第199話 裁縫神の祠は
主人公は、自分の死んだ後の事を考え、サブリーダーを決めてもらって、その人に成長の宝玉等を預けました。
サブリーダーに選ばれたマドリーンは不服そうですけど。
俺が死んだ後、皆が人族の希望となれるかもしれない、等と言い含めて、俺が死んだ後も皆が生き残れる様にと貴重なマジックアイテムをサブリーダーに選出されたマドリーンに預けた。
だけど、マドリーンはサブリーダーが嫌そうだ。
そんな状況の中、今日も皆を鍛える為に王都の門から出てしばらく走る。
なのに未だ「100億GAZU以上のモノが格納箱に入っているのに……」、「皆、格納箱を持っているんだから分担して持てば……」と言うマドリーンの小声の愚痴が時折聞こえてくる。
まあ、一千億円以上の価値のあるモノを持ち歩いている様なものだから気の毒にも思うが、とりあえず無視。
だって、それを言うなら、俺の亜空間収納の方が酷いからね。
王都から出てしばらく走り、周りに人の気配がなくなった処で気持ちが切り替わったのか「今日は、何処へ行くの?」とサブリーダーのマドリーンが聞いて来る。
「今日は、皆のレベル上げか、未発見のダンジョンで皆のレベル上げをしながら宝箱集めか、裁縫神の祠へと行って防御力の高い服や革鎧を造れる様になる、って選択肢かな。
皆は、どれが良い。別にしたい事があるのなら、意見を出してくれても良いけど」
そう聞いたんだけど「どうするの?」とマドリーンは俺に判断を任す感じで、アリーサもクラリッサもラファエラも特に何も言ってこない。
「俺に決めろって事?」
「何時もの事でしょ。私達にはお告げが無いしね」とマドリーンは俺に判断を任せる理由を言ってくる。
まあ、強くなる道筋が分かっているのは俺だけだし、こうなるのか。
そう思いつつ提案する。
「防具がね。鍛冶スキルはランク3だから、それなりの物が造れるんだけど、俺は素早さに拘るから軽い革鎧か皮鎧ベースで一部金属鎧がベターかなって思っているんだよね。
安くて良い物が買えるなら後回しにしても良いんだろうけど、良くない物でも結構な値段するからな」
「じゃあ、裁縫神の祠に行くんだね」とマドリーンは俺の意見に賛同した感じで確認してくる。
自分で、服とかを造れる様になりたいのかもな。
そう思いつつ、確認をしておく。
「それで良いかな? と言う話なんだけど」
そう言うと、皆の表情を確認し「異論のある人は居ないみたいだけど」と、流石サブリーダーのマドリーンが確認して言って来る。
「そっか。なら裁縫神の祠へ行こう」
そう言って、皆と簡易転移をした。
簡易転移で行った場所は、俺が生まれたイーリス村の東にあるヨルム町。
前は、ここから北上したけど、今日は南下する。
街道を皆と走ると、直ぐにゲルド市へと到着出来た。
この都市の近くに裁縫神の祠があるから、今日の目標となった都市だ。
実は、王都近くにある都市に裁縫神の祠がある国もあるんだけど、人が少なそうな此の裁縫神の祠を選んだ。
その方が目立たないかなと思ったからだけど、冒険者ギルドで話を聞いて、駄目そうならここを止めて其方に行く事にしようと思っている。
ゲルド市に門の使用料を4000GAZU払い冒険者ギルドへ行く。
朝だから混んでいるかなと思ったけど、受付にはあまり人が居なかったので直ぐに話を聞ける事になった。
「裁縫神の祠について聞きたいんだけど」
「はい。集団でのツアーをご希望ですか」と受付嬢が定型文と言う感じで確認してくる。
「勿論そうだけど、俺達だけで行けるなら行きたいとも思っているんだけど、どうなのかな?」
そう聞くと「え~と、それはパーティの戦力次第ですが」と少し困ったように言われてしまった。
「全員3級職。重戦士2人、神官1人、隠密1人、魔導士1人なんだけど」
そう控えめに戦力を告げると「それは優秀ですね。でも、リスクを考えるとお勧めできません」との事。
「そっか。ボスがCランクだもんね」
「はい。それ以外にも危険な魔物も居ますから」
「例えば?」
「裁縫神の祠に居る魔物は、ビッグキャタピラー系、ビッグシープ系、ビッグスパイダー系、キラーグラス系です。
それらは魔物ランクが低くても、それぞれ嫌な攻撃をしてくる事もあるので、油断できないんです」
「そうですか。最低4級職が欲しいと言う感じなんですね」と多分行くことになるので、本当の戦力で大丈夫かも確認しておく。
「いえ。3級職でもバランスが良いですし、行けるとは思いますが、どうしてもイレギュラーな魔物も居ますので」
という事は、俺達ならいけそうかな。
そう思いつつも、力を隠してのやり取りなので、弱めに告げた力を前提で話を進める。
「なるほどね。次の神像ツアーは何時ですか?」
「毎月11日に行っています」
「あれ? 1日じゃないのか」
「はい。別の神像の祠で1日や16日や21日と言ったツアーの日程があるので、こちらでは11日に行っています」
「1日だと思っていたから予定が外れたか」
「そうなんですね。では、その頃にお待ちしています」
「あ~、別の国への移動も考えているんで、ちょっと分からないですけどね」
「そうですか」
そう言ったやり取りで、冒険者ギルドを後にした。
冒険者ギルドを出て、城壁をくぐり都市の外へ出るとマドリーンが聞いて来る。
「どうするの?」
「危険は危険だけど、行ってみるか」
「3級職でもギリギリって話だから、4級職の私達なら大丈夫なんじゃないの?」と、マドリーンは俺も思った事を確認してくる。
「隠されたダンジョンとは違って、魔物同士での戦いや冒険者との戦いで強くなった個体が居る場合があるからね。
イレギュラーがあったら、ギリギリかもしれない」
そうリスクはあるかもと言うと「……、それでどうするの?」と確認をしてくるマドリーンだけでなく皆は判断を俺に任せてくる感じ。
「今の防具の状態で戦い続けるのもリスクだと言えばリスクだしね。行ってみるしかないかな」
「了解」とのマドリーンの返事で、神像の祠のある方向へと向かう事にした。
主人公は、裁縫神の祠へ行くことにしたようです。
大丈夫なのでしょうか。




