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異世界とゲームは違う様です。~やり込んだゲームに似た異世界で生き残りたいのだけど、ゲームと違う事が多過ぎて困っています~  作者: 下見野大
第4章 4人目の仲間編

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第182話 火嵐とアリーサ

 主人公は、王都近くの隠されたダンジョン地下2階での検証と戦闘訓練を行っています。

 敵は、カマキリの魔物であるビッグマンティスとトンボの魔物であるビッグドラゴンフライ。

 次は、女性達に戦ってもらうようですが。

 俺の検証しながらの戦いは、一通り終わったかな。


 そう思ったので、次は皆に戦闘経験を得てもらう事にする。


 同じ節足動物系魔物である蜘蛛とかと違い、生理的嫌悪は無いみたいなので、隠れたまま大量に倒してもらって慣れる、という事は必要なさそう。


 という事で、姿を現したままマドリーンとアリーサの魔法によるビッグマンティス戦から始める。


 俺の戦闘を見た後なので、ある程度戦い方を考えた上で戦闘に入れる感じかな。


 そんな風に思っていると、先ほど確認した通り、こちらを見つけると木か草への擬態を止めて接近してくる固体と、擬態したままこちらが近づくのを待っている個体の両方が居る。


 それをマドリーンが風矢と水矢で、アリーサが石矢と火矢で攻撃して倒すんだけど。


 擬態している奴はアッサリと倒れてくれたが、こちらに向かってくる奴は、体を揺らしたり高速で動くことで、攻撃を避けられたりしている。


 矢系攻撃魔法のスピード等を強化したのとか槍系攻撃魔法だと避けられないみたいだから、冷静に戦えば問題ない筈なんだけど。


 俺達と同程度か、より大きいカマキリに高速で接近されると冷静でいられない様で、過剰な攻撃魔法で倒したりしている。


 まあ、慣れてくれば、なんとかなりそうか。


 ビッグマンティスを特に怖がったり嫌がっている様子は無いので「接近戦は試してみる?」と聞くと、やってみるそうだ。


 2人ともミスリルの杖でカマキリの鎌を打ち払い、隙を見て頭部を狙っている様だけど。


 ステータスは二人の方が上だから大丈夫だろうって見ていると、アリーサが鎌の攻撃を杖で防いだ時に体勢が崩れた。


 そして、素早い動きの鎌に鋏まれ首に噛みついて来たのを、俺が剣を口に付き込み「アリーサ、自分で倒して」と指示する。


 するとアリーサは、自分の頭上に石槍を発生させ、俺の剣で動く事の出来ないビッグマンティスの頭部に撃ち込み戦利品となった。


 マドリーンの方を見ると、鎌にミスリルの杖を掴まれて力比べになるが、彼女の方がステータスが高いと気が付いたようで噛みついて来ようとした。


 すると、マドリーンが杖から手を離し、バックステップで距離を取ってから風矢で頭部を破壊した。


 さて、まだ接近戦を試すのかなと思っていると、二人とも杖技スキルに戦い方を教わり再度挑んでいる。


 その様子は、それなりになって来た様に見えるが、ミスリルの杖を頭部に撃ち込むことは出来ず、結局魔法で止めを。


 ステータスで勝っていても、致命的なほどの大きな違いが無ければ、技術で差を埋められると言う事か。


 いや。


 魔物なんだから技術と言うより本能とか身に付けている戦い方かな。


 とりあえず問題点は分かったから、ビッグマンティスとの接近戦はこれで良いとの事。



 では、次はとビッグドラゴンフライと戦闘も行ってみる事にする。


 こちらは、俺がビッグドラゴンフライの飛翔スピードに苦労したので、最初は隠れての攻撃から。


 すると、隠れたままの攻撃だとマドリーンの風矢と水矢でも倒せる。


 こちらも、強化なしの風矢でも倒せるとは、防御力は低い様だ。


 アリーサの方も、隠れた状態からの攻撃だと石矢と火矢で倒せるんだけど。


 まあ、予想通り1~2匹残して姿を現して戦うと、やっぱり問題だらけだった。



 魔物との戦いの検証に時間が掛かっているので、これからは2匹残して片方をマドリーンに、もう片方をアリーサに倒してもらう事にする。


 まあ、問題が有るのはある程度予想が付いているから、俺とクラリッサはイレギュラーに対応する準備をして二人の戦いを見守る。


 まあ、予想通りかな。


 2匹残しで試した結果、マドリーンの風魔法は相性がいいと確認出来た。


 質量攻撃の側面が無い分、機敏に柔軟に敵を追尾し命中してくれるから。


 まあ、高速で飛び回るビッグドラコンフライに確実に命中させるには強化風矢を撃ち込む必要がある様だが、さっくりと倒している。


 これに対し、アリーサは、強化石矢も強化石槍も命中させられず、強化火矢もノーマル火槍も結構外れた為に落ち込んでいる。


 マドリーンが「さっきのビッグビートルと有利不利が逆になっただけでしょ」とアリーサを慰めるが、それでも自分の力に不満があるようだ。


 「多分、質量攻撃の側面がなく機敏に追尾できる火魔法のランクを上げ、強化した火弾とか火槍を数発撃ち込めば、もっと高確率で倒せると思うけどね」


 そう言いつつ、アリーサに火魔法スキルの宝玉を渡す。


 すると「良いのかな?」と聞いて来るアリーサに潤んだ目で見られると頷くしかないんだけど、その為に渡しているんだから今更だ。


 魔法使い系の二人には平等に言う事で、マドリーンにも水魔法の宝玉を渡す。


 これで、アリーサの火魔法はランク4で、マドリーンの水魔法はランク4.5か。


 2人が宝玉を使った後、更に戦闘を進めると、俺の思った通り強化した火弾や火槍を同時に数発打ち込むと羽などの一部を焼かれて地上に落ちたビッグドラゴンフライに火弾を撃ち込み倒している。


 その次は、強化した水槍でマドリーンが担当のビッグドラゴンフライを倒したのを横目に見ながら、アリーサはランク4になり使える様になった火嵐ファイアストームを使っている。


 一匹に対して広範囲攻撃か、とは思うが、これは検証だから。


 素早く機敏に動く為か、それ程の強度ではない甲殻を焼かれて直ぐに戦利品になるビッグドラゴンフライ。


 大喜びしているアリーサを見ているとホッコリした気分になるけど。


 あれは、苦戦していたドラゴンフライに楽勝したからではなく、火嵐と言う魔法を使える様になった事を喜んでいるのかも。


 「倒した~」ではなく「すご~い」って言いながらガッツポーズしているしね。

 機動性の高く防御力の弱い魔物には、動きを予測した上での広域攻撃が有効のようです。

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