第117話 料理神の祠へと
主人公達は、今日は料理神の祠へと向かっています。
その道行きで、お互いに謝った主人公とマドリーン。
ゲームと異世界の現実との違いから、細かい事に対して配慮が必要で、ゲームの様に順調とは行かない様です。
マドリーンが、ダンジョンのボスの近くで大声をあげてしまった事を謝ってきた。
俺も、ゲームでボスの特徴を知っていたのに、戦う直前までそれを気にしていなかった。
そして、ボスに近づくにつれ、それを思い出したり、ボスの気配にビビッて、皆に俺一人で戦うなんて言うからトラブったんだよな。
次からは、事前にゲームの情報を思い出しつつ、ゲームとの違いに注意しながら、もっと早めに相談しよう。
そんな感じでお互いに謝ると、マドリーンの気配は通常営業に戻った感じに。
その事にホッとしつつ、今日の目的地に向かって走っている。
トーラル市に到着し、門の使用料1日4人分4000GAZUを払い都市に入る。
行くのは冒険者ギルドだ。
近くに神像の祠があるので、ここも王都並みに盛況かとおもったのだけど、冒険者ギルドの大きさに比べ、人の多さはそうでもない。
一通り掲示物を見てから、受付に行き話をする事に。
「料理神の祠で、転職条件を得られないかな、と思って来たんですけど」
そう言うと、よく聞かれる質問なのだろう。
人間族の若い受付嬢は、はきはきと答えてくれる。
「料理神の祠は難易度が高く、通常時はランクB以上のパーティにしか公開されていません」
「勝手に入るとどうなるんです?」
「大量の魔物に虐殺されます」と、受付嬢はニッコリと笑いながら断言してくる。
「はあ。となると、転職条件を得る為の神像への寄進はどうやってするんですか?」
「毎月1日に、Cランク以上のパーティを大量に集め、ツアーを組んで料理神の神像まで行く事になります」
「……、1日か。まだ大分ありますね」
「はい。当日に来て申し込んでも大丈夫ですので、ご検討ください。申し込みの締め切りは朝10時ですので、それまでこのギルドまで来てください」
そう明るい笑顔で言われるが、どうしたものか。
説明を受けた後、朝市で食料を確保しながら都市から外へ出る門へと向かう。
「肉料理が安いですね」と屋台で買った肉串を上品に食べながらクラリッサが話しかけて来る。
「ああ。この近くの料理神の祠は、料理神だからなのか戦利品が肉になる魔物が多いんだよね。ボスからは蜂蜜らしいけど」
「そうなんですか」と、クラリッサが不思議そうに聞いて来る。
「昨日冒険者ギルドで売ったファングブルの買取値段が安かったのは、冒険者ギルドが安く買い取っているからだけでなく、料理神の祠でとれる肉や皮があるからだね。
と言うか、この国全体の肉の値段を下げているって話だったはずだけど」
そうゲームの設定を思い出しながら村長の娘と言う事で経済も多少は詳しそうなマドリーンを見ると「そうらしいよ」との返事。
「俺ら冒険者からすると、買取価格が安くなり過ぎるので、困る部分もあるだろうね。
ある程度の強さが無ければ、危険さと労力に見合わない魔物になってしまうから」
そんな会話をしつつ、目についたお店で食料を確保しつつ都市から出る。
王都に戻る振りをする為に王都側へ少し進み、途中で偽装スキルの隠形をパーティに掛け、余分に買った食料品は劣化の無い亜空間収納へ入れるのも忘れずに行い、皆と料理神の祠へ向かう。
祠の入り口は、今までのダンジョンとは異なり隠されていない。
ここの場合は、巨大な岩山に穴が開いていて、その穴を下って行くと、地下一階への階段があり、それが地下のダンジョンへと続いている。
祠の入り口には簡易な建物が立っていて、ギルドの職員が4人程滞在してダンジョンへ入る人のチェックをしている様だ。
でも、それを無視して中に入る。
「いいのかな」と、アリーサは申し訳なさそうだ。
「一応、料理神の祠の様子を確認しに行こう。魔物を倒して神像まで行けるのなら、行っておきたいし」
「大量の魔物に虐殺されるんでしょ。大丈夫なの?」
そうマドリーンは聞いて来るが、一応と言う感じか。
「入り口付近で戦えば、逃げ出す事は出来るからね」
「逃げ出した私達を追ってスタンピートとか起きない?」
「神像の祠ではスタンピートはおきないんじゃなかったっけ」
「そう言えばそうだったか。入り口の階段に入ってしまえば、大丈夫なのかな?」
「まあ、モンスタートレイン(逃げた人を追いかけて大量の魔物が集まり、それらが集団で移動する事象)は起きるかもしれないし、注意して行こう。と言うか、余裕をもって戦う為に最初は基本俺が倒す。それで倒し切れないとなったら逃げだそう」
「私達は戦わなくて良いの?」と、マドリーンは少し納得できないと言う感じで聞いて来るが。
「切り札と言うか、もしもの時に対処してもらう形かな」
「分かった」と口では言っているが、あまり納得していない感じだけど、現場を見れば納得するだろうと先に進むと地下一階の入り口が見えて来た。
そして、その入り口の所で立ち止まる。
と言うのも、ここは特殊なダンジョン。
実際の状況を見せつつ色々と説明しておいた方がいいだろうから。
主人公は、料理神の祠に到着し、隠れて侵入したようです。
ここは、どんなダンジョンなのでしょうか。




