第226話 王都近くの隠されたダンジョン地下1階
主人公は、今日二つ目の王都近くの隠されたダンジョンへ。
どうも、洞窟タイプのダンジョンで、今までとは少し勝手が違うようです。
タニバル王国の王都近くの隠されたダンジョン。
ここは、洞窟タイプのダンジョンの様だ。
そして、土に潜れるタイプの魔物が配置されている。
今までとは勝手が違う気がするが、これは、これで皆の戦闘訓練と言う意味では良いのだろう
ゲームだと、違いを感じる点はグラフィックがメインで、剣とか魔法で普通に攻撃できたし、それ程違いを感じ無かったんだけどね。
という事で、俺も慎重にならないとな。
そう思いつつ先きに進む。
きつめの勾配の洞窟を下る事が、地上からの階段を下りるのと同じ階層移動となるようで、地下一階相当になった、と言う事なのだろう。
偽装スキルの隠形を行ったまま地下への道を下りて行くと、アサシンアントが3匹ほど居る少し開けた場所に着いた。
土魔法ランク2で取得する土探索と言う地下を探索する魔法を使用して探ってみるが、土の中に居るアサシンアントはいない様だ。
なので、ノーマルの火矢を頭部に撃ち込むと、倒し切れずに、でもこちらを認識で出来ないアサシンアントがワチャワチャしている。
甲殻がな。
ノーマル火矢程度では、破壊できないんだ。
と思いつつ、強化タイプである爆裂火矢を撃ち込むと、流石にEランク程度と言う事なのだろう。
頭部を破壊されて戦利品となる。
残ったのは、魔石のみか。
「最初がノーマル火矢で、後の方が強化した爆裂火矢だよね」と、魔法について正確に把握しているアリーサが確認してくる。
「うん。正解。外骨格のある丈夫そうなタイプだと、ワンランク上の魔法が必要なのかね」
「その辺は、何とも言えないんじゃない。相手次第だし」
そう、正しい返答がマドリーンからなされる。
お嬢様だったマドリーンも、戦い慣れて来たと言うか、魔物との戦いに対する知見をそれなりに得たんだと思いつつ、先に進む。
まあ、偉そうに言えるほど、俺も把握していないんだけどね。
ゲームでは、甲殻だからなんて事も無かったからな。
あれ?
ゲームでは、各種属性とかに対して、弱点・普通・弱耐性・強耐性・無効なんかが設定されていた。
アサシンアントだと、斬撃、射撃、突撃、風、土、闇に対して強かったか。
弱点は、打撃、水、氷、光だったな、と思いつつ、次に会敵したアサシンアントに、巨大石矢、巨大氷矢、高速風矢を撃ち込んでみる。
一撃で倒せたのは、巨大氷矢のみ。
高速風矢は甲殻に対して威力不足だとは思っていたんだけど、質量攻撃の側面のある巨大石矢の方は倒せる気がしたんだけどな。
属性に対する耐性って、やっぱり意味があるんだ。
だとしたら、まあ、しょうがない。
この時、何故巨大石矢で倒せないのか、土属性に耐性を持つと言う事がどういうことなのか、詳細に調査分析しておけば、ボス戦が少しは楽になったのかもしれない。
だけど、この時点ではそれに気が付かず、ダメージを受けて警戒している残りのアサシンアントに爆裂火矢を撃ち込んで、先に進んでしまった。
王都近くの隠されたダンジョン地下一階にいるアサシンアントは、地中に居る訳でもないので、普通の敵として接近戦も試してみる。
6本の足の内、前足2本の爪を武器としてこちらを切り裂きに来る。
ああ。
巨大な顎で噛みに来るのもあったか。
それを往なしながら、ミスリルの剣や槍で頭を叩き割る。
甲殻に自信があるのか、身を守る本能が無いのか、防御とかしない頭を潰すと戦利品になってくれるので、難しい敵ではない。
斬撃や突撃に耐性がある筈なんだけど、今の俺のステータスと武器の性能だと、問題なくダメージを与えられるし。
