第115話 遅めの帰還の夜
主人公は、王都近くの隠されたダンジョンを一通りクリアしました。
それで得たスキル追加の宝玉により自分の強化も行いました。
王都近くの隠されたダンジョンをクリアし、戦利品を得て、王都へ帰る事にする。
帰りは、簡易転移で楽をしよう。
そう決めて、ダンジョンに行く途中に行った場所指定へと簡易転移。
夜の暗闇の中を街道へと戻り、売る用の戦利品を1人1つ持って王都へと戻る。
夜の門の使用は、特別な非常口を使うと言う事で、既に払っている門の使用料の他、1人当たり1000GAZUを払い王都の中に入れた。
まあ、簡易転移などで直接借りている宿に戻れば良いんだけど、それもね。
帰り道に冒険者ギルドへと寄る。
夜もやっている受付に行って、持ち帰ったファングボアの肉を4つと皮1枚を買い取ってもらう。
「魔石は、どうされるのですか?」と、態々聞いて来る犬人族の受付嬢。
『何かあるのかな?』と思いつつ「生産する人に直接売るつもりだけど」と言って置く。
すると「皮や肉は、直接売らなくてよろしいのでしょうか?」と、そちらの確認をしてくる。
「ああ。とりあえず、冒険者ランクをFにするのを優先かな」と答えておく。
すると、会話を誘導された様で「はい。でも、Fランクの魔石ならFランクなる為の功績になりますし、魔石はいつも不足しているので良ければ売ってほしいのですが」と言われてしまった。
無視しても良いんだけど会話の流れに従う事にし「そうなの。ならこれかな」と言って、一応用意してあったファングボアの魔石F1個とゴブリンの魔石Fを20個ほどをバッグから出す。
すると「4人で功績をわけますか?」と聞いて来るので「4人均等で」と頼んで、4人のギルド証とあわせて提出する。
「ファングボアの肉が足1本分で1000GAZU、ファングボアの皮一頭分が2000GAZU、魔石はFランクだと全て100GAZUですから、全部で8100GAZUです」
そう計算用紙の計算結果を読み上げた後に渡された通貨を受け取り、ギルド証の番号と今回の功績を帳面に記載後に返してもらったギルド証を懐に入れて、冒険者ギルドから出ようと出口に向かう。
すると、「変わってんな。ダンジョンのある王都で、外で狩りするなんて」
「女に養ってもらって、良いご身分だよ」
「料理神の祠のせいでファングボアの買い取りが安いのを知らないのかよ」
「思っていたより強そうな連中なのか」といった声が聞こえてくる。
冴えない男一人に美女3人だからな。
悪目立ちしているなと思いつつ、無視して宿へと急いだ。
宿と言うか食堂に戻ると、今日はもう食堂は終わったと言われる。
まあ、飲み屋じゃないし、もう夜の10時過ぎているしね。
「わかりました。携帯食があるんで大丈夫です」と言って宿の建物に向かおうとすると、残り物を幾つかくれたのでお礼を言っておく。
借りている部屋に入り、テーブルの上に貰った食事と時間の止まる亜空間収納に入れてあった屋台などでかった串焼きやホットドックやお好み焼きみたいなのを出して、皆で食べる。
すると、しみじみという感じで、クラリッサが話し始める。
「今日一日だけで、こんなに強くなるなんて。本当に勇者候補って規格外なんですね」
「まあね。でも、ここからはDランクの魔物の湧く場所に何日も籠らないと強くなれなさそうだけど」
「それは、そうなんでしょうけど」と、あまり俺の返事に納得していない感じのクラリッサ。
そのクラリッサに代わり「それで、明日はどうするの?」と聞いて来たのはマドリーン。
「料理神の祠かな。先に鍛冶神の祠に行った方が良い気もするけど」
「ああ。難易度が違うんだよね」と、俺の選択の理由をマドリーンが言ってくれる。
