第136話 皆の3つ目の職業は
主人公は、今いる大陸の始まりのダンジョンへ行く為に走っています。
状況を確認し、この大陸全ての始まりのダンジョンに行くべきかを判断する為に。
今日は、それを終えて、皆の処に戻ったようです。
4つ目の始まりのダンジョンへ行く為に、ワニス王国へと魔飛行船を使い入国。
頑張って走ったが、始まりの村に辿り着く事は出来ないまま、夜を迎えてしまった。
なので、転移で宿の地下室に帰ると「おかえりなさい。どうだったの?」とマドリーンがすぐに聞いて来る。
と言うか、アリーサもクラリッサも地下室に居る。
「ああ。隣のヨルド王国の始まりのダンジョン初級と中級の宝箱は回収した。で、今はワニス王国を移動中。でも、もう夜だからご飯でも食べるかなって一度帰って来た」
「そっか。なら食事に行きましょう」と、食堂へ。
おすすめメニューのホーンピッグのポークソテー等を食べてから部屋に戻る。
「それで、これからどうするの?」と、マドリーンは待ちきれないと言う感じで聞いて来る。
なので、聖魔障壁を防音の為に張り、メルに影から出て来てもらう。
3人が追いかけて、今日もアリーサが捕まえたので、メルはアリーサに抱え上げられ膝の上で食事を与えられているのを見ながら話し始める。
「今晩中に、ワニス国の始まりのダンジョン近くまで行きたいけど、急ぎ過ぎも良くないかなとも思うから、ここでいったん休んで、早朝から再開かな」
「急がなくていいの?」
「急いだ方が良いだろうね。他の勇者候補と神酒とか各種宝玉とかの取り合いになっているだろうから」
「大丈夫なの?」
「俺以外の勇者候補に与えられたお告げが『生まれた国以外の始まりのダンジョンにも入れる』と言う内容なら、必死で行った方が良いだろうけど、多分そうではないと思う。
だから、俺みたいにお告げでは駄目だったけど一応確認してみよう、なんて人がどれだけいるかだから、微妙なんだよね」
「あ~。急いだ方が良いけど、本当の事は分からないのか」
「そんな感じ。後は、そろそろ勇者候補に出会いそう、と言うのもあるんだけど、その心構えが出来ていないと言うか」
「殺すの?」とマドリーンは眉をひそめながらハッキリと聞いて来る。
「相手次第だよな。問答無用で、こちらに殺意の無い良い人を殺すのには抵抗があるから」
「そう……だよね」
「マドリーン・アリーサ・クラリッサと幸せな家庭を作るんだ~。その為に犠牲になってくれ~。で行っちゃいたい気もするし」
「ヨシマサちゃん。そんな簡単に割り切れないでしょ」とマドリーンは俺の優柔不断さを良く知っている様だ。
「だよね。攻撃されたのを返り討ちにするのが精神衛生上良いんだけど、それはリスクが高すぎるし。まあ、結局、それが出来る程、強くなる事を目指すしかないのかなって。取り返しのつかない事態になりかねないとは思うんだけど」
「その為には、成長の加護の成長か。何倍になったの?」
「16倍だね」
「そっか。3つ目では、あまり増えなかったんだね」
「ああ。だけど、勇者候補を2人倒して奪ったくらいの力になっているから、まあ、ありがたいよ。それに」
そう言って、皆の前にまたスキル追加の宝玉を置く。
「マドリーンには、格納箱スキルと風魔法スキルの宝玉、アリーサには火魔法スキルと生活魔法スキルの宝玉、クラリッサには、火魔法スキルと鑑定スキルの宝玉かな」
「えっ。良いの?」
そう答えるマドリーンとアリーサとクラリッサは少し困った顔でお互いの顔を見合わせているが。
「今日2つの始まりのダンジョンの初級と中級から宝箱を得たからね。これでも先の事を考えて出し渋っているから。
遠慮しないで」
そう言って、エリクサーⅡを3本ずつ3人の前に置いておく。
それでも、まだ戸惑っている感じなので。
「じゃあ、俺は転移魔法スキルの宝玉と、次元魔法スキルの宝玉と、影魔法スキルの宝玉を使わせてもらうよ」と皆の前で宝玉を使うと、流石に遠慮する必要が無いと思った様で、2人とも宝玉を使ってくれた。
でも、クラリッサがまだ躊躇している。
「どうしたの、クラリッサ?」
「……、私は森に属するエルフの家系なので、火魔法と土魔法は苦手としているかもしれないので。勿論、普通に火とかは使えますし、土を耕して畑とかは出来ているので、そうでない可能性もあるんですけど」
「そっか。そう言う属性だったね」とゲームでもそうだったのに忘れていたと反省。
「確か、お告げだと4元素魔法なら風と水が得意だったかな。
どちらが良い? と言うか両方渡しておくか」
「いえ。そんな」
「使ってみて、スキルと会話していて、必要だと思う方を伸ばすので良いと思うよ」
「……、すみません」
「俺らパーティの為にしている事だから」
そう言って、火魔法スキル追加の宝玉を返してもらい、水魔法と風魔法スキル追加の宝玉を渡し、渡した全ての宝玉を使ってもらう。
これで、皆少し強くなったかな、と思っていると。
「そう言えば今使った宝玉での強化で転移魔法は、どうなったの?」とマドリーンが聞いて来る。
「ランク3になり、範囲転移が可能になったね。これで簡易転移のパーティ全体での転移だけでなく、パーティ以外の人も範囲に含めて転移可能になったから、そう言う意味で長距離移動が楽になったね。
まあ、加護の簡易転移に比べるとMPはそれなりに必要だけど」
「そっか。なら仲間の人数が6人を超えても大丈夫なんだね」とマドリーンは正確に状況を告げてくれる。
「そういう事。まあ、まだ仲間を増やす余裕もないし、パーティの最大数を増やせるリーダーの宝玉も遠からず手に入れるつもりではあるけど」
「でも、まずはヨシマサちゃんが強くならないとね」と、何故か嬉しそうにマドリーンは言ってくる。
その言葉に俺だけでなく3人にも強くなってもらわないと、と思ったので「ああ。そう言えば、3人は神酒を使って、何の素質を得るか決めた?」と聞くと「えっ」と、マドリーンとクラリッサの声がかぶる。
アリーサは、驚いてい口を開けた感じになっただけだ。
「あれ。ああ。渡しただけで使えって言ってなかったのか」
「……、本当に良いの?」と、マドリーンは言ってくるけど。
「いや。死なれたくないし」
「自分が死んだ後も、トリプルなら大丈夫とか思ってない」と、マドリーンは鋭い。
「思っているけど、それは回避する為に頑張るけどね」
「……、そうだね。余計な事聞いた」と、マドリーンは自分が言ったのに少し落ち込み気味になる。
なので「それで、どの基本職の素質を得るか決めた?」と話題を変える。
「急に言われても。まあ、皆二択だけどさ」と、マドリーンはアリーサとクラリッサを見て、同じように決まっていない感じと言うのを確認しながら言ってくる。
「時間は掛かりそう?」
「う~ん。近日中の宿題で良いかな?」
「いいよ」と返事をして、メルに影の中に戻ってもらい、風呂の準備に向かった。
主人公達は、順調に強くなっている様です。




