第110話 配慮不足
主人公は王都近くの隠されたダンジョン地下2階で『毒持ちの魔物との戦闘訓練だ』と近接戦闘を行いました。
マドリーンとアリーサは、それが不服な様なのですが。
毒持ちの魔物と近接戦闘の実戦をしてみた地下二階の探索を終え、地下3階へと向かう。
階段を下りながら、亜空間収納に入れてある宝箱からの拾得物を亜空間収納内に入れた時間でソートして一通り確認する。
風魔法、土魔法、槍技、杖技、鑑定、器用向上スキルの宝玉、254221GAZU、魔晶石B6個、ミスリルの大剣Ⅲ、ミスリルの槍Ⅲ、ミスリルの盾Ⅲ、エリクサーⅡ3個だったか。
今回も、当たりだと言う程の宝玉は無かったか。
いや。
器用向上スキルの宝玉は、器用ステータスが偽装スキルに影響するから、ありがたいか。
そんな事も確認しつつ「痛いのもシンドイのも俺なんだし、そんなに怒らなくても良いだろう」と、マドリーンとアリーサに文句を言い返す。
彼女達がずっと怒っているからだ。
「そんな事言って、何であんな自分を傷つけるような事するのよ」とマドリーンは何度も説明しているのに納得してくれない。
「だから、何度も言ったけど、3人にあんな事させる訳にはいかないでしょ」
「ヨシマサちゃんだってダメでしょ」
「いや。試しておかないと分からない事はあるし」
「試す必要なんてないでしょ」と、マドリーンは分ってくれない。
「いや。弱い毒しか持たないポイズンモスで毒持ちに対する戦い方を試しておかないと、後で大変な事になるかもしれないでしょ。
即死させる毒を持つような魔物だっているんだから」
そう言ってもむくれて納得しない。
そして、「毒をワザワザ浴びるなんて……」等とまた文句が始まるんだけど。
「その傷どうするのよ」と毒を浴び続けた為、傷回復魔法を使っても痣になっている俺の皮膚やボロボロの髪の事を聞いて来る。
「ああ。エリクサーで治すよ」
そう言うと「えっ」と3人が声を合わせて驚いている。
「あれ? 宝箱に入っていた薬の一部はエリクサーだって知らなかったっけ?」
「鑑定スキル持ってないもん」と、マドリーンは眉をひそめながら言ってくる。
魔法薬が入っているビンの中身は、HP回復薬とかMP回復薬だとおもっていた様だ。
そう言えば、スキル追加の宝玉じゃない場合は『魔法薬だったか』とか『お金だったか』等と残念そうに呟いただけだったか。
「そっか。名前を読み上げていたのはスキル追加の宝玉だけだったか。
マドリーンは魔法のバッグ持っているんだからエリクサーのランク3くらい渡しておけばよかったな。まあ、魔法のバッグが盗まれる危険性を考えると微妙だけど、心配みたいだから」
そう言ってエリクサーⅠを飲み、顔や皮膚の爛れや喉や目などの異常を治療し、エリクサーⅢの入っているビンを2本ほどマドリーンに渡す。
すると、二人からは怒りの感情が、クラリッサからは心配そうな感情が減ったと感知スキルが感知する。
あ~。
俺の配慮不足か。
どうせ、次の戦いでも毒を浴びるかもしれないから、と治療魔法と洗浄しか使ってなかったから、皮膚とか痣だらけになっていたし髪とかボロボロだったからな。
そう反省し生活魔法の『体処理』で髪型を整えながら、3階へと向かった。
「この階層にボスが居る。後は、この階からDランクの魔物になる。レベルは簡単に上がるだろうけど、それなりに強いだろうから。
確か、居るのはファングアリゲーター、サハギンだったかな。
ファングアリゲーター(牙で武装したワニ)は、皮が硬く防御力が高い。油断していると素早く動いたりするから注意。
サハギンは、体の大まかな形は人族なのに魚の姿をした半魚人だ。このダンジョンの様に水の無い場所だと動きが鈍くそれ程厄介な敵ではないと思う。だけど、水魔法を使ったから注意すべき相手かな」
そうゲームでの設定を思い出しつつ告げると、3人も気を引き締めた感じだが、隠れたまま攻撃するつもりだし、一方的に倒して終わりかも。
まず、ファングアリゲーターに向かう。
まずは、爆裂火矢を撃ち込んだが、多少ダメージを与えた程度。
粘着火矢も試してみたが、燃えている間暴れていただけ。
幸い、攻撃を当てても俺達の事は見つけられない様だから、脳のありそうな部位に高温火槍を打ち込むと、一発で倒せた。
う~ん。
強化火槍レベルを打ち込むとなると、MP不足になるかもな。
ならMPを消費しない近接戦闘で倒せるか確かめるべきかと、次はミスリルの槍を装備し、隠形したまま接近して、自動車3台を繋げたくらいの大きさのワニに槍を打ち下ろす。
すると首を8分の1くらい切り裂いたかなと思った処で止まってしまった。
うん。
『全力では無かったし、打ち下ろしを繰り返せばこれはこれで倒せるかもしれないけど、どうしたもんかな』と思っていると突然暴れたファングアリゲーターの尻尾に殴られ吹っ飛ぶ。
壁に激突したが、頭防具と高いステータスのお陰で意識を失わなくて済んだ。
「何しているのよ」と駆け寄ってくる3人から傷治療魔法が飛んでくるが、どうも隠形が解けた様でワニたちが3人目掛けて動き始める。
それに焦りながら高速氷槍を7本発生させ、7匹に撃ち込む。
脳の辺りを氷の槍で突き刺すと、直ぐに戦利品に代わってくれたが。
駆け寄って来た3人に「油断したらダメでしょ」と俺が言うと「ヨシマサちゃんがでしょ」とマドリーンに怒られる。
「俺の場合は、効率の良い戦い方の検証だから」
そう言っても俺の方を睨んでいるマドリーンに、涙目のアリーサに、驚いている感じのクラリッサ。
「はあ」と溜息をついて、傷治療魔法スキルに体に異常がないかを尋ねた。
主人公は、魔物との戦いの検証の為なら、多少傷つく事はしょうがないと思っている様です。
痛みに対する恐怖心とかに、状態異常耐性か精神異常耐性が働きかけているからでしょうか。




