第120話 大量の魔物と戦い
主人公は、料理神の祠で魔物を攻撃しました。
それで戦闘開始となるようです。
俺はミスリルの杖Ⅳを持ち、先ずは空を飛んでいるホーンチキンを火矢で狙う。
射程内に居た3匹を狙い撃つと、命中の直後に魔法の射程外に居たホーンチキンが「コワーコココ」と鳴いた。
すると、感知スキルが警鐘を鳴らしてくる。
この料理神の祠の魔物全てが『ここに敵が居る』と認識し、向かって来ると。
念の為に視界の隅に表示してある感知スキルによる3Dマップを大きくして状況を確認すると、こっちに全力で向かって来ているな。
千数百匹が。
まず到着するのは近くに居たホーンチキン達。
空を飛び移動速度が速いので、まずこいつらが大量に向かって来る様だ。
攻撃手段が角で突きさす攻撃と、爪で掴む攻撃と、嘴で突く攻撃だから、こちらに体当たり攻撃をする感じで突っ込んでくる。
ああ。
流石に近づくと翼を広げて減速するのね。
でないと、自分も当たった衝撃で死んじゃうだろうからな。
減速した後、足の爪を突き刺しに来たり、もう一度態勢を立て直して角を突き立てようとしたり、嘴で突いて来ようとするんだ。
そんなホーンチキンに強化していない火矢を大量に発生させ、マルチロックオンして打ち込む。
と言っても、戦利品の回収の為にある程度の近距離で倒しているので、結構怖いかな。
まあ、減速してくれる分、まだマシなんだけど、あれが減速無しでの自爆攻撃だと怖いな。
そう言う個体も居るかもしれないから注意しながらか。
幸い、所詮Eランクの魔物だから俊敏ステータスの差で、十分対処できそうではあるが。
そう思いつつ、他の魔物の対処も行っていく。
近くに居たFランクのファングボア、ホーンピッグには石矢を。
Eランクのホーンブルとホーンカウには強化氷矢を撃ち込んで倒し、動き回って戦利品を回収する。
次々と突っ込んでくるホーンチキン95匹を倒した処で、陸の魔物達の集団が到着し始める。
現在俺の最大MPは、1350。
強化していない矢系攻撃魔法は消費MPが2で、強化していない槍系攻撃魔法は消費MPが6。
また、強化した矢系攻撃魔法は消費MPが4に設定してある。
火矢なら675発。
強化火矢は、337発。
火槍は、225発撃てることになる。
まあ、感知スキルとかが常時MPを消費しているし、MPは時間と共に自然回復するので、この数値通りにはならないが。
出来るだけ多くの魔物を倒す為にノーマルの矢系攻撃魔法で倒そう。
と言う事でFランクのホーンピッグとファングボアはノーマル石矢で、Eランクのホーンブルとホーンカウは強化氷矢で倒す事にしたのだけど。
となると、こういうイレギュラーが居る。
と、強化氷矢で倒し切れなかった為に突っ込んできたホーンブルの突撃を避けて首辺りにミスリルの杖を叩きこんで首の骨を折り倒す。
ミスリルの杖は、杖技スキルの力を使い杖を介して魔法を発生させることにより魔法の威力を少しでも上げる為に装備しているのだけど、Eランク程度なら十分撲殺できる強度がある。
なので、急所を殴って倒したんだけど。
やっぱり、レベルの上がっている個体が居るか。
始まりのダンジョンや隠されたダンジョンは、スタンピートが起こらない事と、もう一つの特徴として、余分な魔物が湧かず魔物同士の縄張り争いが無いと言う特徴がある。
なので、始まりのダンジョンとかに居た魔物は、こちらを見つけるまでボーゼンと突っ立って居たり、座っていたり、半分寝ていたりした。
これに対し、通常のダンジョンは、魔物が魔素の濃さに応じて湧き続けるので、限界までイッパイになりました感じでスタンピートが起こる。
それ以外にも、魔物が発生し、それが別の魔物の縄張りだと、魔物同士が殺し合い、勝った方が経験値を得てレベルアップする、と言う事が起こる。
同族殺しになるから、経験値は俺達の10000分の1しか得られないと言う設定だったけどね。
それでも、結果、気が付いたらFランクの魔物の筈なのにEランクとかDランクの強さになっていると言う事が起こる。