「そう。料理神の祠の方はCランク。だけど、鍛冶神の祠の方はDランクだから、間違いなく攻略出来るのは鍛冶神の祠」
「でも、今日Cランクのダンジョンを攻略できたけど」と、アリーサが不思議そうに聞いて来る。
「お告げだと、あそこはちょっとダンジョンの構造が特殊なんだよね。その所為で、難易度が高いんだ」
「そうなの?」と、マドリーンが理解できないと言う感じなので説明を続ける。
「かわりに、一気に売れる戦利品が大量に得られるだろうから、攻略できるのならする価値はあるんだけど。
だから、行ってみて試してみるって感じだね」
「そうなんだ」と言いつつ、マドリーンは理解していない感じ。
細かく説明しても良いんだけど、行ってみる方が間違いないので、細かくは説明せず他の話をする。
「後は、皮や布製品を造れる様になる為に、裁縫神の祠にも行きたいんだよな。あそこはダンジョンの構造のせいで難易度が高いって事も無いし」
「ヨシマサちゃん、裁縫がしたいの?」とマドリーンが不思議そうに聞いて来る。
なので「いや。戦利品の皮を使った防具が造りたいし、装備させたい」と俺の認識をキッチリ伝える。
すると「そっか。ワーウルフとの戦闘で革の防具簡単に壊れていたもんね。でも裁縫士は5級職でしょ」と、マドリーンが一応と言う感じで確認してくる。
まだ、転職のシステムに馴染んでいないんだ、と思いつつ「5級職になったとしてもレベル26になれば転職出来るからね。5級職になるのは問題が無いんだ」と具体的に説明しておく。
それで「そっか。極める必要はないのか」と、マドリーンは納得したようだ。
「まあ、良いモノを造りたいなら極めていく必要はあるけどね」
そう言って食事を終えて、今日も風呂の準備をして、1人男風呂に入った。
今日はもう遅い、と言うか時間的には次の日になってしまった。
まあ、一日で皆のレベル上げと転職を繰り返しながら、地下三階まであるCランクのダンジョンを制覇したからな。
と言う事で、居間にいた3人の内、マドリーンとアリーサの手を引いて寝室へ。
「今日も二人なんだ」とマドリーンが軽く呟くが文句は無さそうかな。
アリーサをベッドの片方に座らせて、反対側に行きマドリーンを押し倒しながらキスをする。
「ちょっと」と寝る前に会話をしたかったのか抗議をしてくるが、キスを求める事は止めない。
下手をすると昼間のポイズンモスの毒とかを試しながら戦ったのとか、1人でボスと戦おうとしたのを怒られる気がするからね。
でも、それは必要ない懸念だったようで、マドリーンは特に怒った様子もない。
それに安心し、一心不乱にキスをしながら夜着を脱がせ、彼女がその気になったら本格的に。
次は、アリーサだ。
アリーサもキスで、と思っていたら「マサヨシ君、無茶をしないで」と先に言われてしまった。
横からも「ほんとよ」って小声が聞こえてくる。
そして「戦う事が、こんなに辛くて怖い事だなんて」という言葉も。
だけど、その言葉を真面に受け止めてしまうと、俺は一人でも、皆と一緒でも戦えなくなりそうだ、とも思ってしまう。
だから、その言葉は聞こえないふりをして、アリーサに応える。
「アリーサ達が居ないときは、あんな戦い方はしなかったと言うか、出来なかったんだけどね。
でも、今ならアリーサとマドリーンが必ず治してくれるでしょ」
そう言ってアリーサの表情を見ると、それはそうだけど、と言った感じだと交流スキルが教えてくれる。
横で寝ているマドリーンも、同じ感じかな。
そんな二人に申し訳ないと思いつつ「先にエリクサーを渡していなかったのは、失敗だったけどね」とお道化ながら、アリーサの唇も塞ぎアリーサを求めさせてもらった。
主人公達は、無事にダンジョンをクリアし、一日を終えられそうです。




