第282話 細氷(ダイアモンドダスト)の重ね掛け
主人公は、始まりのダンジョン上級地下3階にいる中ボスと戦いを始めました。
敵は、ゴブリンの最上位種であるゴブリンエンペラー(ゴブリンの皇帝)。
簡単には勝てない様です。
隠れたまま撃ち込んだ業火は耐えられ、大地創造による攻撃は避けられ。
決め手が見つからず、奴のハルバートの攻撃を聖魔障壁ではじくのにも失敗しつつ、ゴブリンエンペラーをどう倒すかを諦めずに考え続ける。
幸い、俺を守る聖魔障壁を破壊する為に、振るうハルバートの軌跡を無理に変更し、その結果地面に撃ち込んでいるので、はじけ飛んでいる床の欠片を我慢しながら剣を脇の下あたりに下から切りつける。
致命傷には出来そうにないと早々に諦め、距離を取り聖魔障壁を張り直そうとしたんだけど。
剣は鎧に防がれた上に腕と脇に挟まれ、聖魔障壁が間に合わず、アダマンタイトの盾でハルバートを防ぐことになり、剣を手放しつつ壁近くまで吹っ飛ばされてしまう。
それでも勝つ為に状況を把握し続けているんだけど、剣は脇の下を少しは切り裂いているのか。
そんな、奴の腋に刺さったままとなってしまった剣を諦め、ミスリルの剣Ⅲを亜空間収納から取り出し、奴を睨んでいると、こちらにアダマンタイトの剣を投げつけて来た。
それを盾ではじいて亜空間収納に入れ、奴に更に超低温細氷を打ち込むが、効果範囲から逃げながら俺に突っ込んできて、またハルバートを叩き付けて来る。
それを今度は聖魔障壁で弾き、爆裂魔法の連鎖爆裂を打ち込んで、その衝撃も利用して距離をとる。
そして、距離を取りながらMPの残量を見てみるが、思ったほどはMPが減っていないか。
魔力操作スキル様々だけど。
余裕のあるうちに、とMP回復薬Ⅳを肩から掛けてMPを回復させながらこちらを睨んでいる奴に超低温細氷を打ち込むと、またただ効果が居に逃げるのではなく、こちらに向かってきてハルバートの撃ち込みだ。
それを聖魔障壁の形を変化させて弾き、距離をとろうとすると、さらに接近してくる。
ああ。
腋に撃ち込んだ傷が原因で、ハルバートの勢いが弱くなり、聖魔障壁を破壊できなくなった。
そう思わせて、その油断を突いてくるつもりなんだろうな。
そう思いつつ、また聖魔障壁をハルバートの攻撃を受け流す為に変形させると、また器用にハルバートの軌跡をかえて聖魔障壁を破壊。
そして、地面へ打ち付ける反動で素早い一撃をうちあげて来る。
それをバックステップで避けようとするが避けきれずに、盾で受けようにも下からの攻撃の上全力のバックステップの状態で受ける事が出来ない。
太ももからお尻まで切り裂かれ、それを左手で止めたんだけど、止めきれずに跳ね上げられ宙に舞う事になってしまう。
大量に舞い散る俺の血。
痛いし。
そして、天井に叩き付けられ、デジャブだなと思いながら、ゆっくりと地面に落ちていく。
ああ。
前の時は出血が無かったか。
それに体を真っ二つにされたくなくて、少し自分で飛び上がった部分もあるし。
なんて言い訳をしつつ、聖魔法の完治を唱える。
すると、落ちて来る俺に止めを刺そうとしていた、ゴブリンエンペラーが驚き、そして殺気を向けて来る。
そして、飛び上がって来た奴のハルバートの打ち込みを、形を変えた聖魔障壁で受け流し、奴が空中でバランスを崩した処で超低温細氷を使用。
更に天井と床に硬質化を掛け、大地創造でサンドイッチに。
