第208話 生産系職業を経て
主人公は、結構危険だった戦闘について、皆に細かく問い質されています。
皆にリーサルスパイダーとの戦闘で起こった事を説明すると、結構聞きたい事が出て来たみたいで、追加の説明を続けている。
感知系スキルを取得し、皆の安全を確保する立場となるラファエラは、俺がリーサルスパイダーを感知出来なかった事が不安な様だ。
すると、今度はクラリッサが聖魔障壁が破られた事が怖い、と言ってくる。
前衛で皆を守る盾になる、と言う意識があるという事なんだろうな。
そう思いつつ、説明をしておくことにする。
「ああ。蜘蛛なんて軽い筈だけど、あれだけの巨体だと質量もそれなりになるし、素早い動きと空中での姿勢制御をキッチリして8本の足を槍代わりにして俺を串刺しにしようとして来たからね。
上空にある蜘蛛の巣の糸の反動とかも使っていたか。
聖魔障壁は、アッサリ壊れたよ。
風の護りは、それ以前に地上での前足の攻撃を防げていなかったしね」
「ヨシマサさんでも避けきれない程のスピードと言うのも、怖いんですけど」と、クラリッサは不安そうだ。
「まあ、今の職業は俊敏に補正が無いから、そうでもないよ。
戦っている途中に俊敏の高い職業に就いていたらとか思ったんだけど、今の職業なら潤沢なMPを持っているんだからそれを使って攻撃すれば良いって開き直ったんだけどね」
そう状況を伝えておく。
「そうだったんですか」と、納得した感じになったクラリッサに代わり「火で燃えない糸だなんて、対処に困らないかな」と聞いて来たのはアリーサ。
「爆裂火槍4発を撃ち込んだら、それに対して口から糸の網を吐き出して、爆裂火槍を撃ち落としてしまったからね。
なら別々の方向から一気にと爆裂火矢を操作したら高速で避けて、避けたリーサルスパイダーを追いかける事で纏まった火槍をまた糸の網で撃ち落とされたからね。
頭がいいのか、本能なのか、勘が良いのか」
「そんな」と、アリーサは困り顔だ。
「後は、地面に落ちたら煙を上げて地面を溶かしていた糸もあったから、そう言う糸にも注意かな」
「どうすれば良いのかな?」と、アリーサが素直に聞いて来る。
「ああ。糸は軽いからそう言うのは風の護りで防げるだろうね。
逆に聖魔障壁だとへばり付かれて障壁にダメージが来たかもしれないし。
ああ、風の護りも蜘蛛の糸を強い力で操作する能力があれば、油断は出来ないのかな」
そう色々と想定しながら言うと、アリーサは困ったなと言う感じで黙り込む。
すると「本当に厄介な相手だったんだね」としみじみと言って来るマドリーン。
「と言うか、裁縫神の祠への神像お祈りツアーはあんなのと何時も戦って倒しているのかね。それとも俺達が運が悪かったのか、どっちだろう」
「私達に聞いたって、分かる訳ないでしょ」とマドリーンは何故か怒り気味に言ってくる。
「はあ。まあ、勝ったから良いけどさ」
そう言いつつ、転職の為に魔物を倒そうと獲物の方に向かう事にしたけど、先ずは皆の転職か。
クラリッサは、聖騎士でLV31を超えたので、更に聖騎士で1種スキルを取得する。
俺が、即死、石化に対しても強くなるよと言ったら、状態異常耐性を取得しランク3にした。
そして、マドリーン、アリーサ、クラリッサは薬師LV1へと転職。
それでやっと魔物との戦いだけど、グレーターキラーグラスとは、3人が弱体化しているので、リスクを避ける為に戦闘訓練はせず、隠れた状態からの石槍や氷槍で根元から刈り取って倒している。
戦利品は、魔石と綿花又は麻の原料となる靭皮を落としてくれる。
なので、後で、経験値稼ぎと併せて刈りまくろうと思いつつ、進路に居る奴を皆の職業レベルを見ながら倒していく。
この階層に居る筈のアサシンスパイダーは、ボスに誘導され4階の入り口に居たのか、あまり居ない。
ポツポツとリホップはしているみたいだけど、態々遠回りをしてまで狩りに行かずに、慎重に神像の間を目指す。
そんな狩りをしながら、転職とスキル取得の繰り返しだ。
まず薬師だけど、薬学、鑑定、状態異常耐性スキルから選ぶことになる。
クラリッサは、状態異常耐性が既にランク3なので、薬学を3回、レベル上限になった時に追加される量産と効果強化スキルのうち量産を取得。
これに対し、マドリーンとアリーサは、薬学を2回、状態異常耐性を1回取得し、レベル上限になった時に更に追加される量産と効果強化スキルから量産を取得。
次も3人とも採掘士。
神像のある場所の近くの魔素の濃い場所にはボスはもう居ない筈だけど、また感知出来ていないパターンも想定すべき。
なので、3級職はステータスが低いので早くレベル上限になり、最低でも4級職か5級職でそれなりのレベルで神像の間に行くのが間違いが無い。
なので、間髪入れずに採掘士でレベル上限になっておいてもらう。
採掘士で得られるスキルは採掘、意匠、鑑定だ。
この辺は、流石に3人とも女性なのだろう。
採掘スキルは皆1回しか取得せず、後は意匠スキルを2回取得した。
意匠って、前世だとデザインの中で意匠法とかで保護されるモノらしいけど、この世界の意匠スキルは鍛冶スキルや木工スキルや裁縫スキル等と併せて使う事で、デザインと機能に優れたものが造れる様になるスキル。
まあ、簡単に言い直すと取得しランクを上げる事により製造メニューに表示される製造物の種類が増えて行くから、デザインに拘る人達は欲しいのだろう
しかも、複雑なデザインになったりするから、製造の為の消費MPが増えそうなんだけど、それも抑えてくれるスキル。
俺は、デザインにそこまで拘らないから、ランク1あれば十分かな。
そして、3人とも生産職でレベル上限になった時に追加される量産と効果強化スキルから、効果強化スキルを取得。
次に、また全員同じ話を俺から聞く事になるからと全員で魔法薬師へと転職。
5級職なのでレベル26になるまでレベル上げをして3回スキルを取得する。
魔法薬師は、薬学、魔法薬学、鑑定、状態異常耐性から取得出来るので、3人とも魔法薬学を3回取得。
皆、鑑定スキルを取るかどうかで悩んだ様なんだけど、属性魔法程ではないけど、スキル追加の宝玉が宝箱から手に入ると知っているので、魔法薬学にした様だ。
そして、次は3人とも鍛冶師。
鍛冶師もレベル26程度までしかレベル上げをしないので、採掘、鍛冶、意匠、鑑定から3回選ぶ事に。
皆、意匠を選ぶのかなと思っていると、武器や盾を造る必要性を考えて、3人とも鍛冶スキルを3回取得した。
まあ、3人が同じにする必要はないと思ったのだけど、とりあえずランク3にして、しばらく他の職業で鍛冶スキルの必要状況を確認し、必要ないと思ったら、これ以降は別のスキルを取ると考えたそうだ。
まあ、ダンジョンで魔物と戦いながらだからノンビリ考えられる環境でもないからな。
勢いで決める処があっても、しょうがないか。
そして、3人がまた転職と言う処で、裁縫神の神像へ辿り着いた。
と言うか、俺が倒す魔物と無視する魔物を調整し、丁度辿り着いたんだけどね。
主人公は、もうトラブルなく裁縫神の神像の間に到着したようです。