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第2話 思い出した記憶と異世界の現実

 主人公は、自宅で朝を迎えた様です。

 しかし、何時もとは違う生活を始めなければならない朝の様です。

 朝、目覚めると、木造の粗末な自宅のベッドの上だ。


 この世界に生まれて、もう16年経つが、その間生活していた父と母との思い出がある我が家。


 しかし……。


 昨日蘇った前世の記憶。


 と言う事は、俺は小説の主人公なんかであった『転生者』と言う事になるのだろう。


 しかも、俺はあのゲームの世界に居るんだ。


 『なら今から何をすればいいんだろう?』と前世で何度もクリアしたゲームのストーリーと設定を思い出していく。


 今現在、俺が居るこの異世界は地球に似た惑星。


 大きさは地球の4分の1で、その表面の7割を海が占め、残り3割が大陸だ。


 まあ、空に浮いている大陸はあるし、地中深くにも海と大陸があり、それを除けばだけど。


 それ以前にゲームの設定とこの異世界の現実が同じであれば、だけどね。


 この星の地表にある6つの大陸の一つであるロドリス大陸の片隅にあるイリア村。


 そこで生まれ育った俺は、昨日急遽行われた村の集会で、人族と敵対し数千年にわたり戦い続けている魔族の中から魔王が百以上発生したと。


 そして、魔王同士の殺し合いが始まったと聞いた。


 しかも、それだけでなく世界中に存在し、この村の近辺にも大量に居る魔物達が活性化し危機的な状況になりそうだとも。


 俗に言う、『魔王の狂乱』の時代が始まったと言う事だ。


 その知らせを聞いた俺は、何も考えられなくなり倒れてしまった。


 周りの人は、優し過ぎるとか、情けないとか、気が弱すぎるとか言っていたが、俺にはどうしようもなかった。


 だって、『魔王の狂乱の時代が始まった』との言葉を聞くと同時に前世の記憶が戻り、そこから始まった記憶の氾濫とそれに伴う5感の異常と頭痛で、気を失わない様にするのが精一杯だったんだから。


 はあ。


 まさか、ゲームに似た異世界に転生しているとは。


 まあ、好きだったし、やり込んだゲームだけどさ。


 『フォーチュンブレイブ(希望の勇者)&エビルエンペラー(魔皇帝) ~バトルフレンズ・ワールドストーリー(戦友世界戦記)~』


 ゲーム機でリリースされ、VRゴーグルに対応したCGは奇麗だけどリアル系ではないRPG。


 でも……。


 ゲームだから許される世界だろう。


 あれは。


 この世界は前世に比べて殺伐とし過ぎているよ。


 しかも、殺し合った魔王から生まれる魔皇帝討伐に失敗すると俺達人族が滅びるのだったかな。


 いや。


 プレイヤーキャラが死ぬと『人族の希望は死んだ』というメッセージと『遠からず人族は滅びた』ってメッセージが出るのだったか。


 まあ、オンラインゲームではなく一人でやるオフラインのゲームだったから時間制限が無く、時間さえかければ幾らでもキャラを強く出来たし、攻略法も出ていた。


 しかも、優し目の難易度のゲームだったし、『NEW GAME』選択時に過去のクリアデータを読み込めば(周回すれば)キャラはより簡単に強く出来たし、当然セーブ&ロードも出来た。


 だから、そんなメッセージは攻略情報が無い時や無謀な事をした時しか出なかったんだけど。


 しかし、あれが現実だとするときつすぎる。


 でも……、仲間にしたい、助けたい人達がいたゲームだったな。


 だけど、本当に命懸けで戦い続けられるのか。


 失敗すれば、死ぬと言うのに。


 そう言えば、俺以外の転生者は居るのだろうか。


 居るのなら、俺が失敗しても、俺が何もしなくても大丈夫だと思いたいけど、それに期待するのは間違っている気がする。


 ならば、俺なりに最善を尽くすしかないのか……。



 目が覚めた後、改めて前世のゲームの記憶を思い出し、俺なりに最善を尽くすしかないと言う決断になった。


 気は重いがしょうがない。


 ここで怠けて、自分や仲間になる人達が死んでしまったら、と考えると選択肢は無いからね。


 そう渋々決断しながら、金属板を磨いただけの映りの悪い鏡に映る俺の顔は、ゲームで設定していたキャラの顔に似ている。


 改めて自分の顔を確認。


 キャラクリエイトは数えきれない程したから、容姿をいちいち考えるのも面倒で決まった造形になっていたんだけど、それに似ているのか。


 美男子ではあるんだけど、俺はキャラの容姿に拘なかったから微妙。


 と言うか、この世界では美男美女が多く、それ以外はネタっぽい容姿の人になり、普通の容姿の人はゲーム同様あまり居ない。


 つまり、俺の容姿はあまり居ない3枚目になるのかもしれない。


 適当に造ったキャラの容姿になってしまうとは。


 もっとキャラ作成に拘れば良かったのだろうか、と思いつつ『早速準備を始めないと』とダンジョンへと向かう準備を始めた。



 俺に家族は居ない。


 祖父母には会った事が無く、どうも死んだらしいと両親の会話から理解している。


 父は農業をしながら村の自警団として魔物と戦い、俺が9歳の時に亡くなった。


 母も、俺が14歳の時に村を守る戦力として召集され、魔物との戦いで亡くなった。


 俺は、二人が村を守る為の魔物との戦いで戦死した事で、村を守る戦いへの参加を免除され農業で生計を立てていた。


 しかし、ゲーム通りなら、今年16歳となるので1月に成人を迎えた事になったし、更に魔王の狂乱が始まったと言う理由で、今後は村の為に魔物と戦うか村から出て行けと言う話を今日村長からされるはずだ。


 幸い、戦い方は両親に教わっているから戦えるんだけど、この村の為に戦うのは微妙と言うか先が無いと思っている。


 両親の形見の武器と防具、ロープや寝袋と言った備品、2日分の水と5日分の食料も用意し大き目のバック2つに入れ、常備薬も小さめのバックに入れ、森に弱い魔物を狩りに行くように見せながら、村から出る為に門に向かう。


 『食料と水の用意とか、寝袋の用意とか、ゲームでは無かったんだけどね』と世界にクレームを言いながら。


 そこからも分かる通り、この異世界は現実だ。


 となると、プレイヤーキャラがイベントの発生する場所へ訪れる事や、フラグを満たす事でイベントが開始するオフラインゲームと全く同じ世界とは思えない。


 つまり、ゲームとは違う現実なのだから、時間の勝負になる部分も多そうだ。


 死なない程度に急がないと。


 そう現状を把握し、心に決め、ゲームでも通った隠しダンジョンへ向かう事にした。

 主人公は、急ぎ強くなりたいと思っている様です。

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