第148話 酷い顔
主人公は、王都近くのダンジョンのボスを倒し宝箱を全て回収し終えた様です。
リエル王国の王都オーガスト近くの隠されたダンジョン。
そのボスを倒し、全ての宝箱の中身を回収し、残った時間でDランクのマミーやワイトを狩りまくる。
まあ、出発が遅かったし、4人での移動にも時間を使ったので、それ程の数を倒せたわけではないが。
そうしているうちに夕方近くになり、簡易転移で宿を借りている王都の近くに帰る。
簡易転移がバレない様に街道から離れ地形が入り組んだ場所へ転移しているので、帰るのに時間が掛かるけど、まあ、しょうがない。
王都の門をくぐり、宿に帰ると、もう夜だ。
夕食を食堂で食べて、宿の建屋に入り、マドリーンがメルを捕まえて食事を与え、風呂の準備をして風呂に入る。
そして風呂の中で、今後の事を考える。
と言うのも、やっと今就いている4級職の忍びのレベルが39となった。
これが40になるとレベル上限となる。
もっとも、忍びでレベル上限になっても、忍びの上位職の上忍にはなれない。
と言うのも、戦士職と斥候職の複合上位職である狩人職の上位職となるレンジャー職でもレベル上限になる必要があるからだ。
となると、次に就くのはレンジャーで決まりなんだけど、明日からの予定次第で別の職業に就くことになるかもしれないし。
とりあえず、今の調子で頑張っていても数日で4級職でもレベル上限になれると言うのは、明るい展望だ。
その事に少し安心してしまいそうになるが、遠からず勇者候補同士で殺し合いがあるかもしれないと考えると、まだまだだ。
そう気を引き締める為に顔に湯を掛け、気を引き締めた。
風呂から出て居間に行くと、3人とメルが揃っている。
メルは、マドリーンのクッション代わりになっている感じか。
さて、エッチの時間だと思っていると「明日からは、どうする予定なの」とマドリーンが聞いて来る。
「そう言えば、3人は3つ目の素質何にするのか決まったの?」と、俺も逆に質問する。
すると「4つ目の素質を手に入れるのには、神酒が4本も必要なんでしょ。と言う事は、実質最後の強化だから、お風呂でも決まらないって話になったんだよね」とマドリーンが状況を教えてくれる。
「まあ、一生の事だから、慎重にはなるよね」
「うん。3人の内1人は、絶対に斥候職への資質を得るべきだってなっているんだけど」と、マドリーンは困り顔で言ってくる。
「どうして?」
「斥候の能力持っているの、ヨシマサちゃんだけでしょ」と当たり前と言う感じでマドリーンが言ってくる。
「ああ。現状だとそうだね」
「しかも、マサちゃんの話だと、戦士と斥候の複合上位職である狩人とレンジャーになれないと中途半端になるって話だし。
なら、クラリッサちゃんが斥候の素質を得ればと言う話もあるんだけど、戦士と魔法使いでレベル上限になる事で就ける魔法戦士系になるのも魅力があるって話だし。
それなら、私とアリーサが、感知か偽装かどちらかを選択し続ければ、それなりにはなるって話もあるし。
ヨシマサちゃんは、どう思う?」
「う~んと、近日中に仲間に入れようと思っている人が3人いるんだけど、その内の1人は戦士と斥候系の力を持っている。
だから、その人が頼りになる様なら、そこまで斥候に拘らなくても良いのかなとも思うけど」
「そうなの。その人は何時仲間になるの?」と、マドリーンは少し複雑そうな表情で確認してくる。
「仲間にするのに最低2日。長ければ4日くらいかかるかもしれないから、タイミングを計っているんだけど」
「タイミングを計っているの?」と、マドリーンは意味が分からないと言う感じ。
「皆のレベル上げは、一時止まるよね」
「そっか」
「まあ、その過程で薬師への転職条件も得られる筈だから、仲間を一人増やすか。
増えるかどうかは、お告げが正確かどうか次第だけど。
と言う事は、明日は4人で、隣の国で活動だね」
「そっか。それでお願い」と、マドリーンはクラリッサとアリーサの表情も確認し、それで良いかと結論を言ってくれたようだ。
皆との会話を終え、メルに影に入ってもらい、クラリッサを抱き上げて寝室へ。
ふふふ。
今日も、愛させてもらうよ。
まあ、甘えている感じもあるんだけど。
クラリッサをベッドに横たえ、上からキスをする。
先ずは、優しめのキスからだ。
夜着を脱がせながら、愛撫も始めると突然クラリッサが笑いだす。
『エッチ下手ですね』なんて言われたらどうしようと思いつつも、そんな感じじゃなさそうだと「どうしたの?」と素直に聞いてみる。
「そう言えば、私がワイトと剣で戦っている時に、凄い顔をしていたなって」と、クラリッサはまだ笑いをこらえている感じで言ってくる。
「あ~。見ていたんだ」
「はい。無謀なことするなって怒られるかな、と少し不安になったので」とクラリッサは少し申し訳なさそうな感じになった。
「そっか。我慢せず怒れば良かったんだ」
「そんなに心配ですか?」と、クラリッサは何故か嬉しそうに言ってくる。
「心配だよ」
「でも、私達もいつもそんな感じですよ」と俺から目をそらし、複雑そうな表情で言ってくる。
「俺もそう思ったから、黙って見ていたんだけど」
「でも、隠れながら魔物を倒すだけでは強くなれないですもんね」と今度は俺の目を見つめながら言ってくる。
「まあ、レベルは上がるから、スキルは手に入るんだけど」
「そうですね。でも、それだけでは駄目だって、お風呂でマドリーンさんもアリーサさんも言っていましたよ」
「いや。あの二人は近接系をメインとするような鍛え方はしないでしょ」と俺が驚きながら言うと「でも、戦士を取るか斥候を取るかで悩んでいますし」との事だ。
「魔法戦士職とかで得られる魔法が欲しいんじゃないんだ」と俺の認識を言ったのだけど。
「その辺も色々と考えているみたいですよ」と、クラリッサは『心配なんですね』と言う感じで言ってくる。
「そっか。神酒12本ゲットして、3人とも4つの基本職に素質ありの大賢者候補に出来ると良いんだけど」
「後3人、近日中に仲間になるから、無理ですよね。そっか。そうなったら、こう言うのも5日に1回か」
「えっ。ひょっとして足りない」
そうホホをほころばしながら聞くと。
「そうですね。人肌が恋しくなる事も、不安になる事もありますし、横に誰かいてくれると言うのは、やっぱり安心できますから」
そう言うクラリッサは、少し寂しそう。
前言っていた、この世界に一人だけという感覚は、まだ消えていないんだ。
そう言うのは時間をかけて解消していくしかないのかもしれない。
そう思いつつ「ああ。エッチの方じゃないんだ」とクラリッサに甘えてみる。
こういうやり取りも、クラリッサの心の隙間を埋められるかもしれないし、と思いつつ。
すると「そうですね。でも、ヨシマサさんとのエッチも好きですよ」と言って頭を両手で抱えてキスをしてくる。
ああ。
これがあるから、毎日頑張れる。
そろそろ本格的に、遠慮なしにエッチできるかな。
いや。
もう少し我慢しよう。
先の事は分からないけど、今はこれでも十分だ。
独りよがりになって嫌われたくないし、エッチでも愛しているって伝えたいしね。
主人公は、ゲームと同様に同じベッドで寝る事で好感度を上げられているのでしょうか。
まあ、ゲームと全く同じなんて事は無いのでしょうけど。