だけど、奴は細氷魔法に包まれた上バランスを崩したまま、隆起して来た天井にハルバートを撃ち込み破壊し、更に地面から延びて来た岩にもハルバートを打ち付けて破壊してしまう。
もっと、大きな隆起にしておけば良かった。
不安定な空中なのによくやる。
そう思いつつ、地面に落ちていく奴に、更に超低温細氷を重ね掛けする。
「ギィヤー」と叫んでいる処を見ると、多少はこたえているのか。
寒さで動きが鈍くなってくれればいいんだけど。
地面に落ちた奴は、また俺に突撃してくる。
多分、ハルバートを打ち込もうとしたのだろう。
しかし、足がつまずいて転んで、凄い勢いで避けた俺の横を通り過ぎて壁に激突する。
罠かも。
そう思いつつも、更に超低温細氷を打ち込む。
すると、細氷の効果範囲から飛び出して、また俺にハルバートを叩き付けて来るが。
前より遅くなった打ち込みを、聖魔障壁で弾き、体勢が崩れた処で距離を取りながら、更に超低温細氷。
そして、武器をアダマンタイトの槍Ⅲに持ち替える。
また細氷の効果範囲から飛び出し突っ込んでくる奴のハルバートの一撃を聖魔障壁で受け流す。
そして、バックステップで一度距離を取りながらまだ体が泳いでいる奴の隙をつき、アダマンタイトの槍を奴の鎧の目の部分に撃ち込む。
奴は何か反応しようとしたが、体を思う様に動かせなかった様で、頭部に致命傷を受けて、戦利品へと変わって行った。
はあ。
全然、楽勝じゃないな。
Bランクを大量に狩れるようになるのは、何時の日になるのか。
ゲンナリしながら、戦利品の回収へと向かう。
ゴブリンエンペラーの戦利品は、魔石Bとヒヒイロカネの槍、ヒヒイロカネの大盾、ヒヒイロカネの全身鎧かな。
いや。
それだけでなく、ここは始まりのダンジョンなので、ボス部屋の後ろにある部屋に巨大な宝箱があるのではなく、ボスの戦利品として大きい宝箱が発生し始めた。
それを警戒をしながら待っていると、出ましたよ。
巨大な宝箱。
そう言えば、ヒヒイロカネの武具も奴と一緒に消えたから、戦利品として再作成されたのか。
そう思いつつ、罠解除スキルに罠の有無を聞き、罠無いと言う事で宝箱を空ける。
すると中身は、アダマンタイトの槍Ⅳ、アダマンタイトの盾Ⅳ、魔樹の杖Ⅳ、エリクサーⅣ12本、魔晶石A9個、リーダーの宝玉・雷魔法・結界魔法・HP向上・身体強化・剣技・水魔法・格納箱・鍛冶・魔法薬・錬金術スキルの宝玉、アダマンタイトのインゴット10個、若返りの雫、魔法の袋(中)、魔石Bとヒヒイロカネの槍、ヒヒイロカネの大盾、ヒヒイロカネの全身鎧。
まあまあか。
一番の目的は、リーダーの宝玉だから、まあ良いんだけど。
後は、とステータスウィンドウ内の時計を見ると、まだ早朝か。
次の4階は、3階と同じCランクの魔物。
同じCランクでも少し強くなっている可能性があるが、Bランクの中ボスと戦う為に強化したし、次の仲間を迎えるイベントまで後数日しか時間に余裕はないか。
地下4階への階段へと行き、階段を下りながら感知スキルの探索の魔力の網を地下4階に伸ばして確かめる。
ああ。
これ以降は、ジャイアント系とオーガ系が出て来るのだったか。
Cランクのジャイアントとオーガは、巨大で、丈夫で、力が強いが、感知能力は高そうにない。
少なくともゴブリンニンジャの感知能力には及ばないだろう。
ならば、経験値稼ぎと宝箱の回収をすべきだな。
そう決断し一気に階段を駆け下りながら、転移魔法の座標刻印をし、MP回復薬Ⅳを飲んでから、地下4階へと降り立った。
主人公は、無事に中ボス戦を終えて、地下4階へと行くようです。