まあ、人族がダンジョンで狩りをして、魔物を間引いていれば、経験値を得て数十回レベルアップしランクが上がったと言った魔物は出ないんだけど。
そして今いる神像の祠系のダンジョンは、魔物が溢れるスタンピートは無いけど、ダンジョン内で魔物同士が殺し合いレベルアップしている事がある、他とは違うタイプのダンジョン。
攻略本だと、神をまつる神像があるのに、スタンピートを起こして市町村を滅ぼすと言うのはあり得ないだろうと言う解釈だったかな。
まあ、ゲームでない異世界の現実だと、どういう理でスタンピートが無いのかは不明だけどね。
神像の祠は、そんなちょっと特殊なダンジョンなのだけど、魔物が大量に襲い掛かって来ている状況では、本来Fランクなのに強くなってEランクやDランクになったのかどうかを調べて魔法を撃ち分ける暇がないと言うか、面倒過ぎる。
なので、杖技スキルを使う事により強化したノーマルの矢系魔法でも倒せない個体が出て来てしまう様だ。
だからと言って、感知スキルと各種攻撃魔法のリンクを指示し、感知スキルがレベルアップしていない個体より強そうに感じた個体全て強化火矢や火槍を使えと指示するとMPが尽きるのは早まる。
矢系攻撃魔法では倒せない、強化矢系攻撃魔法では倒せない、と言う線引きが感知スキルによる感知では、正確に出来る訳じゃないし。
と言う事で、ざっくり矢系魔法と強化した矢系魔法を使い分け、戦利品の回収の為に出来るだけ引き付けて、高速で突っ込んでくるホーンチキン、地吹雪をあげながら突っ込んで来る小型車位あるファングブルやホーンピッグ、小型トラック位あるホーンブル、ホーンカウを倒すのは怖いね。
ゲームでも恐怖は感じたけど、視覚だけでなく匂いや音とか振動とかが恐怖心をあおると言うか、何というか。
幸いなのは、倒した時点で戦利品となり、その戦利品には慣性の法則が適用されない様で、勢いのまま飛んでくることはなく、地面の上に発生してくれる事かな。
そんな処はゲームに似ているなと思うんだけど、発生した戦利品が踏み潰されて、駄目になっていくのはゲームとは違う。
しかし、ゲームと異世界の現実の違いを意識し、魔物によって魔法を使い分けたのは正解だったかな。
ゲームでは思念による魔法スキルへの指示なんて出来なかったけど、火矢にはホーンチキンだけを狙う様に。
石矢には、ファングボアとホーンピッグだけを狙う様に。
強化氷矢には、ファングブルとファングカウだけを狙うように指示してある。
ゲームだと立ち止まった状態から、攻撃のターンが来ると接近してきて攻撃してくるだったけど、異世界の現実だと、そんな訳ないもんね。
しかも、こちらに突っ込んでくるスピードが、それぞれ違うし。
なので、全ての魔物をマルチロックオンして魔法を撃つのだと、近くに居る動きの遅い奴をロックオンして攻撃している間に、素早い奴に接近されると言う事がありそうで。
まあ、俊敏ステータスは今戦っているEランクの魔物より高いので、動きの遅い魔物からロックオンを外して早いモノにロックオンしてから攻撃すると言うのも可能なんだけど、それも面倒だしね。
まあ、そう言うのも練習しておいた方が良いのかもしれないし、マルチロックオン機能に対してスピードが速く俺に近づくのが速いモノから優先してロックオンと指示すれば良いだけの気もしてきたが、今はこれで良い。
しかし、ゲームと違って、膨大な数の戦利品が魔物に踏まれて駄目になっているな。
半自動で行える魔物の討伐より戦利品の回収の方が忙しいくらいだ。
他にもゲームと大きく違うのは、賭けるのも、失うのも、自分の命だし、臨場感がVRゴーグルとはまた違うと言うのもあるな。
だから、正直怖くて逃げ出したいとも思ったけど。
でも、好きな女の前ではカッコつけたいよね。
なんて思いつつ、ミスをしない様に気を付けながら倒し続けるしかなかった。
主人公は、魔法により大量の魔物を倒し続けている様です。
でも、MPが続きそうにありませんが。




