうしよう?」と皆に聞くと、「危険なのは何時もの事の気がするけど」とマドリーンは言って来る。
他の3人を見ると頷いているし。
なら良いかと、5人で誓約書に記入。
と言うか、危険な事が当たり前の冒険者なのに、そんな事を記載させられるとは。
それだけ異常事態と言う事か。
そう考えていると「このパーティには、斥候系と魔法使い系の方はいらっしゃいますか?」と受付嬢が聞いて来る。
「ああ。俺が隠密だけど」と言うと「レベルは幾つでしょう」と聞いて来るので、眉をひそめていると。
「こちらで集めた高ランクの冒険者パーティだけでなく、参加者の冒険者パーティに協力をお願いしているんです。
特に斥候系の感知能力と、魔法使い系の殲滅能力が命綱になりそうなので」
そう言われて、どうしようか迷っていると「参加しないの?」とアリーサが聞いて来る。
「俺達レベルの力でも借りたいなんて、全滅しかねないって言っている様なモノだからね」と受付嬢にも聞こえるように言っておく。
すると「あ。いえ。勿論、念の為の保険です」と受付嬢は慌てて言ってくるが、どうだろう。
俺が悩んでいると「料理スキルをどれだけ必要とするか、と言う話だと思うのですけど」とラファエラが指摘してくる。
「料理スキルは、欲しいよ。
食料品の保存処理とかも出来るからね。
流石に調理後の料理の長期間の保存は出来ない様だけど」
「……、なら参加するしかないんじゃない」と、マドリーンは言って来るが。
「来月にするって手もあるけど」と皆に提案すると。
「今回のツアーの為の討伐で、厄介だったアサシンビーとアサシンクイーンビーは一度倒されていますが、来月になると別の厄介な魔物が出てくるかもしれませんし、何とも言えませんよ。
下手をすると、他の神像の祠の様に神像への祈りを捧げるツアー自体が無くなるかもしれませんから」
そう横から受付嬢が言って来る。
‥‥‥、そこまで言われるとな。
確かに強力な魔物が発生してしまったら、入れなくなるのか。
いや。
ちょっと待て。
「他の神像の祠って、ツアーが無くなったんですか?」
「はい。今の処、出現する魔物ランクの低い場所に神像がある薬神と鍛冶神の祠。
後は、裁縫神の祠以外は厄介な魔物が出て、各冒険者ギルドがそれぞれ対応している処で、どうなるかは分からない部分の多いそうです」
裁縫神の祠の厄介な魔物は、俺が倒したあの蜘蛛の魔物か。
はあ。
行けるうちに行っておくべきか。
それとも、強くなってからコッソリ行くべきか。
ああ。
今回のツアー参加の目的には、熟練の冒険者の手並みを見せてもらって勉強したいと言うのもあったか。
皆の方を見ると「任せた」ってマドリーンに言われ、他の3人も頷いている。
はあ。
「俺が隠密のLV26」
そう言ってからマドリーンの方を指さし「彼女が魔導士でLV26です」と説明する。
「そうですか。ひょっとして神官系もいらっしゃるのですか?」
「ああ。後神官が1人と重戦士が2人だ」
「そうですか。後でお声を掛けさせてもらうかもしれません。ですが、参加料の1人5万GAZUを5人分の25万GAZUのお支払いを御願いします」と言われる。
働かされるのにお金を払うんだ、とも思うが、護衛や事前の祠の調査・魔物の間引きの為の討伐に参加した冒険者達への支払いもあるだろうし、どうしようもないか。
そう思いつつ25万GAZUを払う。
はあ。
何でこうなった。
と言うか、魔王の狂乱中だからか。
主人公は、ツアーのお金を払った上に警護の為に働かされるかもしれません。
それでも、料理士へ転職しスキルを得たいのでしょう。




