第274話 マドリーンと
主人公は、借りている建物に帰ると、直ぐにマドリーンを抱き上げて亜空間部屋に。
エッチの準備をしていると、マドリーンが本音を話し始めましたが。
「何も言ってくれないんだね」
そうマドリーンに『本音を話せ』と言っても「……、言ったって、どうしようもないじゃん」と言ってくる。
「だよね」
そう言って、何か話してくれないかなと思つつ、しばらく待ってみる。
すると「死んだら嫌だよ」と、涙声で言って来たかと思ったら、しゃくりあげ始める。
「俺も嫌だけど、どうしようもないからな」
「だったら、私達の強化なんてせずに、自分を強化すべきでしょ。何でしないのよ」
「ん。宝玉の使い道の事?」
「そうよ。
それ以外だって、今日も皆のレベル上げをしたけど、ヨシマサちゃん1人で魔物を狩った方が強くなれるのに。
自分が死んだあと、私達が困らない様に私達のレベル上げをしているんでしょ」
「いや。それもあるけど、皆を人質にされて『死ね』とか言われる事も想定して、そうならない様に皆を強くしているのもあるんだけど」
「えっ」と、驚いた表情をしている。
頭は良いのに、あまり考えたくない事なのか、そう言う想定はしていなかった様だ。
「勇者候補は、仲間になるとか言っておいて、後ろから刺すなんて事もしているんでしょ。
なら、俺の大事な人を人質にして死ねとか言うパターンもあるでしょ」
「そうならない様に、私達を強くしているの?」
「そうだよ。まあ、マドリーンの言った理由もあるけどさ」
「そうなったら、私達なんて見捨てれば良いでしょ」
「いや。そうなったら、どちらを選択しても後悔しそうだし、下手すると選択出来ないまま殺されそうだから、そう言うのを回避したいんだけど」
「ヨシマサちゃんが生き残って、蘇生してくれればいいでしょ」
「聖魔法に聞いた感じだと、必ず蘇生出来るって魔法じゃないからね。
それに、俺を殺して油断している勇者候補をマドリーンが倒して俺を蘇生させるって方が、現実味がある気がする」
「どうしてそうなるのよ。ヨシマサちゃんは勇者候補や勇者に倒されると、蘇生できない灰になるのよ」
そうマドリーンは俺が咄嗟に思いついた意見の問題点を指摘してくる。
「そっか。そうだったね。
先ず我が身を守らないと駄目なのか。
まあ、瀕死程度なら何とかなるだろうから、それで油断させている間にマドリーン達がって方法はあるんだろうけど、まあ、皆が危険だし駄目か」
「……、死んだら嫌なのに」
「俺もそうなんだけどね。自分も、マドリーンも」
「これから、どうするの?」
「他の勇者候補を探し出して殺そうとまでは、未だ思えない。
なら、隠れつつ自分や皆を鍛え、他の勇者候補が俺を探し出す為に時間を無駄にしている間に、より強くなって、返り討ちにする、かな。
まあ、奇襲をする方が有利だとも思うけど、感知スキルがあっても探し出すのには苦労させられる可能性があるし」
「どこかに隠れて、ひっそりと暮らす、では駄目なの」
「強くなる努力を止めて全力で隠れた場合、俺達ではどうしようもない程強くなった他の勇者候補の奇襲を受ける事になる様な気がする。
入手困難ではあるけど、見破る事が得意になる心眼なんてスキルまであるしね」
「今のまま、進むしかないんだ」
「少しずつ、見つかり難くなるように、努力したり工夫したりしながらね」
「……」
「さて、やっと運動の時間だ」
そう言っても怒って来ない所を見ると、少しは納得したのかな。
何の解決にもなっていないんだけどね。
でも……。
ゲームだと『アリーサとマドリーン2人と寝る』を選択し、二人同時に好感度を上げていた。
だから異世界の現実でも、それで良いと思っていたけど。
マドリーンは、今までだってずっと不安を抱えていたけど、アリーサに不安を与えるような話をアリーサの前では出来なかったのかもしれない。
ゲームとは違って、マドリーンとアリーサも一対一でエッチして、その時に不安とか不満とかを吐き出させた方が良いのかもしれないな。
ああ。
交流術スキルさんに、そうする方がよいって言われた。
勇者候補で殺し合うなんて、ストレスの掛かるゲームとの違いがあるんだから、ゲームと同じでは駄目か。
よし。
そうすれば、少しは円満に生活できそうだし、それで行こう。
後は、死なずに済む様に強くなるしかない。
でも、今は、目の前のマドリーンだけに没入させてもらおう。
これからは、ゲームみたいに3人で寝るのは止めるようです。
まあ、状況次第なのかもしれませんが。




