第231話 使いこなせていないスキル
主人公は、洞窟型ダンジョンでの窒息とか有毒ガスとかが気になり、魔法の設定をし、皆に説明しています。
前世と同じかどうかは、分からないけど。
そう思いつつ、酸素とか二酸化炭素とかを説明している。
洞窟なんて狭い空間で、火魔法を使ったからなんだけど。
大雑把な説明をするとマドリーンが興奮気味に言ってきた。
「そう言えば、家の補修の時に大工のガゼラルに、冬の隙間風が嫌だから、無いように造り直してって言ったのよ。
でも、そうしたら風の精霊が家に入れなって怒って、頭痛をさせたり気持ち悪くさせたりしてくるって言っていたよ」
自分の経験と、俺からの指摘が合致したなら良い事だろう。
どこまで前世と同じか分からないのが不安ではあるが。
「風の精霊の怒りか、二酸化炭素の毒なのかは分からないけど、そう言うのを意識すべきなんだ。こういう空気の流れの悪い場所ではね」
「そっか~」と言うマドリーン。
他の三人は、まだ納得していない感じもあるが、知識として知っていて、それに対処してもらうだけでも良いだろう。
納得していないのはちょっと怖いけど、それは今後の懸念事項としておこうか。
細かい事を言えば、一酸化炭素中毒とかも注意したいんだけど、基礎となる知識が無いので、混乱させるだけだろうと、話すのを止める事にしたが、まだ気になるので注意を続ける。
「まあ、隠されていない鉱山系のダンジョンとかに行けば、そう言うのに似た話も聞けるだろうから、納得するのはその時で良いと思うけど、意識はしておいて。
で、俺がさっきしていたのは、火嵐にこの洞窟内にある酸素を使うのではなく、火嵐に必要な酸素なんかもMPを消費して作れと言う指定と、火嵐が発生させた毒になりかねない二酸化炭素と言った有害物質を消滅させる、と言う設定。
消費MPが増えるから避けたいけど、俺の聞いた話が本当ならこういった洞窟内では必要な事だから、って設定していたんだ」
そう言うと、俺が難しい顔をしていた理由は分かった様だけど、まあ全員が納得した感じではない。
「まあ、二酸化炭素で敵を殺すとか考えてもいいんだろうけど、魔族や魔物にとって二酸化炭素が毒となるかどうかは分からないし、
それに、皆に実感してもらう事は、危険すぎてしたくないから」
そう言うと、また不安になったようで「そ、そんなに危険なんだ」とマドリーンが聞いてくる。
「ああ。酸素も二酸化炭素も見えないでしょ。
だから、酸素不足で息苦しくなったり、頭痛とか吐き気とかで、二酸化炭素の影響を受けていると分かる場合なら未だ良いんだけど、そう言う前兆が何もなくイキナリ気を失って死ぬ場合もあるから」
と、酸素欠乏症や二酸化炭素中毒や一酸化炭素中毒を意識しながら言うと、皆の表情が曇る。
怖いと思ってもらえたようだ。
でも、意味の分からない恐怖に怯えているのも、良くないかもと追加の情報も言っておく。
「ちなみに、火嵐ではなく業火の方は、酸素を使わないらしいから、怖くなく使えるらしいよ。
まあ、そう言うのは、鉱山系のダンジョンに行った時に、纏めて教わる事にしよう。
今は俺に任せてくれればいいから」
そう言うと、皆疑問や懸念を先送りにしてくれたようで、多少は安心した感じに。
「なんか、知らないことだらけで、怖いよ」
そう言ってきたのは、マドリーンだ。
「いや。暖炉のある部屋を密閉し過ぎると危険って言っていたのはマドリーンでしょ」
「そうだけどさ」と言って来るが、まだ納得していない感じ。
そっか。
と気が付いた事があったので、皆に言う事に。
「火を燃やす場所を、密閉し過ぎると危険と言うのは、建設スキルが教えてくれるのかもね。
皆で、建設神の祠で転職条件を取得し、転職して建設スキルを取得した後、スキルに聞いてみるのもいいかも」
そう言うと、スキルに対する信頼はある様で「そっか。その時に色々と分かるかもね」と言うマドリーン以外も納得した感じになる。
と言う事で、先送り。
洞窟内の空気汚染とか、採掘スキルに聞けばいいと思ったのは、宿に帰ってからだ。
採掘スキルは普段使わないから、教育モードや助言モードではなく、スキルからは話しかけてこない会話モードにしてあるからな。
はあ。
使いこなせていないよね。
前世には無かったスキル。
主人公は、洞窟内の危険について、聞けば答えてくれたであろう採掘スキルの存在を忘れていた様です。




