第233話 ボス戦での想定外
主人公は、王都近くの隠されたダンジョンを探索しています。
その過程で、6級職の賢者で一人前になり、その過程で得られたスキルで魔力操作スキルをランク5に出来ました。
その後は、騎士職で、精神異常耐性スキルをランク4.5に。
順調の様ですが。
王都近くの隠されたダンジョンの探索。
ファングアースワームの体液に嫌な思いをしてしまったが、魔究師でレベル上限になれた。
それで就いた賢者職でスキルを4つ取得し、一人前となるLV31を超えた処で、騎士職に転職。
そのLV31で精神異常耐性を取得。
順調なのかな。
そんな事を考えている間に地下3階に相当する洞窟の宝箱を全て回収し、辿り着いたボス部屋の前。
相手は、ネイルモォール。
爪で武装したモグラの魔物だ。
土の中に居る生物は、地面の振動とかに敏感なイメージがある。
現に、ファングアースワームはそうだった。
試しに、偽装スキルの隠形の強度を弱めて奴らの近くを歩いてみたら、地面から飛び出して襲って来たし。
そう思い出しつつ、どう戦うか考えていると、その俺の様子から危険な相手だと気が付いた感じのアリーサが「スキル追加の宝玉で強くなってから戦うんだよね?」と確認して来た。
「そうだね。そうしておいた方が良いか」
そう言って、亜空間収納内のスキル追加の宝玉を確認する。
結界魔法の宝玉が2つあるか。
結界魔法のランク1だと、不可視にした又は見える様にした最大100メートルの円形の結界を作り、その中についてより把握する事しか出来ない。
しかも、一個しか結界が造れないし。
しかし、ランク2だと、最大200メートルの結界が造れる様になるだけでなく、魔法障壁の様な防御用の結界を張れるようになる。
しかも、自分を中心として発生させるのではなく、場所や人を指定してそこに結界を張る事も出来し、形も自由に設定できるし、最大10個造る事も可能。
てことは、前世の漫画で見たように結界で空中に足場を造れると言う事だ。
聖魔障壁でも似たような事は出来るので悩んだが、取得する事を選んだ。
その理由だけど、前世で家庭菜園に居たモグラが穴を掘って地面をボコボコにしていたのをモグラの魔物に当てはめると、地面をグチャグチャにされそうだと思ったから。
となると、聖魔障壁以外でも足場を造れる様にしておくべきとの判断だ。
まあ、俺は飛翔スキルで飛べるんだけど、皆を空中に退避させる事を考えると必要か。
「結界魔法の宝玉を2個使わせてもらうよ」
そう言って結界魔法の宝玉を取り出して2個使い。空中に同じパーティの人には見えると言う設定で8個ほど、4人が十分に乗れる様な結界を作っておく。
「あれは、壊さないように注意しておけば、上に乗っていられるから」と説明をすると、全員不思議そうにしているが、まあ、俺の思う通りにはならないかもしれないし、特にそれ以上説明せず戦いを始める事にする。
皆に待機してもらいながら、俺一人で接近して行く。
中型トラックより大きいモグラの魔物だ。
どんな戦いになるかを想定しつつ近づく。
『やっぱり歩いた時の地面の振動で感知されるかも』と思っていたら、キッチリ感知されてしまった。
ボス部屋で待機していた感じなのが、目が光ったかと思うと「ゴ~」と音と土埃を上げながら、凄い勢いで奴の直下の地面が陥没し、その陥没を地面が移動して塞ぐ事で地中に潜られてしまう。
ならばと、土魔法ランク5の大地創造で、奴の体の上にある地面をスライドさせ、地中に岩の槍を創造し、地中の奴を貫き刺し、そのまま天井へ突き刺す、とイメージしたのだけど。
奴を引きずり出す事は出来たか、貫くはずの岩の槍が、奴の体に触れると同時に消滅していく。
……。
土属性攻撃を無効ってこういう事?
確か、土の中に居るタイプの魔物は、土属性に対し耐性か無効属性を持っていた。
ランク5の土魔法の攻撃を消すなんて、無効属性だろう。
と言うか、無効属性を持っていると敵が使った魔法とかを消せるんだ。
無効だもんね。
と、自分の迂闊さに突っ込みつつ、ノーマル火槍を8本ほど撃ち込むが、土の壁の魔法により防がれてしまう。
奴が再び地面に潜る事により発生する地面の移動により、立っていられなくなり、結界魔法により空中に造った結界に飛び乗る。
地面はなんか、無茶苦茶だ。
クソ。
爪の付いた手で穴を掘るんじゃなくて、魔法で地面を操作して地中を移動するのか。
大地創造魔法かそれに相当する魔法を使いこなしている?
皆の方を確認すると、地面は多少揺れている程度の感じ。
なので、まだ、空中に造った結界に乗っていない様だが、俺が乗っているのを見ているんだし、どう使うかは分かっただろう。
そんな確認をしていると、巨大な石槍が数十個発生し俺に対して打ち込まれる。
それを聖魔障壁で防ぎながら、地中に業火を打ち込む。
モグラの穴には、空間があったから、そこに発生させれば奴を倒せると思ったからだ。
でも、聖魔障壁が「バキ」と音をたてながら破壊されてしまった。
強化しろって指示しなかったけどさ。
『後数発、持ち堪えろよ』と残っている石槍を睨みながら別の結界に飛び乗る事により避けようとしたが、自動追尾機能が付いている魔法を避けきれずに右胸と左足に巨大な石槍を食らい、吹っ飛ばされる。
壁に叩き付けられたが、高めの耐久ステータスのお陰か、あまり深く刺さってはいない石槍を体から抜いて、足元に結界で足場を造る。
傷治療魔法を何度か唱え、異常治療魔法も一度唱え、傷の治療をとりあえずしてから、改めて状況を確認すると、奴は業火から逃れる為に地上に出て来たようだが、それでも体から煙をたて、こちらを睨んでいる感じだ。
そして、先程の石槍より巨大な岩の槍を発生させ、俺に撃ち込んでくる。
あれ?
さっきの魔法は石槍ではなく、石弾。
だから、攻撃を受けても致命傷にならなかったのか。
これが奴の石槍。
と言う事は、地面を無茶苦茶にしているのは大地崩壊魔法ではなく土の壁魔法なのか。
俺の数倍大きい魔物だから、魔法の規模も大きくなるのだとしたら、そうなのか?
戦闘中だと言うのに、そんな事に気が付き考えてしまっている間に、巨大な石槍が、こちらに向かって発射された。
巨大な魔物の使う魔法は、その魔物のサイズに合わせて大きくなってしまうのだろうか?
主人公は、そう疑問を持ったようです。戦闘中だと言うのに。




