第243話 今日の予定は
主人公は、深夜から早朝にかけての始まりのダンジョン巡りの為の移動を終え、この大陸にある全ての始まりのダンジョンに簡易転移や転移で行ける様になりました。
となると、強くなる為に次の段階へと進む事になるのでしょうけど。
始まりのダンジョン巡り。
とりあえず、この大陸にある初級と中級はすべてクリアし、手に入るモノは全て手に入れた。
となると、その為に使っていた時間を別の事に使える段階になった。
だけど、次に仲間にしないと死ぬと分かっている人は王女。
それを助ける為にすべき準備もあると思う。
問題なのは、多分ゲームと異世界の現実との違いを意識した上での準備が必要だろうな、と予想される事なんだよね。
まあ、その辺を思い出して考えつつ、1日2日は強くなる事だけ考えての行動でも良いんだろうけど。
そんな予定を立てつつ、簡易転移で借りている宿の地下に帰る。
すると、皆裁縫スキルで色々とやっている様だ。
「ああ。ヨシマサちゃん帰って来たか。なら食事に行かないと」とのマドリーンの指示で、皆で食堂に向かった。
食堂での食事を終え、部屋に帰って狩りに行く準備をし、宿から出発した
王都の近郊で、探索スキルが感知し辛くなる地形へと向かっている。
そこから転移で移動する為だ。
そこに向かいながら「これからどう鍛えるかは決まったの?」と皆に聞いてみる。
すると「今日のヨシマサちゃんはどうだったの?」と、質問に質問が帰って来た。
まあ、先に説明するか。
「この大陸の始まりのダンジョンは全て回ったよ。まあ、初級と中級だけだけどね。
ちなみに、今朝は2つ廻ったんだけど、片方の始まりの村にも勇者候補がいたみたいなんだけど、またゴブリンアサシンに殺されていたみたいだ。
それで、今は44倍。
後4倍の成長の宝玉も手に入れたけど、それと簡易転移の宝玉2個はマドリーンに持っておいてもらおうかなって」
「えっ。4倍なら使えば良いのに」とマドリーンは何故にと言う感じ。
「44倍から48倍になるのと、2倍から6倍になるのでは効果が違う、って感じでね」
「でも、私達が大賢者候補になったり勇気を示して勇者候補や勇者になっても、成長の宝玉が使えるとは限らないんでしょ」とマドリーンは不服そう。
「うん。それでも、出来た時の為にね」
「……、まあいいけどさ」
そう渋々という感じのマドリーンに、亜空間収納から魔法の袋と成長の宝玉、簡易転移の宝玉2個を取り出し渡して、宝玉を魔法の袋に入れてもらい、彼女の方の格納箱に入れておいてもらう。
「それで、皆の方は?」
「……、とりあえず、皆結論が出なかったから3つ目の才能については先送りにしたんだけど。でも、それで問題になるのは何なのかな?」とマドリーンは困り顔で確認してくる。
「え~と、今日王都近くの隠されたダンジョンに行ってDランクの魔物を狩りまくったら、多分、今就ける4級職で4人ともレベル上限になり、5級職と6級職に就くよね。
そこから転職出来るまでの経験値を得るまでは、まあ良いんだけど、それ以上に得た経験値は、レベル上限まで行かない限り転職により消えて無駄になるかもね」
「……、5級職でレベル上限になるのに必要な職業経験値が850億で、6級職だと5兆弱になるんだ」とマドリーンが恐らくステータスウィンドウ内の職業経験値を意識すると表示される経験値表を見ながら言ってくる。
「そうだね。5級職の方だと、Cランクの魔物を大量に倒す事で、まだレベル上限に届きそうだけど」
「……、倒せるようになるのかな?」と言ってくるマドリーンも含め、全員が懐疑的な感じ。
「ぼちぼちね」
「昨日、Cランクのネイルモウル一匹に苦労したのに?」とマドリーンは疑問形で言って来るが。
「まあ、あの時4級職の騎士ではなく、5級職か6級職でいれば、あそこまで苦労はしなかったと言う意見もあると思うよ」
「そっか。ならCランクにも楽に勝てそうなのか。でも、私達5級職に就けないけど」と、マドリーンは納得した感じの後、困り顔で言ってくる。
「マドリーンやアリーサは、6級職の賢者にしかなれないからね。
まあ、失われる経験値に拘るなら、5級職に就ける様に神像の祠に行って、5級職に転職出来る様になる方法もあるけど」
「でも、今日も王都近くの隠されたダンジョンに行くんでしょ」とマドリーンなりに今日どうするのか考えていた様で、そう聞いてくる。
「まあ、王都近くの隠されたダンジョン巡りも、強くなる為の下地作りになるからね。
でも、一つ目の隠されたダンジョンで皆がとりあえず4級職を卒業したら、その後料理神の祠とか行ってもいいかもね」
そう言うと状況次第と思ったのか「あ~。うん。任せた」とマドリーンは先送りした感じ。
なので、とりあえず未だ行っていない王都近くの隠されたダンジョンへ向かう事にした。
昨日で、大陸の南側にある5つの王国の王都近くの隠されたダンジョンは全て行った。
緩衝地帯とも言える魔族領と接している或いは近くにある王国には、始まりのダンジョンも王都近くの隠されたダンジョンも無いので、今度は大陸の北側の国を巡る事になる。
と言っても、あと5か所か。
ツェーリカ王国の王都ジュラル近郊へ転移し、近くの隠されたダンジョンへと向かう。
薄っすら森となっている地帯へと突入し、巨木の幹に触れると、それが隠されたダンジョンへの入り口だ。
ここは、迷宮タイプの様で、綺麗な階段と明かりが灯っている。
感知スキルの探索により、地下一階にいる魔物を感知して、魔物の分布がどのパターンか確認する。
ああ。このパターンか。
そう思っていると、マドリーンが「どうしたの?」と俺の表情の変化に気が付いた様で聞いて来る。
「ああ。昨日行ったダンジョンと同じパターンだね。
地下一階がLV21のコボルト。
地下二階がハイコボルト。
地下三階がグレーターコボルト。
ボスがコボルトキングのパターン」
「あ~。もう一度、戦ってみるの?」とマドリーンが引き続き確認してくる。
皆は、この手の会話は、どうもサブリーダーと俺に任せる感じなので、皆の様子を確認しつつ、マドリーンの質問に答えておく。
「勿論、それでも戦闘訓練にはなるだろうけど、急いで強くなりたい俺としては、先に進みたいかな」
「了解。このダンジョンで私達の転職まで持って行くの?」
「あ~。次をどうするかだね」
「次?」
「もう一つ隠されたダンジョンへ行くか、神像の祠に行くか」
「……、お薦めは?」
「神像の祠は、今行けるCランク以下となると、建設神、木工神、料理神の祠だから、転職出来る様になっても戦闘力が上がる訳じゃないんだよな」
「と言う事は、隠されたダンジョンになるの?」
「まあ、そちらにも行って早めに終わったら、料理神の祠に行くと言うのでも良いと思うけど」
「ああ。あそこなら、一度行っているし直ぐ近くに転移できるのか」
「うん。移動の手間が無い分、時間的に余裕があるだろうからね」
「じゃあ、それで行こうか」
「まあ、料理神の祠は時間があればね」
「うん。そのつもりで。でも、先ずはここをクリアだね」とマドリーンが今日の予定についての会話を閉めてくれた。
主人公達は、今日の予定をある程度決めたようです。




