第23話 ファングウルフ戦
主人公は、先ずオークとの戦闘に勝ったようです。
次に戦う魔物は。
3級職の隠密で転職が可能となる一人前になったので同じく3級職の重戦士に転職し、盾技をランク1で取得した。
なので、鋼鉄の盾Ⅲを格納箱から取り出し、剣と盾と言う装備で戦ってみる事にしたのだけど。
ランク2の感知スキルは、グレードが上がっていないので現状だと最大5キロまで探索が出来る。
しかし、最大範囲の探索だとMPの消費量が多いし、ここのダンジョンはそこまで広くないし、把握する範囲が広すぎて無駄が多い。
と言う事で、常時探索で感知する範囲を『半径200メートル』と思念によりスキルに指示していたのだけど、それに凄い勢いで飛び込んできた魔物の反応。
あれ?
感知能力で負けた。
限界まで感知範囲を広げていないから何とも言えないが。
直ぐに会敵しそうなので、爆裂火矢を4つほど発生させ、現れると同時に撃ち込めるようにしておく。
先ほど倒したオークと気配が違うと言う事は、こちらに向かって来ている魔物はファングウルフだろう。
ファングウルフは、狼の魔物だ。
ファングと付いているが牙は特に大きい訳ではなく、小型の馬車並みに体が大きく動きが素早い。
Eランクでも強い方の魔物で、足が速く感知能力も高い為、出会ったら逃げる事も出来ない危険な魔物と両親から注意を受けていた。
なのに、そこまで知っていて、対処を考えていなかった。
しかも俺、今レベル1だろ。
今更焦り始めると、ファングウルフが迷宮の曲がり角から飛び出してくる。
それが目に入ると同時に爆裂火矢を撃ち込む。
しかし、奴は壁走りや、壁を蹴って飛び回り4つとも避けてしまった。
まじかよ。
ゲームだと、このクラスの敵なら火矢は確実に当たっていなかったか。
剣とかの攻撃は、それなりの確率で避けられていたけど。
ゲームとの違いに焦りながら、更に爆裂火矢を4つ打ち込むが、また避けられそのまま足に噛みついて来る。
それを剣で牽制すると、慣性を無視しているのではと言う勢いのバックステップで避ける。
それで確信したが、スピードで負けている。
幸い、目で追う事も出来ない程のスピード差ではないけど。
奴は、俺が唯狩られるだけの獲物ではないと気が付いた様で警戒しながら、目の前をウロウロしている。
どうする。
そう迷いが出た時に奴が咆哮した。
その声を聴いた途端、体が硬直する。
その隙をついて頭に噛みついて来ようとするのを、何とか盾を掲げて防ぐが、盾ごと腕に噛みつかれ、振り回されて壁に飛ばされる。
『壁に打ち付けられる。後頭部を守らないと』と思った時には壁に叩き付けられてしまい、その衝撃で一瞬意識が遠くなってしまった。
しっかり、意識を保たないと死ぬ。
と、ノーマル火矢を12発発生させ打ち込むが全て避けられ、少し離れた場所で『ウゥゥゥ』と唸りながらこちらを睨んでくるファングウルフ。
くそ。
通路いっぱいに火弾を発生させ、それを打ち込めば避けられない筈。
でも、MPの無駄だし、強化していない火弾でダメージが与えられるのか。
あ。
火の壁と念じ、炎の壁をダンジョンの通路に隙間なく、温度と厚さを上げて発生させる。
ファングウルフは、「ボォー」と音をたてながら燃えている炎の向こう側に居る為に姿は見えない。
しかし、感知スキルの探索で把握しているからだろう。
火矢の対象としてロックオンできたので奴に爆裂火矢を4発撃ち込む。
すると、奴の感知は火の壁に邪魔されていたのだろう。
火の壁から急に現れた火矢を避けきれなかったようで、爆裂タイプが頭部に命中し、戦利品となっていく事が感知出来た。
そこで火の壁を解除し、戦利品に向かうと魔石とファングウルフの皮が落ちている。
はあ。
MPの無駄使いだった。
いや。死にかけたのか。
と、『傷治療』と念じて魔法で傷を塞ぎ、念の為に『異常治療』とも唱えようとしたが、必要ないと異常治療魔法スキルに教わり、もう一度『傷治療』を行った。
そして、感知スキルの常設の探索を半径500メートルに設定。
まあ、壁とかに感知能力が阻害されるから半径500メートル内の全てを感知出来る訳では無いが、これでさっきよりは2.5倍の感知範囲だから、先ずこれで試そう。
後は、と火魔法メニューを表示し、ファングウルフのスピードに対処すべく、火魔法の強化を変更する事にした。
主人公は、ファングウルフとの戦闘で苦戦した事から感知スキルの探索の設定を変更し、更に魔法の設定をかえるようです。




