第123話 始まりのダンジョン上級、地下二階へ
主人公は、大量の魔物達とマドリーン、アリーサ、クラリッサだけで戦ってもらった様です。
それにより色々と思う事はあったようですが。
料理神の祠で、女性達3人だけで戦ってもらった。
それで、大量の魔物に対する対処法を身に付けてもらうとか、恐怖心をあじわってもらうとか、考えていた通りになった様だ。
ただ、俺の様に戦利品の確保の為に、近くまで引き寄せて魔物を倒す、と言う事は出来なかったけど、まあしょうがない。
そう思いつつ、戦利品の回収を行う。
地上への階段まで侵入して来た魔物の戦利品は、多少回収できた。
しかし、地下一階の入り口あたりについては、ほぼ肉や皮はぐちゃぐちゃで回収できるものは無さそうか。
ホーンチキンの卵やホーンカウの戦利品の牛乳袋は割れて潰れたり、袋が破れて中の牛乳は地面にこぼれたりしている。
匂いが酷い事になりそうだけど、食べている魔物が居るから大丈夫なのかな。
ちなみに、魔石は無かった。
まあ、踏みつけて破壊され空間に満ちる魔素のなって行ったのも多いのかなとも思ったが、魔物は魔石を食らう事でも経験値を得てレベルアップするのだったな。
それが本能にあるのか、魔物達が優先的に食べたとかもあるのだろう。
となると、次ここへ来る人がレベルアップした魔物と戦う事になるのか。
そう気になったので、感知スキルで探索をしてみたのだけど、同ランクの魔物の魔石を食らったからと言って直ぐにレベルアップと言う事はなさそうだ。
ゲームでも人族と魔族は同族殺しでは経験値が得られなかったし、魔物が魔物を殺しても、俺達と比べて1000分の1の経験値しか得られない設定だったけど、魔石を食べた場合も同じなのかな。
まあ、レベルアップした個体もいるのかもしれないが、感知スキルの探索で調べてみた処、今回程度ではそれによって強さが上がって厄介な魔物になっていると言う事は無さそう。
なら、俺達の強化を優先しよう。
そう決めて、皆に「今からでもレベル上げが出来そうなダンジョンに行こうか」と提案する。
すると、3人の了承が得られたので、始まりのダンジョンの上級で戦う為に、パーティで簡易転移をする事にした。
始まりのダンジョン。
その上級の地下1階から2階への階段へと転移。
さて、どちらに行くか。
地下1階は中位のゴブリン達。
地下2階は上位のゴブリン達が居る。
地下1階の探索は終わっているから宝箱は無いかあっても1個とかだろうし、2階へと行きたいところだが、と3人を見ているとマドリーンが「何を考えているの?」と聞いて来る。
「いや。地下1階に行くべきか地下2階に行くべきか、と考えていたんだけど」
「地下一階は、もう全て探索したんだよね」と、マドリーンは何故悩んでいるのかが分からないと言う感じ。
「うん」
「なら地下2階じゃないの?」と、マドリーンは確認してくるが。
「地下二階には、上位ゴブリンが居るから、それなりに危険かも」と、俺の懸念を伝える。
「そうなの?」と、マドリーンには危機感が無いようなので、説明する事にする。
「まあ、一方的に倒せるなら良いんだけど、ゴブリンアサシンとか居るからね。
感知力は高いし、俺らがやっている様に、隠れた状態からの奇襲をしてくる奴だから」
「あ~。それはちょっと危ないのか」と、マドリーンにも俺の懸念は伝わった様だ。
「まあ、様子見で1人で戦っていた時には勝っていたし、その時より能力は上がっているから多分大丈夫なんだろうけど、油断は出来ないって感じか」
そこまで言うと「それでどうするの?」と、マドリーンはあまり心配していない感じに戻る。
あ~
俺が皆に対し過保護なのは、バレているんだろうな。
だけどしょうがないでしょ。
そう思いつつ「注意しながら、地下2階かな。まだ回収していない宝箱も得られるし、職業経験値も数倍得られるし」と提案してみる。
