第122話 戦いと不安
主人公は、料理神の祠で戦ってみました。
一人ではMP不足で、祠に居る魔物を全滅させられそうにない。
そう思ったようですが、今から別の場所移動するのもな、と思ったようで、マドリーン達に戦闘を経験させてみるようです。
俺一人で料理神の祠で戦ってみたのだけど、魔物の数からすると、料理神の神像の所まで行く為に魔物達を壊滅させるには、やはりMPが足りない。
まあ、魔法薬とかで回復させつつ戦っても良いんだけど、ゲームと違って魔素から湧いた魔物がエンドレスでやってくるとか有りそうなので、今日料理神の祠で料理士職への転職条件を得るのは諦めた方が良さそうかな。
でも、ここまで来るのに時間もかけたし、マドリーンは戦ってみたいと言う感じがありそうだから、ここでの戦闘も経験してもらうか。
そう思いつつ、新たに戦利品を回収する為に、格納箱で回収した肉等の戦利品を亜空間収納へと移す。
格納箱スキルによる格納可能距離より亜空間収納魔法の収納可能距離が短いから掛かる手間なんだけど、こうなってくると亜空間魔法のランクを上げておきたくなってくるが、亜空間魔法スキルはなかなか手に入るスキルじゃないからな。。
そう思いつつ、整理を終えて皆と食事をしておく。
それで準備完了かな、とマドリーンの方を見ると、頷いて料理神の祠地下一階に入っていく。
俺はとりあえず階段に残り状況を見ていると、マドリーンが空を飛んでいるホーンチキンへと攻撃をし、戦いが始まった。
幸い、近くに居た魔物は、俺が倒した魔物の縄張りに新しく発生した魔物の様で、イレギュラーなモノは居ない。
とは言え、高速で飛びながら突っ込んでくるホーンチキン。
地響きをたてながら突っ込んでくる巨体のホーンピッグ、ファングボア、ホーンブル、ホーンカウに3人は少し脅えている感じ。
マドリーンとアリーサの魔法攻撃は、俺の様に引き付けて倒す様な余裕はないようで、戦利品の回収が不可能になる程の距離で倒している。
まあ、しょうがないよ。
俺も怖かったし。
Fランクの魔物であるホーンピッグ、ホーンチキン、ファングボアについては、マドリーンは水矢で、アリーサが石矢で。
Eランクの魔物であるホーンブルとホーンカウに対しては、マドリーンが水槍で、アリーサが石槍で攻撃すると言うパターンだけど、今の処上手く行っている。
そんな中、階段を上り3人からもホーンチキンからも見えない位置で、パーティメンバーに対しても偽装スキルによる隠形を起動してみる。
これで彼女達も俺を認識できなくなったはず。
と言っても、今は彼女達の意識は魔物に行っているだろうし、集中して魔物に対処している様だし、態々俺を認識できなくなったかどうか確認するのも……。
試しに3人のお尻でも触ってみようかな。
3人のお尻を見つつ、そんな事も考えつつ、彼女達に危険が及ばない様に接近し見守る。
愛する者が真剣な表情で頑張っている。
その姿をじっくり眺めさせてもらうのは、有りだけど。
でも、やっぱり戦利品は回収できなさそうかな。
倒した傍から回収しないと、踏まれたりすると流石に戦利品を保護する膜の様なモノも効果が無くなり、売ったり原材料にしたりが出来なさそうな状態になっているし。
まあ、回収できるのだけ回収するかと、格納箱スキルにより発生させた黒い箱を移動させて、近くで戦利品になったモノを回収していると、少し焦っている感じで周りを確認していたクラリッサが階段に俺が居ない事に気が付いた様だ。
「マサヨシさんが居ませんよ」とクラリッサがマドリーンに声を掛けると、マドリーンも階段の方を確認し、眉をひそめている。
流石に、俺一人で逃げ出したとは思わないだろうし、と戦利品を回収していると、そろそろノーマルの水矢や石矢では仕留めきれない敵が出始め、クラリッサが大剣で叩き切る、と言う魔物が出始める。
クラリッサもマドリーンもアリーサも4級職でそれなりのレベル。
落ち着いて戦えば、と思うが経験のない事をいきなりやらされたのだから、どうしてもミスは出るか。
と言うか、効率が悪くなるのもしょうがないか。
二人ともノーマルの水矢と石矢で仕留められない魔物が増えた事に不安を覚えたのだろう。
全て水槍と石槍で攻撃し始める。
彼女達は感知スキルを持っていないから、レベルの上がった魔物がどれか分からないし。
まあ、その方が確実に倒せるからね。
でも、職業補正により最大MPが多い二人でも、MPが持たないよな。
そう思った処で「ヨシマサちゃん。後退するよ」とマドリーンから声を掛けられたので。
「了解」と隠形を解いて返事をすると「何でそんな処に居るのよ」アリーサとマドリーンの間に居たことを怒られる。
「いや。魔物に見つかった後、パーティ内で1人だけ隠形を使った場合、魔物から隠れられるのか、と言うのを試したんだよね」
「もう。下がるからね」と、少しホッとした感じなのにきつい口調で言われた。
殿をクラリッサに任せてみながら、戦利品を回収しながら、階段へと戻り、さっきと同じ様に隠形を使い、魔物達から逃げる事に成功した。
それにホッとしていると「何しているのよ。不安になるでしょ」とマドリーンが怒ってくるので。
「いや。それも経験させておきたかったし」と言うと、『そうだけどさ』って感じだろうか。
不服そうだ。
その横で「マサヨシ君が戦った時と違って、戦利品はあまり回収できなかったね」とアリーサが戦利品の事を気にしているので。
「まあ、しょうがないよ。と言うか食べきれない程、既に回収しているし。
ダンジョンに残っているのは、魔物達が食べてくれるよね」
「雑食だし、そうだろうね。はあ。そっか。ヨシマサちゃんが居ないとあんなに不安になるのか」とマドリーンが今も不安そうな感じで呟く。
「まあ、その不安が無くなるのは寂しいけど、そう言う事の練習もしておくかってね」
「事前に言っておくのでは効果が薄い、か」と、頭の良いマドリーンは自分で結論に気が付いたようだ。
「そんな感じ」と、その意見を肯定する。
すると「もう」と怒っているが、必要だとも分っている様だ。
しかし、これ程魔物を倒しても、誰もレベルが上がらないとはな。
適正なランクの魔物を倒さないと、4級職のレベル上限であるレベル40になるのは難しそうか。
となると、ここでこのまま戦っても得られるモノは多くないのだけど。
「ちょっと、戦利品を回収してくるね」
そう言って階段とか地下一階の入り口付近に落ちている戦利品の回収に向かった。
主人公は、マドリーン達に戦闘経験を得た貰った様です。
それは、後々必要となってくるのでしょうか。




