第176話 ラファエラと王都近くの隠されたダンジョン
主人公は、近日中の目標を皆に告げて、王都近くのダンジョンへと5人で向かっています。
ラファエラを新たに仲間に加え、ヨルド王国の王都レイニーク近くの隠されたダンジョンへと向かう事にする。
勿論、宝箱の回収もしたいので、未だ行っていないダンジョンへ行くことにしたんだけど、王都レイニークの近くには未だ行ったことがないので、一番近い場所へと転移し、皆で走って王都方面へと向かう。
移動中には、ラファエラに『どう強くなりたいかも考えておいて』と伝えたけど、まだちょっと実感がなくその辺の知識もないのか困っている感じ。
なので、マドリーンに『その都度指導しなさいよ』と言われる等していると、王都が近づいてきた。
王都近くの良さそうな場所に簡易転移の場所指定と転移魔法の座標刻印をして未発見であろう隠されたダンジョンへ向かう。
感知スキルで周りに俺達の動向に注目している連中が居ないかを確認しながら、周りに木とかが増えてきたタイミングで偽装スキルの隠形でパーティごと姿を隠す。
慎重に誰かに監視されていないかを確認しながら、距離の尺度がゲームと違う事に苦労しながら進む。
それでも不自然にハッキリしているゲームの記憶を頼りに目的の場所を見つけ、小高い岩山の壁に触わり、偽物と意識すると手がすり抜ける。
うん。
俺が中に入ると、皆が付いて来る。
ここは、迷宮タイプのダンジョンの様で、ダンジョンへと繋がる通路が地下に向かって伸び、その先に階段がある。
なので、それを皆と下る。
「ここは、どんな感じのダンジョンなの?」と、俺が説明を始める前にマドリーンから催促がある。
まあ、やる気があっていい事なんだけど、多分嫌がるだろうな。
そう思いつつ「節足動物系の魔物だね。……、と言う事で任せたから」とマドリーンに討伐を御願いする。
すると「み、皆苦手なんだから、ヨシマサちゃんが頑張ってよ」と、想像以上に脅えている。
「まあ、そのつもりだけどね」と、冗談が通じなかったと反省しながら言うと。
「な。なんだ」と、マドリーンは俺の『任せる』発言が冗談だと分かるとホッとしたようだけど。
「でも、どうしても戦わなければならない様な状況になる前に、俺と戦っているのを見て慣れてもらう必要はあると思うよ」と現実を突きつけると、複雑そうな表情で黙り込んでしまった。
だけど、覚悟を決めてもらう為にも、このダンジョンについて説明しておく。
「地下一階がEランクのビッグスパイダー(大蜘蛛)とビッグビートル(大カブトムシ)。
地下二階が、Eランクのビッグマンティス(大カマキリ)とビッグドラゴンフライ(大トンボ)
地下三階が、Dランクのアサシンスパイダー(暗殺蜘蛛)と、アサシンマンティス(暗殺カマキリ)
ボスが、Cランクのリーサルビートル(死を招くカブトムシ)だね。
まあ、ゴキブリやムカデが居ないだけ、まだ良いんじゃない」
そう説明すると「はあ」と、マドリーンは深いため息をつく。
アリーサは、少し震えているかも。
「と言うか、クラリッサとラファエラは平気そうだね」
「あ。はい」と少し嫌な表情をしつつも冷静なクラリッサと「まあ、何とか」と苦笑しているラファエラ。
まあ、俺と同じで駄目では無いが得意では無いのだろう。
「同じ田舎の村の出身なのに、違うもんだ」
「田舎の村出身だからって、駄目なモノは駄目なんだから」
そう言っているマドリーンの横で、アリーサも凄い勢いで頷いている。
まあ、いいけど。
「俺も苦手だから、まあ、あれだけど、一応戦うつもりだから。
ちなみに、カマキリは木や草に擬態しての奇襲、蜘蛛は見えない糸を張って獲物を獲るスタイルが得意なのに、ここは迷宮タイプのダンジョンで木や草は無いし、巨大な体で巣を作っているのが丸見えだから、外でこれらの魔物と戦う場合は難易度が違うのは覚えておいた方が良いかもね。
でも、Dランクのカマキリや蜘蛛は壁にも擬態するからこの迷宮タイプのダンジョンでも油断は禁物。
カブトムシは硬くて攻撃が通じないのも、トンボが素早いのも、覚えておいた方が良いか」
そうゲームでの設定を思い出しながら言うと「そうなんですね」と、気持ちが落ち込んだままって感じのマドリーンに代わりクラリッサが答えてくれる。
「何でも良いから、早くクリアしましょう」と、マドリーンは少し前向きになってくれたようだけど。
「いや。皆のレベル上げもしたかったんだけど」と、俺の予定を告げると、また嫌そうに黙り込んでしまった。
まあ、他のダンジョンでレベル上げする事も考えないとな、と思っていると「きょ、今日は私のレベル上げですから、私が頑張りますから」とラファエラがフォローした処で、地下一階に到着した。
マドリーンやアリーサは、蜘蛛の魔物が苦手なのでしょうか。
まあ、離れて戦う二人ならば、問題は無いのかな。




