第230話 地下用火嵐の説明
ファングアースワームを倒す際に、火嵐を使用した主人公。
それで、酸欠とか有害物質とかを思い出したようです。
洞窟型のダンジョン。
その地面は、所々岩ではなく土になる。
特に、空間が広がっていて大き目の部屋みたいになっている場所で。
そして、その土の地下に居るファングアースワーム。
牙で武装した強大なミミズに似た魔物だ。
それを土魔法の土の壁と硬化魔法で地上へ引きずり出し、火槍で攻撃してみたが、弱点らしき所が見つからなかった。
なので、火嵐を使ってみたのだけど。
迷宮タイプのダンジョンとかと比べると、洞窟タイプは狭い。
だから、火嵐による酸欠とか有害物質の発生が気になってしまった。
なので、火魔法に聞いて、魔物が炎に焼かれて暴れまわる時間を減らす為の『高温化』を追加しただけでなく、『魔法に必要なモノを全てMPにより供給』、『有害物質除去』、と言う効果を火嵐に付与した『地下用火嵐(ファイアーストーム フォー アンダーグランド)』を作成。
消費MPが220にもなったがしょうがない。
業火もそう言う設定にするかと火魔法スキルに指示したんだけど、こちらは炎の攻撃ではなく、超高温攻撃なので基本酸素は消費されないとの事なので、有害物質消去だけで良いらしい。
そんな事を確認したり、設定をしていると「何しているの?」と動きが止まってしまった俺に対し、マドリーンが皆を代表して聞いて来る。
なので、皆が地下での戦闘の厄介さを知っているかの確認もしておこう、と説明する事に。
「え~と。洞窟とか空気が自由に流れない場所で物を大規模に燃やすと、俺達が気分が悪くなったり死んだりするって言うのは知っている?」
「鉱山なんかで、そう言うのがあると聞いた事ありますが」と言って来るのはクラリッサだ
他の3人は、知らなかったようだ。
どう説明しよう。
前世と、どこまで同じか分からないけど。
でも、その辺に違和感はないから、同じか似ている理だろうと判断し説明をする事にする。
「俺達人族は、生きる為に、酸素と言うものが必要なんだ。
その酸素は、空気中に少しだけ存在する。
それを体内に取り込むために、俺達は常に呼吸をしている。
そして酸素は、普通に生活していても使うが、運動とかするとかなり必要になる。
運動した後、息が切れて苦しくなり、一生懸命呼吸した事は有るでしょ。
まあ、今は耐久ステータスの恩恵により、あまり呼吸をしなくても大丈夫になっているんだけど」
「そうなんだ、良く分からないけど」とアリーサは不思議そうにしている。
「ああ。水中に潜ると、そのうち苦しくなるでしょ。あれは空気中の酸素を呼吸により体に取り込めないから。
まあ、水呼吸と言う魔法を使うと、魚の様に水中の酸素を取り込めるようになるんだけどさ」
そう言って周りを見ると、そう言うのはあるけど良く分からない、と言う感じか。
でも、キッチリ説明しても分かってもらえない気もするし、説明を先に進める事にする。
「しかし、それだけではなく、息を吸って酸素を取り込んだ後、二酸化炭素と言う物を俺達は吐き出しているんだ。
それはごく少量なんだけど、あまり量が多くなると毒になるんだよね。俺達にとって」
「えっ。でも、私達が出しているんですよね」と、クラリッサが驚いた表情で聞いて来る。
「ああ。でも、空気とか酸素とか二酸化炭素って自由なんだよね。風の精霊がそう言われている様に。
だから、外の様な場所なら、自由に酸素も二酸化炭素も動き回り、直ぐに周りと均一化され、拡散されるから、二酸化炭素は毒となる濃度にはならないし、消費された酸素も、直ぐ俺達の傍に来てくれるんだ。
だけど、こういう閉ざされた場所だと、自由に動けないから、酸素が補充されるのにも、二酸化炭素が拡散するのにも時間が掛かる。
だから、酸素不足になったり、二酸化炭素が毒となる濃度になったりするんだ」
「……、ちょっと分からないけど……。
洞窟みたいな場所だと、風のエレメント(要素、成分、要因)の自由が制限されているから風魔法の力が落ちる、と言うのは、聞いた事があるんだけど」
考え込んだ後、アリーサが困り顔でそう言って来る。
「風のエレメントの自由が制限されていると言う理解で良いと思うよ。その結果、地上とは違う注意すべき事が出てくるんだけど。
だから、洞窟とか洞窟型ダンジョンとか鉱山とか鉱山型ダンジョンで、そう言う意識を持っていた方が良いと言う話なんだけど、俺が注意するから皆は話半分でも良いよ。
でも、そう意識し対策をしていないと、死にかねない危険な事なんだ」
そう言っても、皆はピンと来ていない感じ。
だけど、説明を続ける。
「そして、もう一つ。物を燃やすと、同じ事が起こるんだ」
「それって」とマドリーンはピンと来なくても危険と言う事を理解してくれた様だ。
「薪とかに火を点けて燃やすと、薪が燃えるだけでなく、空気中の酸素が使われ、二酸化炭素が発生する。
しかも、さっきの火嵐の規模になると、人の呼吸と比べ酸素の消費量や二酸化炭素の発生量が多いと思うんだよね」
「そ。そんな。という事は、さっきの火嵐で」とクラリッサが呟いている。
他の人にも危機感は伝わったかな。
「野外とか開けた場所なら、酸素も二酸化炭素も自由な風の精霊と同じ様に動き回ってくれるから、その辺は心配しなくていいんだけどね。
でも、こういったある程度閉ざされた空間だと注意すべきなんだ」
そう言うと、危険なんだ、と言うのは多少だけど皆に伝わっている様だ。
「怖いと思ったかもしれないけど、過度な心配も無駄になるだよね。
冬の家の暖炉を思い出してもらえば、良いのかな。
ある程度、空気と言うか風が流れている状況なら、家を中で火を燃やしっぱなしにしているでしょ。
竈なんかもそうだけど。
後は、煙突が有るのは、煙を外に出すだけでなく、燃やす事で発生した二酸化炭素とかを外に出す為なんだけどね」
二酸化炭素は空気より重いとか気になったけど、その説明をすると混乱するだろうから、その説明は省いて周りの様子を確認する。
「そう言えば、家の補修の時に大工のガゼラルに、冬の隙間風が嫌だから、無いように造り直してって言ったのよ。
でも、そうしたら風の精霊が家に入れないって怒って、頭痛をさせたり気持ち悪くさせたりしてくるって言っていたよ」
そう、興奮気味にマドリーンが言って来た。
この異世界でも、換気は必要の様です。




