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異世界とゲームは違う様です。~やり込んだゲームに似た異世界で生き残りたいのだけど、ゲームと違う事が多過ぎて困っています~  作者: 下見野大
第3章 二つ目の致命的な違い編

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第137話 買い物と不安

 主人公は、マドリーン、アリーサ、クラリッサにスキル追加の宝玉を与え強くなってもらいました。

 更に、神酒で3つ目の職業の素質を得てもらいたいと伝えましたが、その辺の選択は難しいようで、先延ばしに。

 マドリーン、アリーサ、クラリッサにそれぞれ必要かなと思うスキル追加の宝玉を使ってもらい、神酒も使って3つ目の基本職の素質を得てもらうつもりだと伝えたけど、どれを選ぶか時間がかかりそうだ。


 基本職4つの素質を得られる神酒。


 これも、厄介な理があるんだよな。


 それは、3つ目の素質までなら一本をそれぞれの神に奉納すればいいのに、4つ目の素質になると、この世界において特別な存在となる為か、4柱の神に捧げる必要があるとかで4本の神酒が必要。


 だから、3つ目の素質が最後の選択になるだろう、と3人とも慎重になっている様だ。


 この大陸の始まりのダンジョンを全て独占すれば、中級までで3本ずつだから、30本。


 上級まで全て独占すれば、全部で60本手に入る。


 だから、3人だけなら4つ目の素質も手に入れて、大賢者候補にする事は可能なんだけど、最終的に何人の仲間が出来るか。


 どれだけの神酒を手に入れられるかは、分からないからな。


 だから、『皆には大賢者候補になってもらうから悩む必要はないよ』とは言えなかった。


 はあ。


 頑張っていれば、何とかなるかもしれないから、頑張ろう。


 そんな事を考えつつ、とりあえず風呂に入る事にする。


 その風呂だけど、俺は女風呂に一緒に入ろうとして怒られてしまった。


 なので「ん~。皆で同じ風呂に入るのも良いと思ったんだけどな」と、風呂上りに居間でくつろぎながら言い訳をする。


 「駄目だよ。夫婦になる迄は」と、マドリーンはそう言う価値観の様だ。


 まあ、エッチは夜の秘め事って感じを維持するには、そう言う方がいいかと、先送りに。



 と言う事で、1人で風呂に入り、皆が風呂から出て来るまで一人の時間が出来たので、メルに影から出て来てもらう。


 3人は、お風呂に一緒に入りたがったようだけど、それをするっと逃げ出して俺の影に入っていたからだ。


 メルを撫でながら、今日手に入れた従魔の卵をどうするか考える事に。


 今いる王都だと、偶に従魔を見かける事がある。


 魔物使いにとってステータスなのか何かは分からないけど、連れて歩いている連中が居るからだ。


 まあ、メルと違って普通の従魔だけどね。


 だから、特別な従魔と気が付かれない限りメルに外に居てもらって良いのだけど、野良の魔物としては存在しないスモールシープだからな。


 特別な従魔しか持っていないスキルも3つも持っているし、と可能な限り影の中に居てもらっているんだけど。


 2匹目、3匹目の卵が手に入った。


 使って良いかどうかだけど。


 ……。


 魔物使いに特別な従魔とバレル可能性や、鑑定持ちに鑑定され特別なスキルを持っているとバレル可能性もある。


 俺が魔物使いになり、スキルのランクを上げて従魔達を進化させられる様になり、見た目と魔物名だけでも一般的な魔物に出来る様になる迄は、卵はそのまま保持しておくか。


 卵って言っても、マジックアイテムで腐ったりはしないし、マジックアイテム扱いなので時間の止まる亜空間収納に入る事は確認してあるから、そちらに入れておけば間違いないだろうし。


 皆に相談すると『可愛いのが欲しい』とか言われそうだから、皆に従魔の卵が使えるかどうかを頼む事もせず、俺一人で決断する事にしたんだけど。


 後で『欲しかったのに』とか怒られるかもな。


 人数分と言うか、余裕をもって皆に渡せる数を確保するまで内緒にしていたとか、とかで良いか。


 考え込んだ俺を不思議そうに見ているメルの頭を撫でながら、従魔の卵2個は、そのまま持っておくことにした。



 風呂を終えて、雑談していたマドリーンとアリーサの手を引いて寝室へ。


 もう、同じ日に同じベッドでする事に、異論は無いようだ。


 鼻歌交じりでベッドへと行き、まずはマドリーンを押し倒す。


 そして、キスをし、肌着を脱がしている途中に思い出す。


 「あ。自分ばっかり話して、何の買い物したのか聞くのを忘れてた」


 そう言うと「今のタイミングなの?」とマドリーンに呆れた感じで言われてしまう。


 「いや。3人での買い物だから、夜着とか下着とか可愛いのとか色っぽいモノに変わるかもって期待していたのに、変わってないからね。それで思い出した」


 「そ。そうなんだ。そんな事ばっかり頭にあるのね」


 「まあ、それは否定しないけど」


 「否定しなさいよ」


 「それで、何を買ったの?」


 「アリーサもクラリッサも不安そうにしていたから、買い物を楽しめる感じじゃなくて……」


 「マドリーンも不安そうにしていたよ」とアリーサが小声で教えてくれる。


 「そ、そんな事ないけどね」とマドリーンは否定しているか、どうも心配していたようだ。


 「まあ、俺なら3人だけで危険かもしれない場所に送り出したり出来ないし、それはそうなのか」


 そう俺が本音を言うと、マドリーンは何故か微妙な笑顔を浮かべながら「食料とか調味料とかを買って、ここに送ってもらう事にしたの。ほら、格納箱スキルを二人も使える様になったし」と、話題をかえて来た。


 「まあ、格納箱スキルは、劣化を止められないけど、日持ちする食料品なら入れて置けるか」


 「うん。まあ、最低限のモノを残して、ヨシマサちゃんの亜空間収納に入れてもらうつもりだけどね」


 「そっか。それで、服とかは買わなかったんだ」


 「服を買うなら防具かなって。結局防具も買わなかったけど」


 「そうなの?」


 「ヨシマサちゃんが防具造れる様になるって言っていたし」


 「ああ。そう言えば、長距離を高速で走る為の靴を造る為に裁縫スキルの宝玉は使わせてもらったから」


 「うん。無事に帰ってくるためなら、全部使ってくれていいから」


 そう言うマドリーンの声は少し震え、目は少し潤んで見える。


 俺が帰ってこない事を想像してしまったようだ。


 俺は、そんなマドリーンの口を塞ぎ、彼女を愛する事にした。


 そして、その次はアリーサだ。


 彼女も不安に思っているのだろう。


 その不安を無くせる日は、いつ来るのだろう。


 俺自身にも不安はあるが、今日、一つの大きな光明は見えた。


 明日もそれを頑張ろう。

 他の勇者候補を有無を言わさず殺す事にためらいのある主人公にとって、生まれた国以外の始まりのダンジョンから強くなれるアイテムを手に入れられる状況は、助かるゲームと異世界の現実との違いの様です。

 ですが、それが主人公達にどういう結末をもたらすのでしょう。

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