と言う事で、一通り皆にも戦ってもらう。
するとアリーサが、4本の足で踏ん張っているアサシンアントに踏ん張り負けして倒され、噛みつかれそうになった。
Eランクの魔物だから、単純な力比べではアリーサの圧勝の筈なんだけど、足場の悪いところでは、爪付きの4本の足で踏ん張れるアサシンアントの方が有利な部分もあると言う事なのだろう。
そのアリーサ以外も危なげな場面はあったが、他の人の援護で俺が手助けをする事なく倒し続けられている。
次のビッグバットは、ラファエラ以外は戦った事があるので、ラファエラを中心に戦闘訓練をしてもらうんだけど、やっぱり飛ぶ相手と剣で戦うのは相性が悪い。
噛みつき攻撃や引っかき攻撃をしてくるタイミングを読み取り、剣で倒すと言う手間は、飛んでいたり、天上にぶら下がっていたりするのを魔法で倒すのとは、掛かる時間が違い過ぎる。
まあ、ノンビリと鍛えていける状況なら、キッチリ経験してもらいたい処ではあるんだけど、余裕があるかどうかはな。
魔物を倒す効率だけでなく、彼女にも生き残ってもらう為には、長距離攻撃手段を得てもらうのが間違いないのだろう。
その場合、クラリッサが風魔法と水魔法持ちだから、それ以外になるのかな。
考えておこう。
洞窟タイプのダンジョンで地下一階相当と思われる場所で全ての宝箱を回収したので、次はまた勾配のきつい洞窟を下って行って、地下二階相当へと向かう。
次の階層は、中位のスケルトンたち。
それを皆に説明する。
「この階層に居るのは、スケルトンファイター、メイジ、プーリスト、スカウトだ。
スケルトンのプーリストって何だよと思うけど、魔族や魔物の側の魔法である邪魔法を使って来るスケルトンだね。
邪魔法は、ランク1で邪牙と言う魔力で作られた仮初の牙で攻撃してくる。当然、多弾頭化もあるけど、自動追尾機能は無い。
ランク2で、邪の祝福。これは、ステータスを上げる魔法だね。
ランク3で、邪魔障壁と言う、聖魔障壁と対になる防御魔法。前に、ゴブリンナイトに使われて苦戦したって話はしたよね。
ランク4で、狂化と言う、意識を無くしたりほぼ無くしたりし、やたらと攻撃的になるけどステータスが1.5倍とかになる魔法。
ランク5で完治、蘇生と言う治療魔法が使える系統の魔法だね。
他の魔法と同じ様に、5.99とかになると自作の魔法が造れるのは同じなんだけど、死の超越と言う対象をアンデッド化する魔法が有名かな」
「攻撃、強化、防御、治療、魔物創造が出来る系統の魔法なんだ」と、魔法についての会話だからか、嬉しそうにアリーサが聞いて来る。
「うん。こちらの聖魔法と対になる魔法らしいんだけど」
「そっか。聖魔法も、浄化、強化、防御、攻撃、治療が出来る魔法。
でも、その魔法の系統に合わせた自作の魔法となると、随分違ってきそうだけど」と、アリーサが考え込みながら聞いて来る。
「そうだね。聖魔法の魔法創造だと、聖なる裁きとか、聖なる領域とかが有名だから、まあ違うよね。
後は、相手には浄化がなくて、狂化があると言うのが大きな違いかな。
まあ、レベル1のスケルトンプーリストだと、精々ランク2程度までしか邪魔法使えないだろうけどね」
「邪牙って魔法は直進しかしないんですよね」と、対処法を聞いて来たのは前衛のクラリッサだ。
「ああ。スピードもそれなりだけど、向こうがスピードを強化する事もあるかもしれないから、避ける事だけでなく、聖魔障壁とかで防ぐことも考慮しておいて」
「わかりました。気を付けます」と、今度は同じく前衛のラファエラが返事をしてくれた。
主人公は、邪魔法について説明し、地下2階相当に向かうようです。




