第127話 再びの致命的な違い
主人公は、クラリッサとの関係を少しづつ深めているのでしょうか。
ゲームの様に、同じベッドで寝れば好感度が上がる世界の理なら良いのですが。
そんな事も考えつつ、睡眠スキルにより早起きし、他の国の様子を探りに行くようです。
睡眠スキルにより、まだ暗いうちに目が覚める。
うん。
まだ寝ているクラリッサは美人さんだ。
ゲーム同様、夜一緒のベッドで寝ると好感度が上がると良いんだけど、そんな話を聞いた事ないからな。
普通に考えて、異世界の現実においては、愛し合う事、その前後に色々と話す事で好感度が上がる事だけでなく下がる事もあるだろう。
ゲームみたいにシンプルにはいかないよな。
独りよがりのエッチだと嫌われる気もするし、それでも苦笑しながら愛してもらえる気もするし。
そんな昨日の夜も考えてしまった事を再度考えつつ、クラリッサを起こさない様にベッドから出て出立の準備。
昨日は睡眠不足で行けなかったけど、今日は夜が明けるまで走り、簡易転移及び転移で行ける先を増やす為に。
いや。
それ以外にも目的はある。
今日は、それ以外の目的を果たす為に注意しなければならない場所に行くし、シャキッとしないとな。
そう思いつつ、静かに寝室から出て地下室へ行き、簡易転移により移動した。
今滞在しているルリード王国の西隣のリエル王国。
その国の王都に向かう道を進んでいたんだけど、途中で進路変更して王都には向かわず、ゲームにおける始まりの村の一つへと行くつもりだ。
と言うのも、もし転生者が30名くらいなら61あったスタート地点より数が少ないので、隣の国に転生者である勇者候補が居ないと言う事も考えられるから。
実際、道中に居たリエル王国での仲間にしたいキャラは、未だに誰の仲間にもならず、村に居た。
なら、この国に転生者が居ない可能性は高い、又は俺より成長が遅れていて弱い可能性が高い。
勿論、勇者候補が女性で男性ばかりを仲間にするタイプだったり、勇者候補が男性で男性ばかりを仲間にするタイプだったりすると、彼女を仲間に加えずこの世界で戦うつもりという事もあるから、注意は必要なんだけど。
あの村の男性で仲間になる人の事も、一応軽くチェックしてはいたけど、攻略情報でその名前だけ見たことがあるだけで一度も仲間にした事が無いから、確認しようと思っても村の外からの探索だけで確認する為に必要な知識が無い。
だから、あの村で勇者候補が誰も仲間にしていないと断言できないのが不安なんだよな、と思いつつ、ヌスト村近郊に簡易転移。
気配で、村の様子を探ると、まだ仲間にしたい人は、そのままいるようだ。
ならばと、とりあえず王都方面に走り出し、二つ目の町で2つに分かれる道を王都側ではなく始まりの村へと向かう。
勿論、簡易転移先の指定である場所指定や、転移先の指定である座標刻印をしておいて。
村を一つ越え、次の村が目的のルルメド村だ。
リエル王国でゲームスタートすると、この村から始まる。
なので、今回俺が転生したイーリス村と同様、ゲームでは仲間になる幼馴染キャラが4人用意されていた。
俺は、この国をスタート地点にしてゲームをした事があり、その記憶は他の記憶と異なり不自然なほどはっきりしている。
なので、ゲームと異世界の現実では尺度が違うとかあるんだけど、それでも家の位置が分かるから、感知スキルの探索で気配を探索してみる。
うん。4人ともいそうだな。
まあ、顔と名前を確認してみないと断言は出来ないが。
まだ、出立していないと言う事は、もし転生者が居たとしても始まりのダンジョン中級をクリアできていないのだろう。
そう確認しながら、この国でゲームスタートした時に、プレイヤーの家となる所も感知スキルの探索により気配等を調べてみる。
でも、感知している対象に集中する事により見える薄っすらとした映像には、廃屋っぽい建物しかない。
周りの畑も年単位で放置されている感じだから、ここに転生した人は居なさそうか。
そう確認し、村から見える大きな木へと向かう。
ゲームのスタート地点の村から見える、岩山、大木、崖、小山といった少し目立つ場所に始まりのダンジョンが設置されているのだけど、この国の場合は、大木の根元に始まりのダンジョンの入り口があるから。
入口の近くまで行って、感知スキルで探索するが、世界の理により偽装されていて入り口が分からない。
ゲームでも、こうやって他の国の始まりのダンジョンに入れないか試してみたなと思いつつ、中から人が飛び出して来ても対処できるように、ミスリルの剣を構えゆっくりと近づいて木に触れると、手が通り抜けてしまった。
えっ。
これもゲームと違うんだ。
と言うか、この始まりのダンジョンにある宝箱から色んなものが得られるのだとしたら、ゲームと全然違って来るんだけど。
俺は緊張と興奮で『ドクン、ドクン』と急に聞こえる様になった心臓の音を聞きながらダンジョン入り口の通路を奥に向かう。
そして、簡易転移の位置指定と転移魔法の座標指定をして、この始まりのダンジョンの初級へと向かった。
主人公は、ゲームと異世界の現実での相違点をまた見つけました。
しかも、その違いは主人公及びその仲間達に非常に大きな違いをもたらしそうです。




