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異世界とゲームは違う様です。~やり込んだゲームに似た異世界で生き残りたいのだけど、ゲームと違う事が多過ぎて困っています~  作者: 下見野大
第2章 3人目の仲間と王都編

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第103話 ゲームメッセージと魔王の狂乱

 主人公の初心者講習での様子は変だったようです。

 それで、何を考えていたのか、幼馴染達に話すように催促されています。

 ゲームでは、主人公が死ぬと『人類の希望は死んだ』『遠からず魔族によって人類は滅ぼされる事になる』とのメッセージが出ていた。


 正直、死なない様にゲームをしていたし、死にそうになったらリセットボタンを押す等していたので、あまり見ていなかったメッセージだし、所詮ゲームでは気にするようなメッセージでは無かったんだけど。


 異世界の現実で、俺が死んだらどうなるのだろう。


 俺達勇者候補達が全滅したらどうなるのだろう。


 勇者候補同士で殺し合って生まれた勇者が死んだらどうなるのだろう。


 ゲームで出たメッセージが、ゲームを盛り上げる為のモノで、異世界の現実とは違うかもしれない。


 魔王の狂乱なんて、過去何回どころか数十回以上、この世界で繰り返し起こって来た事なんだから。


 マドリーンの話だと、過去の魔王の狂乱だと、支配領域が移動しただけらしいし。


 だけど……。


 「何を心配しているの?」と、マドリーンが心配そうに聞いて来るが。


 「……」


 「まさか、私達に言わずに済ませられるなんて思っていないよね」と、怖い笑顔のマドリーン。


 本当に言っていいのか。


 でも、魔王の狂乱についての本を読んでいるのはマドリーンだけ。


 俺も王立図書館に読みに行くべきなんだけど、それに日数を割く時間があるなら今は強くなりたいとも思うし。


 なら、マドリーンの知識に頼るしかないのだけど。


 「早く」


 「実は、お告げでは、今回の魔王の狂乱に負けると人類は滅びるって」


 「えっ」


 「正確には、人類の希望が死ぬと、だけどね。

  とは言っても、お告げの正確性については疑問があるでしょ。

  それに過去何度もあった魔王の狂乱で負けた事もある人族が、今回に限り負けると滅びるって言うのも違和感があるし。

  単純に、勇者候補が逃げない様に追い込むための偽情報って感じもある。

  勇者候補と勇者が全滅しても、人類の希望が死ななければ人類が滅びる事はないとも読めるし。

  だけど、もし勇者候補と勇者の全滅が人類の希望が死ぬと言う事なら、積極的に勇者候補との戦いに挑まなければならない。

  その結果、例え俺が死ぬことになったとしても、それが他の勇者候補の糧になり人族の為になり、皆が生き残れる様になる訳なんだから」


 「そ、そんな」と、マドリーンは想定した話より俺の話が重い感じで驚いている。


 「となると、今の方針である魔王の狂乱を隠れて乗り切ろうと言う方針は取れないし、勇者候補同士の殺し合いを先延ばしにする為に隠れていよう、と言うのは結局戦う事になる他の勇者候補が強くなる時間を与え俺が死ぬ確率が上がる悪手になる可能性がある。

  で、どうしようか、って悩んでいたんだけど」


 「そ、そんな事を冒険者ギルドの講習会の時に考えていたんだ」


 「ふと気が付いてしまってね。魔王の狂乱について書かれていた本には、その辺は記載されていなかった?」


 「ちょっと待って‥‥‥。

  そう言えば、勇者は魔皇帝に負けたが人族は滅びずに済んだって記載はあった。

  勇者が魔皇帝に負けると人族は滅びる可能性があるけど、滅びずに済んだとも読み取れるけど……」


 「勇者の未来視では、勇者が負けると人族は滅びる筈だったが滅びずに済んだと言った記載や、人類の希望が何かと言った記載はなかった?」


 「そんな記載はなかったと思う」


 「まあ、あったとしても俺へのお告げで出て来る『希望』の意味が正確には何を指すのか分からないんだから、考えても無駄か」


 「……、事態は切迫しているのかな」


 そう聞かれても、ゲームでは主人公が死ねば必ず出るメッセージだったけど、ゲームで言う主人公がおそらく数十人いると言う点が違うからな。


 そう思いつつ「分からないよ。お告げ自体が信頼できない部分があるし、希望なんて曖昧な表現だしね」と素直に俺の意見を皆に告げる。


 「そっか。そうだね。それでどうするの?」と、マドリーンは俺の結論を確認してくる。


 「強くなるしかないよね。皆も俺も」


 「そうだね。それしかないか」


 そうマドリーンの返事を聞いて、3人の表情を見ると、クラリッサの表情が苦悶に近い。


 それが気になり「クラリッサ、大丈夫?」と聞くと。


 「私は、勇者候補様や勇者様が村に現れたら、その御世話をする様に。

  そして、勇者候補様に求められたら、その身を捧げる様に言われていたんです。

  私達の為に命がけで戦ってくれる人達だから、当然私達もそれに対してお礼をしなければならないって。

  吟遊詩人の歌に出てくる人に対する憧れもありましたし、人族の為には必要な事だって言われ続けていましたから。

  それが、私が勇者候補様の仲間になれるなんて、って喜んでいる部分もあったんですが……。

  そんなに、甘い話ではないんですね」


 「あ~、あったね」と言うマドリーンと、頷いているアリーサ。


 ……。


 勇者候補には、女性も居るから、男性がお世話とかその身を捧げるとかもある筈だけど。


 そう思いつつ「俺、そんな事言われた事ないけど」と呟くと。


 「よ、ヨシマサちゃんの良さは見た目じゃないから」とマドリーンが少し挙動不審になりながら答えてくれる。


 「あ~、見た目が普通の俺にはそう言う話は来ないのか」


 「わ、私も希望するなら、って感じだったよ」と、マドリーンがフォローしてくれるが、多分全然意味が違うよね。


 「私は強制されるだろうから、逃げたいなら逃がしてやるってお父様が」と言うのはアリーサ。


 「俺の知らない処で、そんな話になっているとは」


 俺は、そう呟く事しか出来なかった。

 主人公は、蚊帳の外に置かれる容姿の様です。

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