第265話 クラリッサの隠形では
昨晩、斥候系に就ける様になったクラリッサと神官系に就ける様になったラファエラ。
王都近くの始まりのダンジョンで、新しく就ける様になった1級職から順次極めて行っています。
成長の加護を持つ俺が魔物を倒し、大量に得た経験値でクラリッサとラファエラのレベル上げ。
まあ、レベリングで強くなったのでは経験不足になると言うのはあるんだけど。
死なれるのも酷い目にあわれるのも、やっぱりね。
とか考えてはいても、結局は皆にも順次色々と経験して貰うつもりなんだけど。
とりあえず、魔物からの攻撃が致命的にならない程度の魔物との戦闘で経験は得て貰う方針で行こう。
そんな事も考えつつ、中位ゴブリンやオークを隠れたまま俺が倒して先に進む。
また、合間で鉄の塊や銅の塊も採掘スキルを使い発見したモノを、鍛冶スキルの錬成によりツルハシを造り、それで壁を叩き割る事で掘り出して確保している。
採掘スキルとMPによる念動や魔力刃による採掘も可能なんだけど、物と腕力を使わない分MP消費が多いので。
なお、この世界での鍛冶スキルを使った錬成とは、MPを使用して原材料をスキルにより形成し強度を上げる製造法だ。
溶かした金属を型に流し込み金属製品を作る鋳造は採掘スキルで、金属を叩いて丈夫にしながら金属製品を形成する鍛造は鍛冶スキルで、スキルからの支援や指導があり物を造る事が出来る。
それとは別に今ツルハシを作った鍛冶スキルの錬成と言う非常に便利な製造方法があるんだけど、鍛冶スキルのランクが低い内は、錬成以外の方法で造った方が圧倒的に丈夫になる。
だけど、今はそれ程丈夫さは必要ないし。
ツルハシの柄の部分は木で作りたかったんだけど、木工スキルを身に付けていないので、金属で造った。
なので、壁に打ち付けた時の振動が直接手に来るが、革手袋と上がっている耐久ステータスで我慢できる程度なので、我慢しながら採掘もしておく。
宝箱を回収し、鉄や銅の塊も回収し、魔物を倒しているとマドリーンが「私達、戦闘訓練しなくていいのかな?」と聞いて来た。
「しても良いけど、二人がまだ3級職とかだからね」
「4級職になったら、戦ってみるの?」
「後衛の二人が6級職でそれなりのレベルだし、ここに居る魔物はEランクだから、3級職でも良いと思うけど。
まあ、試してみるのも良いか。
スキルの取得状況はどうなの?」
レベル27になり、あれから二つスキルを取得したはずの二人に聞いてみる。
「私は、更に感知と偽装を取得してランク2に出来ました」とクラリッサは嬉しそうに言ってくる。
それに対しラファエラは「私は、精神異常耐性を2つとった処ですけど」と不安そうに言ってくる。
二人に教わった状況から「なら、クラリッサの偽装で戦ってみる?」と提案してみる。
すると「ちょっとキツイ気もするけど、試してみようか」と、マドリーンが皆の意見を取りまとめたので試してみる事に。
今はクラリッサの偽装スキルによる隠形で隠れ、クラリッサの感知で敵を探し出して討伐に向かっている。
クラリッサが先頭で、クラリッサの歩調に合わせて動く様に、クラリッサからの指示があったんだけど。
「こんなにゆっくり動かないと、ランク2の偽装だと、隠形が解除されるんですね」とクラリッサは申し訳なさそうに言って来る。
「俺以外は経験した事なかったっけ?」
「ヨシマサちゃんは、いきなり偽装スキル4.5とか言っていたでしょ」
「よく覚えているね。ああ。そう言えば『どれだけ偽ろうって言うのよ』ってマドリーンに突っ込まれたか」
「そうだったけど。偽装スキルのランクが低い時は、こんな感じだったんだね」
そうしみじみマドリーンが言って来るが。
「ランク1だと動くと解除されるけどね。
まあ、使い続けてグレードが上がれば、この程度は動いて良い様になるけど」
「……、何事も経験か」とマドリーンは言うけど。
「まあ、しなくていい経験もあるだろうけどね」と一応反論しておく。
そんな会話の間に、オークの近くに到着した。
そこで、ゆっくりと近づいていき、前衛の二人も使える様になった魔法で倒す事にした様だ。
前衛の二人の4元素魔法も、ランク3になった事により矢系の魔法は同時発動可能化している。
それで十分倒せるはず、とみているとクラリッサが風矢を、ラファエラが石矢を大量に発生させ、12匹のオークに撃ち込もうとする。
でも、魔法を発生させると同時にオークに発見され、向かって来ていることに焦ったのだろう。
2人の魔法の攻撃が幾つかのオークに集中した為に、ターゲットになっていない個体が出てしまう。
結果、4匹ほどが魔法の攻撃を受けずに接近戦になる。
まあ、4匹のオーク程だから、前衛の二人の慣れた近接戦闘によりサックリと倒されたけどね。
だけど「……、多めに魔法を発生させたのに、全滅させられなかったね」とラファエラの方を見ながらクラリッサが呟いている。
「普段、マドリーンさんやアリーサさんが上手にやっているのが良く分かりました」と、ラファエラも反省気味か。
「あ~。私達も分担する時は多めに魔法を撃っているし、もう一種の魔法を待機させていて、状況を見てそれを撃ち込んだりしているから」と、マドリーンがアドバイスしている。
なるほどね。
俺は1人で倒す事が多いから、その辺は下手そうだな。
なんて思いつつ、次の獲物に向かうんだけど、今度は中位ゴブリンで、その中に感知に優れたアーチャーが居るなと思ったら、クラリッサの隠形では未だ視界に入っていないのに発見され、こちらに13匹の中位ゴブリンが向かって来る。
でも、それは予想していた様で、あわてず騒がず、水矢と石矢を待機させていたかと思うと、坑道の奥からゴブリン達が全員姿を現すと同時に魔法を撃ち込み、今度は全滅させている。
そんな戦いを数度繰り返し、後はクラリッサとラファエラのレベルアップの為に俺が殲滅すると言う事になった。
嫌だな、と思いつつも必要だから、と皆に戦闘経験もしてもらいつつ、順調に進んでいる様です。




