第140話 厄介な上位ゴブリン
主人公は、隠されている始まりのダンジョンでは珍しいレベルの上がったゴブリンアサシンと戦う事を決意したようです。
探索スキルの感知で始まりのダンジョン中級の地下三階を調べてみた。
すると、強くなっているゴブリンナイトとゴブリンアサシンが居る。
勇者候補とその仲間及び仲間になる可能性のある人しか入れない始まりのダンジョンでは、基本魔物はLV1の筈なのに。
これは、危険かもしれない。
スキル追加の宝玉の内、剣技2個、土魔法1個、風魔法2個、光魔法1個を使用し、自分を強化する。
所詮、ゴブリンアサシンは所詮Dランクの魔物。
強くなったとしてもCランク程度だろう。
この強化なしでも勝てる程度の魔物の筈だ。
正直、自分でもビビり過ぎと思いながら、戦闘を開始する事にした。
先ずは、隠れている俺を発見できない手前に居るゴブリンナイトとゴブリンアサシンに火槍を打ち込んで戦利品化する。
それを回収しつつ、レベルの上がっている感じのゴブリンナイトとゴブリンアサシンの気配を探っていると、2匹はこちらに向かってきているのだけど、途中でゴブリンアサシンの気配が消えた。
あちゃ~。
レベルが上がって隠れる力が相当強くなっているのか。
俺は聖魔障壁を張り、その外側に風の護りを発生させ、ステータスをあげる聖魔法の聖の祝福、スキルの効果をあげる明鏡止水を使用。
ゴブリンアサシンの奇襲に備えながら、曲がり角から現れたゴブリンナイトに火槍を3発ほど撃ち込むと、剣と盾で火槍3発を撃ち落としやがる。
高いステータスと高ランクの受け流しスキルかよ。
あの動きだと当たる気はしないが更に火槍を6発発生させて撃ち込むと、器用によけながら盾と剣で弾きやがる。
爆裂タイプにするか、と思ったが、ゴブリンナイトが業火の射程に入った。
業火と念じると、炎は見えないが、世界が半透明のオレンジ色に変わる。
これで、と思ってゴブリンナイトを見ると、魔法障壁の様なモノを張って、業火を防いでいる。
魔物側の魔法障壁だと邪魔障壁か暗黒障壁だったか。
魔力魔法を使える魔物なら魔力障壁もあるが、魔法使い系のゴブリンでは無いし多分違うだろう。
ゲームでは、暗黒障壁だと黒っぽい障壁として表示されていたけど、そうは見えないし邪魔障壁かな。
そう言えば、と周りを確認すると、後方に邪魔障壁に守られているゴブリンアサシンが。
見つけた。
そう思い、爆裂火槍を両方に6発ずつ打ち込むが、ゴブリンナイトは邪魔障壁で防ぎ、ゴブリンアサシンは素早い動きで避け、避け切れず命中するはずの爆裂火槍2発も邪魔障壁に防がれる。
厄介だな。
邪魔障壁は、ゴブリンナイトが発生させているのだろう。
なら、まずは奴を倒すべきなんだけど。
目線を外すとゴブリンアサシンがまた見えなくなる可能性があるので、ゴブリンアサシンを正面に捉えながら、感知で把握しているゴブリンナイトに爆裂火槍を更に6発撃ち込むが、全て邪魔障壁に防がれてしまう。
障壁系や壁系の魔法は、その強度を超える攻撃をすれば破壊できるはずだけど。
その破壊を目的とした爆裂タイプの火槍でも、破壊できなかったか。
ふと気になり、表示したままのステータスウィンドウを見ると、MPの残量は思ったよりあるな。
そっか。
魔力操作スキルがランク3になり、俺の周りに満ちている魔素も俺のスキル使用に必要な魔力と出来るんだった。
ダンジョンは魔素が濃いもんな。
まあ、ここはDランク程度の魔物しか湧かないから、それ程魔素が濃い訳では無いだろうけど。
これなら、まだMP回復薬とか飲まないで済むが。
確実に勝つ為の方法は、邪魔障壁によりMPを使わせてMP切れのタイミングでゴブリンナイトを倒す事になるのかな。
そんな風に別の事に意識が行ったからか、気が付いたらゴブリンアサシンが見えなくなっている。
感知からも外れた。
ゴブリンナイトには接近されて、風の護りが剣で攻撃されているし。
邪魔障壁はと意識すると、感知スキルが極小さい範囲だけ守っていて、手とか剣とかが邪魔障壁から出ていると教えて来る。
自分や自分の持ち物を阻害しない設定か。
まあ、確かに障壁は力が一点に集中する武器の攻撃には弱いし、障壁や風の護りを攻撃すればその維持の為に余分にMPを消費するから、それも正解だけど。
と、ゴブリンナイトの方へダッシュし、風の護りと聖魔障壁をぶち当ててみたら、ゴブリンナイトが吹っ飛んだ。
すると、感知スキルがゴブリンナイトの邪魔障壁が消えたと教えて来る。
自分や同じパーティに属する人や物を害しないように設定した障壁系は、その強度が脆くなるんだったな。
攻撃をしたくて、自分で自分の首を絞めたか。
ゴブリンナイトが立ち直る前に、爆裂火槍を発生させて頭部に撃ち込む。
奴は、邪魔障壁を再度張る事は出来ずに頭部を破壊されて、戦利品となった。
それを見ながら、亜空間収納で戦利品を回収し、直後に広範囲に発生させろと指示して発生させた業火を使用。
少し離れていた場所で「ギィィィィ」と叫び声をあげながら焼かれて行くゴブリンアサシン。
直ぐに気持ち悪い声は聞こえなくなり、業火の効果も消えると、戦利品が発生。
はあ。
何とか勝ったけどさ。
想定外の事が多すぎる。
まあ、俺の想定不足なんだろうけど。
魔物が普通に障壁系の魔法を使って来るなんて、ゲームだと殆ど無かった。
いや。
あったか。
ただ、一定のダメージを与えると砕け散る設定だったから、ここまで面倒ではなかったんだよな。
ターン制だったし、先制攻撃をすれば障壁で攻撃を防がれることが無かったのも大きいか。
あんな感じで、こちらの攻撃を防がれるとなると、障壁を破る為にどうするかを考えておくべきか。
そう思いつつ、嫌な焦げた臭いにヘキヘキしながら戦利品となったゴブリンアサシンの魔石を鑑定して見ると、DランクではなくCランクのモノだった。
はあ。
やっぱり、相当強くなっていたのね。
だけど、Cランクの魔物に、ここまで苦戦するのね、と認識を改めつつ少し先にある宝箱へと向かった。
主人公は、強くなっていた上位ゴブリン二匹を倒したようです。




