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異世界とゲームは違う様です。~やり込んだゲームに似た異世界で生き残りたいのだけど、ゲームと違う事が多過ぎて困っています~  作者: 下見野大
第4章 4人目の仲間編

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第152話 不審者

 主人公は、仲間を増やす為のイベントは開始する様です。

 でも、ゲームとは違う点があるようで。

 人柄がよく、能力が高く、好みのタイプ。


 だから、ゲームでは数えきれない程の回数、仲間にした犬人族の女性。


 その彼女がゲーム同様に「冒険者さんですか? 依頼をしたいのですが」と声をかけて来たので「君の全てが欲しい。それで良いのなら」と返事を返すと、不審者を見る目で見られてしまった。


 いや。


 だって、それが好感度と相性が高くなる返事だったのに。


 ゲームの流れに即してと思っただけなんだけど、ゲームでの会話って省略されている感じだったから、俺がその行間を補間出来なかったと言う事なのかな。


 まあ、冷静に考えると、はじめて会う人に言うような事じゃないけどさ。


 ゲームの時は深く考えずに『ハッキリ好意を伝えてくれた主人公に好意を持ったのか』なんて勝手に思っていたんだけど、好意って感じの発言じゃないか。


 そう思っていると、マドリーンからのツッコミが入り、それで彼女も少し落ち着いた様で更に話しかけて来た。


 「私の祖母の体調が悪く、それを治療したいんです。

  それに、この村は赤ん坊や老人が気付かないうちに毒状態になり死にそうになる事があって、それが原因で他の市町村に移住する人が増えて困っているんです。

  それを何とかしたいと思っているんですけど……」


 「その理由は解っているの?」と、これもゲームの通りに聞くと、首を横に振る。


 ならば、とゲーム通りに今吹いている風を感じているふりをしてからゲームの通りに発言しようと思ったんだけど。


 ああ。


 空気に対し詳細鑑定か解析鑑定をすれば良いのか。


 それとも薬学か魔法薬学スキルに聞けばいいのか。


 そう思ったので、一応すべて実行してスキルからの情報も得てから発言を始める。


 「この風に含まれている僅かな毒素。ポイズンモスかポイズンバタフライが原因かな。

  この東の森に群生地体とかがあるんじゃない」


 「確かに、多くが確認されていますが」


 「蛾や蝶の魔物の鱗粉に毒が含まれているんだ。

  それが、人の目に確認できない程度に、直ぐに毒状態にならない程度に、人に害を与えているんだろう」


 「そ、そんな」


 「だから、その前提でこちらも薄めの毒治療薬や毒消し薬を造って、定期的に飲ませれば良い。

  老人ならそのまま。

  赤ん坊なら、母親の母乳を通じてか離乳食に入れてかな」


 そう言うとゲームでは『具体的には何をしてもらえるのでしょうか?』って会話になる筈なんだけど、そうはならずに「それで皆は救われるんですね」と嬉しそうに言われてしまった。


 なので「いや。既に解毒の為の臓器が毒により傷んでいる人には、その臓器の再生の為のエリクサーが必要になるね」とちゃんと状況を伝える。


 「そ。そんな」


 「俺達はそれなりに持っているから、君次第だよ」と犬人族の女性に言ってしまう。


 すると「私は、ラファエラと言います。わ、私が貴方の求めに応じれば、祖母は救ってもらえるんですよね」と必死な感じで言われてしまった。


 その姿に、なんか申し訳ない気持ちになって「いや。う~ん。まあ、求めに応じなくても、それなりの物をもらえれば、エリクサーを譲るけどね」と言うと混乱し始めたようだ。


 うん。


 俺の主張が一貫していないもんね。


 ゲームならこの選択で相性が『グッド』になるし、最初の好感度も『良い』状態で仲間になったんだけど、ゲームと同じになりそうにないじゃん。


 そう不安になったので、今更ながらフォローの発言をしておく。


 「え~と。無理やりにではなく、君の意思で俺のモノになって欲しいんだ。

  それがダメなら、普通に対価をもらって助けるから、君次第って事でもあるんだけど」


 「その……。具体的には何をしてもらえるんでしょうか?」


 おっ。


 またゲームと同じ会話内容に戻ったと、思い出しながら会話を始める。


 「と言うか、この村に薬師は居ないの?」


 「はい。私の母が薬師だったんですが、魔物に襲われて」


 「なら、最低でも薬師を召還すべきだね」


 「……、ドンドン人が減っているので、そんな予算が無いと言われると思います」


 「なら、この村から北に行くと、薬神の祠があるでしょ。

  そこに、最大4人を連れて行って、薬学の才能を得てもらう。

  それで、最低限のレベル上げをしてあげて、薬学スキルによる簡易鑑定や毒に対する薬の作成が出来る人を育てるって依頼になるかな。

  後は、まあ、俺が持っているエリクサーを必要な人に飲ませて、既に悪くなっている解毒をしてくれる臓器の再生かな」


 そこまで細かくすべき事を言うと「そうすれば、祖母も治るんですね」と、明るい笑顔で言って来る。


 可愛くて美しい。


 「いや。本人の状況を見た訳じゃないから、絶対とか言えないよ」


 「では、祖母を見てください」


 「いいけど」と言うと、「こちらです」と急ぎ村の中心の方へと連れていかれる。


 こんな不審者を。


 ラファエラは必死なんだろうな。

 主人公は、ラファエラを仲間にするイベントを開始したようです。

 既に、ゲームと異世界の現実の違いにより上手く行っていない部分もあるのに、大丈夫なのでしょうか。

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