第194話 少なくとも今は
主人公は、皆が3つ目の才能を何にするのか悩んでいるので、それに関するゲームの知識を話しました。
それでも、決めきれない感じですが、話し合いで決める、違う力に使用と言ったある程度方針は決まったようで。
皆との話し合いを終えて、お風呂にも入った。
さあ。
今日は、マドリーンとアリーサの日。
居間で話をしていた二人の手を取り、寝室へ。
とりあえず、3人でベッドへ座り、彼女達の腰に手を廻し抱き寄せて「神酒でどの素質を得るって話は進んだ?」と聞いてみる。
「ええ。大体は。でも、隠れ職業の転職条件とか得られるスキルとか、全て聞けばよかったって話になったよ」とマドリーンが皆の状況を教えてくれる。
「ああ。まあ、大変な転職条件ばかりだから、聞いても今直ぐどうこう言う事じゃないけどね」
「7千人の暗殺に、7万人の治療か」とマドリーンは軽い感じで言ってくる。
なので、あまり現実味が無いのかなと思いつつ「うん。殺すではなく暗殺とか、7万回ではなく7万人と言うのが嫌だよね」と細かいことも指摘する。
すると「そっか。7万人なんだ」とマドリーンは驚いている。
「ああ。同じ人は1回しかカウントされないらしいよ」
「聖者……か」と呟くマドリーンだけでなくアリーサも困っている感じか。
「うん。それでも戦場に同行している大神官なら条件を満たしそうだけど、7万人ともなると、同じ部隊の人だけを治療していると、到達できないのかもね。
後は、極忍だと上忍でレベル上限の50、聖者だと大神官でレベル上限の40になる必要があるから、それが隠れ職業になれない主な理由なんだろうけど」
「そっか。隠れ職業の下位の職業でレベル上限になる必要があるのか」とマドリーンはウンザリしている感じ。
そんな話の流れから、隠れ職業の転職条件に付いて全て説明したくなったが。
説明を先送りにして話す機会が無くなる、なんて心配もあるが、まだ大丈夫だろう。
そう結論付け「まあ、その辺の話は、また纏めてしよう。しかし、今日のダンジョンでの戦闘は酷かったね」と話題を変える。
「嫌いなんだからしょうがないでしょ」と、文句を言って来るマドリーンとその横で頷いているアリーサ。
「しかも、アリーサが悲鳴と共に広範囲攻撃魔法を最大出力で使ったのにはびっくりしたよ」
「……、何でああなったのかな?」とアリーサは不思議そうに聞いて来るが。
「いや。俺が聞きたいんだけど」
「不味いんだよね」と、マドリーンの方が俺の表情を覗き込んでくる。
「切れたように見えて、ちゃんと俺達を魔法障壁で守っていたから、安心と言いたいところだけど、MPが少ない状態であれをやれば、MPが0になり本人が意識を失うだろうからね。
後は、別のパーティが居た時にどうなるかとかもありそうだし」
「……」
「敵は選べない場合もあるから、ある程度慣れないとね」
「……嫌、だけど、しょうがないんだよね」とアリーサは落ち込み気味に言ってくる。
だけど、本人の為だしと「ああ」と肯定しておく。
すると「と言うか、さっきから何で私のお腹を撫でまくっているの?」とマドリーンが少し怒った感じで言ってくる。
「こういうのでも、その気になってくれないかなって」
「はあ。普通に押し倒せばいいのに」とマドリーンは呆れているが。
「まあね。なんか今日はベッドインの前に話したがっているのかなって思ったから」
「そう言うのには聡いのね」と少し驚いた感じのマドリーン。
「可能なら、家庭円満で行きたいしね」
「家庭円満か。まあ、そうだよね。勇者候補でもない限り、ハーレムなんてそれなりにトラブるだろうし」と、マドリーンは目をそらしながら呟いている。
その内容が不思議だったので「勇者候補だと違うの?」と素直に聞いてみる。
「……、あまり言いたくないけど、パーティ内のトラブルでやる気を無くした勇者候補の逸話とかも残っているし。勇者候補のやる気次第で、自分達だけでなく、家族の命にまで係わるって話もあるし」とマドリーンは何故か嫌そうに言ってくる。
「家族の命?」
「うん。身内の家族が住む市町村が強い魔物に襲われた時、簡易転移で戻って撃退してくれるって昔話もあるし。
それで、積極的に勇者候補と関係を持たせようとする処も多いって」
そうマドリーンは、しょうがないでしょ、と言う感じで言ってくる。
「そんな話で説得されているんだ」
「そうだよ。だから、勇者候補と明かせば、やりたい放題だよ」とマドリーンはこの話になると相変わらずいたずらっ子の目で見ながら言ってくるが。
「今でも、やりたい放題だけどね。それにそんな事に時間を取られていると、他の勇者候補にあっさり殺されそうだし」
「そうだよね。でも、ヨシマサちゃんは今もやりたい放題か」とマドリーンは呆れた感じ。
「いや。そうでもないか。強くなる事を優先し、昼間欲情しても我慢しているし」
「えっ。そうなの?」と、何故かマドリーンは認めたくない感じ。
「いや。マドリーンやアリーサの体のラインをみてムラっと来ることは多々あるよ。
もう少し強くなったら、我慢を止めてイキナリ後ろから襲い掛かろうって思っているし。
うん。その為に頑張るよ。俺」
そうさわやかな笑顔を意識して言ってみたのだけど。
「何目指しているのよ」と、マドリーンに冷静に突っ込まれた。
「そうやって目標を造り頑張るんだよ。いいでしょ」
「……、いいけどさ」
「アリーサは」
「うん。いいよ」
「さて。目標も出来たし、明日からも頑張らないとな。でも今は」
そう言って、マドリーンを押し倒す。
勿論優しく。
少しずつ、俺をより感じてくれる様になっている気がする。
と言うか、二人とも色気が増しているのか。
目についた女性達にやり放題するより、恥じらったり、感じてくれたり、俺を求めてくれたり、愛してくれるマドリーン・アリーサの方が良い。
少なくとも今はそうだ。
機会があれば、そう伝えよう。
主人公は、やり放題の方向に行かない様に意識している、という事なのか、二人が魅力的、と言う事なのでしょうか。




