第161話 村への帰還と
主人公達は、無事に薬神の神像に寄進と祈りを捧げ、薬師への転職条件を得ました。
でも、追加のサービスとして、薬師でLV21以上にしてあげようと地下3階に向かう様です。
薬師への転職条件は得る事が出来た。
後は、レベルを上げて薬学スキルを2度取得してランク2になってもらえば、病気や薬等の簡易鑑定が可能となるし、材料があれば魔生薬の下級品なら全て造れる様になる。
だから、ゲームだと薬師でLV11以上にするのがクエストのクリア条件だったのだろう。
だけど、これは異世界の現実だ。
もう少し薬師でのレベル上げもしてもらった方が安心だし、解毒草とかもここである程度入手しておいてもらった方が、旅立つ時に心配がない。
なので、地下3階の注意点を説明し、地下3階へと向かう。
薬神の祠の地下3階へ到着後、まずは全力で感知スキルの探索を実行する。
今は、誰もいない様なので強盗の心配も魔物の取り合いの心配もない、と階段付近で魔物を倒す事にする。
4級職の忍びである俺が全力で感知すれば、魔物の感知漏れはそれ程無い筈なんだけど、対外的には3級職の隠密だから、感知漏れがあるかもしれないと言う前提で、皆と行動をする。
面倒だけど、強い力を持っていると知られると、余計面倒な事になるかもしれないから、しょうがない。
安全確認の為に、鋼鉄の槍を使って草や木を伐りながら、魔物や薬草類に接近。
マドリーンとクラリッサは、村長の奥さんのフレデリカさん、宿屋の経営者のシーリスさん、雑貨屋の若奥さんのリーナさんと5人パーティを組んだままだ。
そう言えばゲームの時は、この世界の理にはないパーティのゲスト扱いで魔物を倒した時の職業経験値が分配されいたから、パーティを組み直すなんて無かったな。
そんな事を思い出しつつ、俺が感知したランクDのトレントをマドリーンの風槍で十数匹倒してもらってラファエラ以外の3人にレベル21になってもらった。
後は、俺が安全確保のために魔物を倒していると、結局ラファエラも薬師LV21以上に。
安全を確保した場所にあった薬草類を採取してもらい、神像の祠から帰る事にする。
ちなみに、トレントもキラープラントと同様に材木を戦利品として落とすので、それも全部俺が回収した。
これで、木工スキルが一定レベルになれば、魔樹の棍棒とか魔樹の杖とか造れる様になる。
それだけでなく、槍とかの柄を丈夫な魔樹の材木に出来る等、木材を高ステータスでも使える武器の部品とすることが可能になる。
まあ、もう少し材木をゲットしたい気もするが、ここでは皆の安全が優先と諦めて帰ることにする。
流石に、地下3階まで行くと、傷薬草や解毒草といった薬草類はそれなりに手に入った。
それは、薬学スキルを手に入れた4人も同様で、それぞれ薬草を採取し、保存の為の処理をして持ち帰る事にしている。
なお、薬師になってのレベルアップで身に付ける3つ目のスキルに付いては、フレデリカさんとシーリスさんとラファエラが状態異常耐性、雑貨屋のリーナさんが憧れだったと言う鑑定を取得した。
3人が状態異常耐性にしたのは、薬師は毒草を取り扱う場合があるので、それも考えておいた方が良いと俺が助言したからの様だ。
それに対し雑貨屋の若奥さんは、店の商品の鑑定がしたかったそうだ。
まあ、ランク1では人に対して鑑定した場合には相手にバレるけど、物なら関係ないし、ランク1でも自分のモノなら名前程度しか分からない名称鑑定ではなくキッチリ説明文が出てくる鑑定まで出来るしね。
魔物を倒し、薬草類を傷薬草236本、解毒草113本、毒草121本を採取し、薬神の祠から出ると、もう昼過ぎ。
携帯食で簡単な食事をとって、村に向かってまた走り始める。
始めは全員に走ってもらったが、元のステータスが低いからなのか、ラファエラ以外の3人が遅れ始めたので、結局3人を背負って走ってもらった。
「いや~。やっぱり、若いもんにはかなわないね」とフレデリカさんが自虐するけど。
「それも有るのかもしれないけど、元のステータスが違うのかな」と、ニーナさんは真実に気が付いているようだ。
でも、それだけでもないので、説明しておく。
「そうですね。職業やレベルで強化されるステータスは、初心者レベル1の時のステータスを元に強化されて行きますから、結構個人差があるんですよ。
まあ、皆さんも着ている服とか履いている靴を変えれば、もっと速く長く走れそうですけどね。
それに、耐久も以前に比べ2.5倍程度に強化されていますから、背中で揺られても乗り物酔いもし辛くなっていますから、帰りは早く着けそうですよ」
「靴と服か。私らと違って、ラファエラはきっちり冒険者風の服装と装備だったね」とフレデリカさんはその点に気が付いたようだ。
「はい。母が薬草の採取に行っていた時の装備なんですよ。これ」とラファエラが説明している。
「なるほどね。しかし、正直、走ってみてビックリだよ。基本職になったって周りを見下し始めた連中の気持ちも少しはわかるかな」と、シーリスさんがしみじみと言う感じで皆に言うと。
「ああ。若かったら一旗揚げる為に村から出て行くって気持ちになったかもね。娘が来たいって言っていたんだけど、私が来て正解だ」と、村長の奥さんのフレデリカさんも強くなった実感と、それで傲慢になりそうな自分について自虐している。
「まあ、ちゃんと冒険者ギルドへ依頼をして希望者を神像の祠巡りでなれる3級職か5級職に就かせた方が良いとは思いますけどね。魔王の狂乱なんてはじまりましたから」と村の為にした方が良いのでは、と思う事をフレデリカさんに提案してみる。
「難しい処だね。でも、村の人達を出来るだけ死なせたくなければそうするしかないのか」
「戦闘職でない3級職や5級職で、どれだけ生き残れるのかというのは分からないですけどね」
「でも、これなら息子と娘を抱えて隣町まで走れるよ」と、シーリスさんの実感のこもった発言だ。
「魔法薬師と言った5級職になれば今の俺達より早く走れると思いますよ。まあ、経験値が2500万とかひつようになりますけど。
後は、年長の子供の才能を確かめて初心者職から卒業させるとかかな」
「まあ、村に帰ったら旦那と話してみるよ」
休憩では、そんな会話をして、夕方までにヌスト村に帰る事が出来た。
村に入ると宿屋のシーリスさんと雑貨屋のリーナさんは、俺達にお礼を言ってそれぞれの家に。
俺は、ラファエラとフレデリカさんに付き添って、村長の家にいるラファエラのおばあさんの所へ。
2人が、おばあさんに対し薬学スキルの限定鑑定をすると俺の見立てと同じになったようだ。
ラファエラは、俺の前に来て「エリクサーを御願いします」と頭を下げて来た。
なので、魔法薬学スキルに教わった通り、エリクサーⅡを一本渡した。
これで、仲間勧誘イベントが上手く行ってくれると良いんだけど。
ラファエラの仲間勧誘イベントは、いよいよ大詰めの様です。
ゲームの通りになってくれるのでしょうか。




