第175話 強くならなければならない理由
主人公は、ラファエラに対し、最低限の説明を終えたようです。
ラファエラに俺が勇者候補だと説明し、メルを紹介して、俺が居ない間に食堂から貰ってきていた朝食を皆と一緒に地下室で食べ始める。
メルは女性4人にしっかりと食事を与えられている。
なんていうか、愛されているのが羨ましい気もするが、本人は自由がなく大変そうなのかな。
そう思いつつ食事を終え「さて。今日も魔物を狩りに行こうか。ラファエラを強くしないと駄目だしね」と、おなか一杯になり影に入ったメルを確認しつつ皆に告げる。
「そうね。朝のマサちゃんの状況については、移動しながら聞かせてね」とのマドリーンの返事を聞きながら、出立の準備を始めた。
ラファエラに力を明かしたので、王都を出て人が居なくなる場所までは走って移動した上で、今日は転移魔法で東隣のヨルド王国へと転移する。
ヨルド王国の王都付近の未発見の隠されたダンジョンへと行く事にしたので、王都に一番近くの転移先指定である座標刻印をしてあるソニカ市への転移だ。
そこから、また魔法等を使い高速で王都に向かって走る。
なお、ゲームではどのスタート地点で始めても、同じ様に王都近くに必ず未発見の隠されたダンジョンがある。
ゲームなら当たり前だけど、現実だと不自然だ。
まあ、そこに突っ込んでもしょうがないのだけど、この世界のありようは神の試練か何かなのだろうか。
それとも、この世界が神のゲームか何かなのだろうか。
そんな暗い事も考えつつ、走りながら朝の状況を皆に説明する。
「そっか。31倍になれたんだね」と、走りながらなのに、マドリーンは平然と答えてくる。
ステータスが未だ劣っているラファエラのスピードにあわせているから余裕の様だ。
そんな事も考えつつ「ああ。これで俺も皆も短期間で4級職を極めて5級職に出来る」と、新たな強さを手に入れられると言っておく。
「そっか。そうなったら、更に一段強くなれるんだよね」と、マドリーンは嬉しそうに確認してくる。
「うん、また結構違ってくると思うよ。と言うか、俺はその段階に進まなければならないんだけどね」
「ん。何か理由が有るの?」と、マドリーンは俺の発言の意味が解らず確認してくる。
未だ言ってなかったからね。
だけど、そろそろ言っておくべきだろうと、話をする事にする。
「次に、仲間にしようと思っている人を確実に助ける為と言うか、助ける時に俺が死んだりしない様にそのレベルにまでなっておく必要がありそうなんだよね」
「……、そんなに危険なの?」と、眉をひそめながら聞いてくるマドリーン。
「敵は、王国軍。それも近衛兵や隠密部隊だからね」
「……、どういう事?」と、マドリーンの表情が険しくなる。
「次に仲間にしようと思っている人なんだけど。次の国王最有力候補の王太子に騙されて殺される王女が対象なんだよね」
「……、なんかもう、無茶苦茶ね」と、マドリーンは呆れた感じで言って来るが。
「まあね。でも、ほぼ同時に世界中で起こるんだよね。王女・王子とか公爵令嬢・公爵子息とか伯爵令嬢・伯爵子息とか教会組織の教王の子息とか子女が、権力闘争に敗れて暗殺されるって事が」と、冗談ではない事実として伝えておく。
「そ、そうなんだ」と、マドリーンもその事実を理解したようで、ちょっとビビリ気味になる。
「みんな能力が高いだけでなく良い人だから助けられるなら助けたいけど、ほぼ同時ってお告げ。1人か2人しか助けられないのが悔しいけど、お告げ通りならどうしようもない」
「……、なんでそうなっているの?」
「さあ。お告げにその理由の解答は無いけど、俺なりの推測だと『世界の理に魔王の狂乱が始まったら、権力闘争を無理やりにでも終わらせろ』って刻まれていて、それで同時期になるのかもね」
そう言うと、4人とも黙り込んでしまった。
『ゲームの設定だから』と、この世界の人には絶対に認められない理由を言わずに済んだとホッとしつつ、説明を続ける。
「ちなみに、朝のうちに忍びでレベル上限になり、薬師、採掘士でレベル上限になり、魔法薬師と鍛冶師でレベル26以上になって更に転職して今はレンジャーだから」
「そう。4級職の一つをもう極めたんだ」と、マドリーンは少し驚いている感じか。
まあ、普通の人から見ると、早すぎると言ってもいいペースだからな。
「ああ。これで、今のレンジャーでレベル上限になると、5級職の上忍になれるようになるから、それが数日中の最低限の目標だね。
まあ、近々の目標は、ラファエラを戦士、重戦士、斥候、隠密、薬師、採掘士でレベル上限にして、本人が望むなら、魔法薬師と鍛冶師でレベル26以上に。
後は、狩人でもレベル上限にして、レンジャー、忍びでレベル21以上にする事かな。
勿論、未発見のダンジョンだから宝箱の回収も目標だね」
そう言うと「お手数をお掛けします」と、ラファエラは走って移動途中なのに、丁寧にお礼を言って来る。
「いや。皆やっている事だし、皆の為に必要な事だし」
「……、正直、想像すらできない話でピンと来ないんですけど」と、ラファエラは困り顔で言って来る。
「あ~。まあ、今の情報からどういうスキルを取るかは考えていて欲しいんだけど」
「……、はい」とラファエラの返事が困ったなと言う感じだったからか「急に言われても無理だよ。ちゃんとその都度アドバイスしなさいよ」とのマドリーンの突っ込みが入る。
流石、サブリーダーだ。
そう思いつつ「勿論だよ」と言って先を急いだ。
主人公は、近日中の目標を皆に伝えました。
ゲームと現実が同じになる気持ち悪さ・不自然さを改めて感じながら。




