第185話 ラファエラの育成開始と危険なアリーサ
主人公達は、王都近くの隠されたダンジョンの地下3階へでの狩りと宝箱の回収を始めました。
居るのは、Dランクにランクアップした蜘蛛の魔物とカマキリの魔物。
とりあえず、蜘蛛の魔物を隠れたまま攻撃しているのですが、丈夫になっている事が分かりました。
その事に憂鬱になりながらも、ここからはラファエラの転職の為に魔物を倒し続けるようです。
Dランクのアサシンスパイダー。
甲殻が丈夫になっていて、ノーマルの槍系魔法でないと倒せそうにない。
これが、Cランクのリーサルスパイダーとかになると、ノーマルの槍系魔法でも倒せなくなるのでは。
まあ、魔法を強化すれば良いんだけど、更にBランクのデストロイスパイダーとかも居るからな。
そんな風に先の事も考え、憂鬱になりつつも検証をしているとラファエラが採掘士でもレベル上限の30になった。
地下3階からはDランクの魔物だから、得る職業経験値は増えるからね。
消費するMPが増えるくらい、しょうがないか。
そう気持ちを切り替えていると、ラファエラは「生産効果強化スキルを取得しました。でも、次は何に転職しましょう?」と聞いて来る。
「え~と、戦闘力を少しでも早く得たいなら戦士、感知能力が早く欲しいのなら斥候、とりあえず生産を簡単に極められる処まで極めたいなら魔法薬師か鍛冶師だね」
「……」
「え~と、戦士・斥候はレベル20でレベル上限だし、鍛冶師や魔法薬師もLV26で転職可能になるから、その辺は直ぐだよ。悩むのはその先からでいいかもね。
もっとも、3級職も直ぐに極められるって言うのは今知ってもらっている通りだから、悩む価値が有るのは4級職からだと思うよ」
「そっか。なら戦士になります」と戦士に転職。
「剣技、槍技、槌技、斧技、盾技、体術が取得できるってメッセージが出ていますけど、何を取得すれば良いんでしょう?」とラファエラが聞いてくる。
なので「ラファエラは、剣と盾で行くんだよね。となると、それだけを取るか、一応他の近接系を一通り取るかについては、どう考えているの?」
「一応、一通り取るつもりです。勿論、剣と盾を優先しますが」
「そっか。ならそのつもりで取って行って。と言うか、多分一匹倒すとレベル上限だから、悩まずに行こう」
「はい」
との返事で取得したのは、盾技。
剣技は、スキル追加の宝玉でランク1にしているからだそうだ。
その辺を確認し、隠れたまま移動してアサシンスパイダーの群れに到着し、とりあえず一匹倒す。
やはり一匹でLV20になれるようだ。
LV11で体術、LV20で槍技を取得。
次は、斥候に転職だ。
仲間が攻撃を受けても、隠れている俺達を感知できないアサシンスパイダーはワチャワチャしているが、「転職しました」の声を受けて、また一匹火槍で倒す。
LV1で感知、LV11で偽装、LV20で罠解除を取得。
次は、と言うとLV26以上になれば良い魔法薬師に。
LV1、11、21で魔法薬学を取得してランク3にした。
「これで、おばあちゃんを病気で苦しめずに済みます」と喜んでいる姿が愛らしい。
そして、レベル26になり、更に鍛冶師に転職。
鍛冶師でもLV1、11,21で鍛冶スキルを取得したとの事。
LV26になり、次について軽く悩んだけど、「今日中に3級職は全て極められるから」と改めて言うと重戦士を選んだ。
それでLV1で強打スキル、11で斧技スキル、21で槌技スキルを得て、戦士系で得られる全てのスキルを取得したそうだ。
ここからは、それなりに大量に魔物を倒す必要があると言う事で、俺の魔物倒しの検証に戻る事に。
と言う事で、一匹残しをして剣や槍でも戦ってみる。
ランクが1つ上がっている分、余裕は少ないが、まだステータスで勝っているので、冷静に前足の突きや切る攻撃を受け流し、前足で押し倒す攻撃や口から出す蜘蛛の糸を避けて、頭部に致命傷を入れて戦利品へ。
次は、アサシンマンティスなんだけど、擬態が上手くなり木や草以外にも壁に擬態できるようになり、発見できるかどうかが大きな分かれ目になっている。
まあ、感知出来るから、隠れたまま魔法で倒す分には問題ないんだけど。
と、矢系の魔法を試すと、まだ外骨格は脆いようで強化タイプなら確実に一撃で倒せる。
ならばと、姿を現して戦うと、結構厄介だ。
魔物だからか、カマキリの鎌を折り畳んだ状態から伸ばす動作が突きの攻撃になるんだけど、これが速い。
こいつらとの戦いは、彼女達には早いと言うか、蘇生の手段を手に入れるまで棚上げと言う事にする。
なので、必然的に彼女達が戦う相手はアサシンスパイダー。
マドリーンの強化風槍と水槍。
アリーサの石槍と火槍で、一撃で倒せる。
一匹残しでクラリッサに戦ってもらうと、結構ギリギリかも、
何度か蜘蛛の糸に捉えられたので、俺が高速火槍で倒したりもした。
なので、こちらも蘇生手段を手に入れるまで先送りし、3人だけで隠れず戦ってもらうパターンを試そうかと思ったんだけど、最後の一匹残しの時に失敗があった。
アサシンスパイダーは、隠れた状態から魔法を撃ち込んで攻撃を受けても、俺の偽装スキルの隠形を見破れない。
そう安心していたアリーサが、地表近くに張られていた見えない蜘蛛の糸に触れてしまった。
足を取られ、「えっ」と軽く悲鳴を上げると同時に、蜘蛛の糸の振動でそこに獲物が居ると感知し、凄い勢いで迫ってくる。
「いゃ~」との叫び声と当時に発動する火嵐。
それも限界までイメージで強化したタイプの様だ。
それによってアサシンスパイダーは灰になっていく。
俺達は、火嵐のフレンドファイアを防ぐ為に自動で発動した魔法障壁で身を守れたのだけど。
この階層では、アリーサ達は槍系の魔法で魔物を倒しているからMPに余裕はない。
なのに、大量にMPを使う広範囲攻撃魔法を強化して使用。
アリーサは、MPが0になったようで火嵐が荒れ狂っている中で気を失った。
発動した火嵐と魔物の方に意識が行っていたのだけど、感知スキルがアリーサの気配の急変を教えてきたので、慌てて駆け寄る。
そのお陰で、アリーサは倒れて顔や頭を地面に打ち付けたりはしなかったけど。
火嵐の炎が残っているのと同様に、俺達を守っていた魔法障壁も起動時に使われたMP分は維持されるようだけど、一応、聖魔障壁を張り皆と自分を守る。
しかし、こんな事で危険な事になるパターンもあるんだと、考えさせられてしまった。
まあ、可愛いんだけどさ。
でも、命掛かっているし。
と言うか、俺は切れると広範囲攻撃をする、とんでもない化け物を造ってしまったのか。
何か、いい方法とか対処法があると良いけど。
巨大な蜘蛛の魔物に襲い掛かってこられる恐怖。
アリーサには、まだ早かったようで、とっさに自分の身を守る為の攻撃魔法を起動し、MP切れで意識を失う。
被害を出さず、そういう危険もあると気が付けただけ良かったのかな。




