第１６７話 ゴブリンは嫌い
主人公達は、採掘士への転職条件を得られる神像のあるダンジョン、鍛冶神の祠の中を進んでいます。
鍛冶神の祠は、鉱山系と言うか坑道系のダンジョンだ。
なので、暗視の魔法を皆にかけて、暗闇の中を進む。
俺達の本当の状況を知らないラファエラが落ち込んでしまったが、それは後で説明するからと言って先を急ぐ。
説明の前に深い関係になるつもりだけど、変に発言すると全滅フラグになるかも、とその辺には触れない。
まあ、ラファエラは真面目だから『今晩、男女の関係になったらすべて話すよ」、なんて言っても逃げないだろうけど、変に不安にさせてしまうかもしれないし。
そんな、エッチなことも考えつつ、人を避けて、魔物も避けて、奥へと向かう。
探索スキルと風探知による感知を強めにしてみたんだけど、この祠の最奥までは感知出来なかった。
いや。
もっと強く感知の魔力を放つか、奥まで探る様に力を操作するか、奥まで探れとスキルに指示をすれば感知出来たんだろうけど、それをしなかった。
今回行くのは地下二階相当の場所にある鍛冶神の神像のある場所までだし。
その感知結果だけど、あまり魔物の密度は高くない。
それに対し人は、と言うと、こちらもあまり居ない。
まあ、鉄や銅なら武器持ちの魔物を倒せば、その武器が金属として手に入るから、浅い階層で採掘する意味はあまりないだろうしね。
そんな事を考えつつ、マップを確認しながら、魔物を感知しながら、先へと進む事にする。
このダンジョンである神像の祠には、ゴブリン系の魔物がいる。
Fランクのゴブリン。
Eランクの中位ゴブリンとしてゴブリンファイター。
中位ゴブリンだと、他にもメイジとか、アーチャーとか、プーリストも居たけど、ここに居る中位ゴブリンはファイターだけ。
そしてDランクの上位ゴブリンであるゴブリンナイト、ゴブリンジェネラル。
更にCランクの高位ゴブリンとしてゴブリンキング、ゴブリンヒーロー。
稀にBランクのゴブリンエンペラーも沸いたと思う。
皆にゲームの情報から、そう伝えると、伝え始めてから女性達が嫌な顔をしている。
まあ、この世界のゴブリンも、あれだったしね。
あれと言うのは、本来なら出来ない筈の異種族間の子供が造れる程、ゴブリンの生殖能力が高いって奴。
しかも、喜んで異性を襲って来ると言うパターンだし。
既に３人は、ゴブリンの居るダンジョンへ行った事があるんだけど、その後、『油断しないで』と言う意味で彼奴らが発情していたって食事の時にポロっと言っちゃったんだよね。
その上、薄暗い坑道って言うのが、また良くない感情を強くさせるのかも。
一番不安そうにしているラファエラの様子を気にしたのか「ヨシマサちゃんがいるし大丈夫だよね？」とマドリーンも不安そうに聞いて来るが。
「いや。大丈夫でなければ絶対に来ないし。でも、油断しないで、って事」
「そっか。そうだよね。自分のことは棚に上げて、独占欲強いもんね。ヨシマサちゃん」
「いや。まあ。そうだけどさ。そんな次元の話じゃないし。
で、鍛冶神の神像までで出て来るのはＦとＥランク程度のゴブリン。
神像の間の前に居るのは、Ｄランクのゴブリンジェネラルだったかな」
そう返事をすると「了解」とほっとした感じのマドリーン。
そんなやり取りをしながら、神像の間へと向かう。
ゴブリンが造ったと思われる落とし穴を、皆に教え破壊しつつ先に進む。
この世界のゴブリンは穴を掘るのが得意の様で、それなりに深い穴に木の棒か何かで蓋がしてあって、穴の下には錆びた武器が設置されていると言う罠を作ってやがる。
「風魔法の風探索って言っても、こういうのは見つけられないんだね」と、マドリーンが落ち込みながら言って来る。
「そもそも風魔法は、洞窟内とか場所補正で力が落ちているだろうし、苦手な分野だろうね」
「は～。やっぱり、斥候系の力も欲しいけど」
「まあ、そうだろうけどね。
逆に土魔法を身に付けて土探索を覚えれば、こういうトラップには強くなるけど、全てのトラップが分かる訳じゃないから、罠感知スキルが欲しくなるのは同じかな」
そう言った会話を、未だ事情を知らないラファエラは不思議そうに聞いているが、まあ、今晩話せるようになるつもりだから、先送り。
まあ、聞いてきたら答えるけどね。
道中のゴブリンやゴブリンファイターを、マドリーンの風矢や俺の剣で倒し、神像の間の手前のボス部屋に着く。
幸い、周りに人もいない様で、強盗の心配もしなくて済みそうだ。
ボス部屋の中を見つからない様に注意しながら確認すると、少し広い空間に、ゴブリンジェネラルが座り込んでいて、その周りをゴブリンファイター１１匹がウロウロしている。
「先手必勝でお願い」とマドリーンに頼むと、風槍を１５本発生させ、ボス部屋の入り口に入るやいなや魔法を打ち込み一気に全滅させてしまう。
まあ、難易度の低い神像の間程度の戦闘だとこんなモノなのか。
そう言えば、硬めの防具を着ているDランクの魔物だと倒すのに苦労していたから、マドリーンは風槍を４発ほどボスのゴブリンジェネラルに撃ち込んだみたい。
だけど、風魔法のランクが５になっているからか、知力ステータスが上がっているからか、４発も必要なさそうだな。
今度機会があれば、試してもらおう。
そんな推測もしつつ、鍛冶神の神像の間へ入り、寄進を神像の前に置いてから祈りを捧げる事にする。
まあ、俺は転移魔法の座標指定も、良さそうな場所にしているけど。
先に４人に祈りを捧げてもらい、その後俺も祈りを捧げて、全員採掘士への転職条件を得てから皆と出口へ向かう事にした。
主人公たちは、無事に採掘士への転職条件を得たようです。
