第193話 ラファエラのこれから
主人公は、昇華の神酒により、皆に基本4職の3つ目の才能を得て貰う。
その為に必要な今後の知識を皆に伝えています。
基本4職の内、魔法使い系と神官系に才能を持っているマドリーンとアリーサに、今後どう強くなっていけるかを説明した。
昇華の神酒を神像に捧げる事により得らえる3つ目の才能をどれにするかで、どう就ける職業が変わってくるか、が説明のメインだったかな。
3つ目の才能の選択で、どう言う風にスキルの取得が出来るのかは選択肢が多すぎるので、聞かれたら答えるつもりだったんだけど、質問が無かったし。
まあ、職業名で得る力の傾向は分かるので大丈夫なのかな。
俺としては、基本4職の才能は全て得るのを目標とするし。
マドリーンとアリーサは、話し合って違う系統の職業の才能を選ぶつもりの様だ。
お互いに補い合うつもりなのだろう。
その次は、クラリッサに説明。
クラリッサも、ラファエラと話し合った上で決めたいと思った様だ。
なので、最後にラファエラに説明を始める。
「で、ラファエラだけど。
今持っているのが、戦士系と斥候系でしょ。選ぶのは神官系と魔法使い系。
3人と大きく違うのは、どちらを選んでも賢者や天騎士にはなれないって事だね」
「そうなんですね」とラファエラは少し不安そうだ。
「ああ。前提として3つ目の素質を得なくても生産系の全てに転職し鍛えれば就ける6級職の魔機工士になる方法がある。
その上でだけど、神官系に進めば聖騎士と魔物使いも経て竜騎士と言った特殊な6級職になれる。
魔法使い系を選んだ場合は、傀儡師と魔究師とレンジャーを経て6級職の召喚士になれるか。
という事は、6倍職で前衛って感じなのは竜騎士だけなのかな。なので、魔法使い系を選んだ場合は生き残る可能性を高くする為に隠れ職業になる事を意識してもらいたいかな。
まあ、大賢者候補になる為の神酒4本を確保できなければ、だけど」
「……、はい」と、ラファエラは未だ不安そうなので、細かい説明を続ける事にする。
「神官系になると5級職の聖騎士に、魔法使い系を選ぶと4級職の重魔導戦士や魔究師がとりあえずの目標になるんだけど、それとは別に今でも就ける5級職の上忍があるから、まあ、普通はその系統を極めて行く事になるだろう。
それで、隠れ職業は、神官系になると聖者と極忍と韋駄天、魔法使い系になると極忍と韋駄天だね」
「それって、聖者にも就ける神官系の方が良いって事ですか?」とラファエラは不安そうなまま確認してくる。
「いや。魔法使い系及び魔法戦士系で順調に攻撃魔法を取得すると、近接戦闘だけでなく魔法により複数の敵に対して威力の高い攻撃が出来る様になる。
それに対し、神官系だと攻撃魔法の取得はスキル追加の宝玉頼りになってしまうね。だから、聖者になれるかどうかだけでは比較できないと思うよ」
「‥‥‥、聖者の力については他の人に任せると割り切れば、なのか」
「そうだね。俺が言うのもなんだけど、難しいね。
しかも、隠れ職業は簡単に転職条件は得られないし、就けない前提でいた方が良いかもしれないと思う程だから」
「そ。そうなの?」と、マドリーンは『自分の話は終わった』とメルを撫でまわしていた手を止めて俺に聞いて来る。
「ああ。聖者は大神官でレベル上限になる上に7万人の人を魔法で癒す事が転職条件と言えば分かるかな」
そう言うと「その。極忍の転職条件って何なんですか」とラファエラは少し食い気味に聞いてくる。
多分、その職業名から目標と考えた職業なのだろう。
「あれは、上忍でレベル上限になる上に7千人の人族を暗殺することが転職条件だよ。
人族と暗殺と言うのがキーワードだね。
この転職条件で言う暗殺は、相手に気付かれずに殺すって意味らしいんだけど」
そうゲームでの設定を言うとラファエラが嫌そうな表情で黙り込んでしまう。
優しくてまじめな性格だったからな。
ゲームだと、街道沿いに出る強盗を倒したり、市町村で情報を得て強盗のアジトを襲撃して倒しまくる事で転職条件を満たしたので、その辺を説明しておこう。
「ああ。ちなみに俺は、世界中の強盗達の討伐で転職条件を満たすつもりだから、ラファエラもそのつもりでね」
「そっか。そう言う人でも良いんですね」と表情の明るくなったラファエラ。
その横で、強盗には思い入れのあるクラリッサも覚悟を決めている感じだけど、まあ、しょうがないよね。
そう思いつつ「うん。後は、許せない戦争に介入して、許せない方の陣営の人を暗殺しまくるって言うのも考えているけどね」と別の方法も示唆しておく。
「……、人族の暗殺と言っても、色々とパターンはあるんですね」とラファエラは複雑そうではあるけど、希望も持ってくれた感じだ。
「そう。だから、諦める転職条件では無いよ」
「はい」
「これで、皆の次のステップの指針になったかな」
「うん。でも、前衛も後衛も2人ずついるから、違う力を取れば間違いないかなって思ったけどね」とマドリーンはメルから視線を外さず撫でる手を止めずに言ってくる。
「まあ、皆今就ける4級職全てについて極めている訳じゃないから、まだ時間はあるし、後悔しない様に考えてみて。
勿論、俺としては4人は全て大賢者候補になれる様に頑張るけどね」
「……、この大陸の全ての始まりのダンジョン上級をクリアすれば30本の神酒が、下級、中級も含めると60本手に入るから4人分の16本くらいならって事なんだよね」とマドリーンは正確に俺の考えを言ってくる。
なので「まあ、捕らぬ狸の皮算用だから、基本4職の内3つにしか才能を得られなかったとしても、ベストを尽くしてもらうけどね」とも言っておく。
「うん。もう一度考えて皆と話し合ってみる」
そう結論付けて、各自風呂に入る事にした。
主人公は、3つ目の才能を得ると何が違ってくるのかについて、一通り説明を終えたようです。