すると、俺が危険なだと言う認識の階層を選んだので、ちょっと怖くなったのか「……、私が大声とか上げなければ良いんだよね」と、マドリーンは過去の失敗を思い出して確認してくる。
「それ以外にも、どんなイレギュラーがあるか分からないからね」
「分かった。注意して行きましょう」とのマドリーンの総括で、地下二階に行く事が決定した。
「始まりのダンジョン上級の地下2階に居るのは、上位ゴブリンと呼ばれている、ゴブリンナイト、ゴブリンアサシン、ゴブリンハイメイジ、ゴブリンハイプーリストだ。
ゴブリンナイトは鎧を着ているから防御力が高く、槍系の攻撃魔法でないと一撃では倒せなかったね。
ゴブリンハイプーリストはいつも瞬殺だから、正直分からない。多分、治療だけでなく仲間のステータスアップとかもしてくるんだろうけど、その前に倒しているから。
ゴブリンハイメイジは、矢系の攻撃魔法を使って来たね。槍系まで使えるかどうかだけど、このダンジョンだと成長した個体が居ないから、使える固体はあまり居ないだろう。まあ、いた場合は聖魔障壁や風の護りを強めって意識して。
で、一番の問題が、ゴブリンアサシン。こいつは、感知力が高いから、俺が攻撃魔法を放つと同時に感知していた。しかも、隠形も使って姿を隠して攻撃してくる」
「じゃあ、ゴブリンアサシンを優先的に攻撃なんだね」と、マドリーンが確認してくる。
「ああ。その上必殺の攻撃で確実に倒さないと、近接戦闘でも素早くて厄介だったかな。毒を吹き掛けて来たり、小刀を投げて来たりとかあったし」
そう説明すると「……、かなり危険なのかな」とアリーサは少し脅えた感じになってしまった。
「そうだね。所詮Dランクと舐めていると、死ぬことになるかな。感知スキルがランク2とか3とかないと、隠形を見破れないし」
「私達だけだと、確実にやられるって事ですね」とクラリッサが確認してくる。
「う~ん。風探知とかとの有利不利は試した事ないからな。でも多分風魔法がランク3とか4あれば、風探知で感知出来るとは思うけど」
「そっか。なら私が試してみるね」とその辺はマドリーンが確認してくれるようだ。
風魔法の風探知魔法とゴブリンアサシンとの相性などの確認はマドリーンに任せる事にして、危険が少しでも少なくなるように、更に注意点を説明する。
「危険を避ける為に隠れた状態からゴブリンアサシンを必ず最優先で倒す、を繰り返していると、隠形で隠れるゴブリンアサシンと会えるチャンスはないかもしれないけど、ここなら大量のゴブリンアサシンが居るから、確認する機会はあるか。だから、油断はしないで。
成長の恩恵の効果を得る為に、出来るだけ俺が倒すからMPの事は気にせず、ずっと風探知をしっぱなしで良いのかな。
ああ。風探知を感知される可能性もあるから、感知範囲は50メートルとかにしてもらっておく必要があるかな」
「そっか。風探知を感知される事があるのか」と、マドリーンはそれは不味いなと言う感じに。
「相当、感知力が高い相手でないと、無いとは思うけどね」
「そこまで注意するんだ」と、マドリーンは俺が心配し過ぎなのか、絶対に必要な事なのかを確認してくる感じ。
「ああ。だから、こういう場所だと感知スキルに探索を気付かれない様にと指示したうえで、感知スキルには偽装スキルの隠形をかけてあるからね」
「……、偽装スキルか」
「まあ、俺が偽装スキルの宝玉を造れる様になったら良いんだけど、あれは原料もなかなか手に入らないからな」
「原料って何なの?」と、マドリーンが興味ありそうに聞いて来るが。
マドリーンは、魔物を一方的に倒す為に偽装スキルが良さそうだと思った様で、スキル追加の宝玉を錬金術スキルで造る時の原材料を聞いてきましたが、まあ簡単に手に入るモノではないでしょう。




