第100話 初心者講習
主人公は、冒険者ギルドへ行き、初心者講習を受け始めました。
俺とマドリーンとアリーサとクラリッサ。
全員揃って中央の冒険者ギルドへ。
そこで、ゲームで見た人が居ない事を確認して、初心者講習を受け始めたんだけど。
『フォーチュンブレイブ(希望の勇者)&エビルエンペラー(魔皇帝) ~バトルフレンズ・ワールドストーリー(戦友世界戦記)~』では説明はあまりなかったけど、一言で言うとゲームや異世界モノでもおなじみの形の冒険者ギルドだね。
様々な依頼の仲介を行う。
魔物を倒した後に残る戦利品を買い取る。
その過程で、まあ、手数料とか色々抜いたり、戦利品を安く買った上で他に売って、このギルドが成り立っているとハッキリ言われた。
また、この大陸には、冒険者ギルドがこのギルドしかなく他には商業ギルドとかもあるらしいが、それらとは住み分けをしているそうだ。
そして、個人及びパーティにランク付けして、管理していると言うのも良くある話。
Gランクから、F、E、D、C、B、A、Sまであるのが個人のランク。
パーティだと、更にSSとSSSのランクもあると。
Gランクは有象無象。
正直、冒険者だとはみられないそうだ。
Fランクからちゃんとした冒険者だと思われるし、仕事も増える。
その辺は、依頼の説明でも明らかだったか。
依頼には、護衛依頼、討伐依頼、掃除の依頼、アイテム納品の依頼、依頼者に指定され受ける指定依頼と言った分類の他、常設依頼とそれ以外と言った分類があるらしい。
例えば、魔石とかの買取依頼は常設で、依頼を受けていなくても魔石を持って行けば依頼達成になる。
それに対し、都市の掃除と言った常設以外の依頼は、依頼を受けてから達成しないと依頼達成にならないそうだ。
後は、依頼は個人かパーティのランク以下のモノしか受けられない。
なのに、Gランクの依頼は無く、Gランクの冒険者はランク指定の無い物を受けないと駄目だそうだ。
『Gランクは、冒険者と認めていない』って言っていたのを制度でも表しているのだろう。
後、素行が悪いとランクアップ出来ないとか、依頼に失敗するとランクが下がる事もあるとか、一定期間依頼を受けないとランクが下がると言うのも良くある話かな。
でも、ゲームだとランクが下がるとか無かったけどね。
……、盗賊やイベントで悪人を殺す事はあったけど、善良なNPC(人が操作していないキャラ)は、そもそも攻撃できなかったか。
ゲーム中で人のモノを盗めるのもイベントで必要な時だけだったし、素行が悪いと言うのがゲーム内のPC(プレイヤーキャラクター。人が操作するキャラ)には無かったのか。
一定の期間内に依頼を受けないとランクが下がると言うのは、ゲームでもあっておかしくない仕組みだけど、ゲーム内時間で数日とか数十日ダンジョンに籠る事もあると言うゲームだったから、それも実装されなかったと言う事なのだろうか。
冒険者ランクの為に、いちいちダンジョンの攻略を止めて、薬草納品の依頼を受けるなんて興ざめになるかもしれないし。
……、と言うかこの初心者講習自体がゲームには無かった。
簡単な説明を受付嬢から受けて、その日に冒険者証を受け取り戦いに出て行っていたのに。
う~ん。
ゲームプレイヤーが面倒だと思う部分は、変更されたと言う事なのか。
まあ、真面目に考えても分かりそうにない。
あれ。
そう言えば、プレイヤーキャラである勇者候補や勇者が死ぬと、『人類の希望は死んだ』『遠からず魔族によって人類は滅ぼされる事になる』ってバッドエンディングのメッセージが表示されていた。
それは前世の記憶が戻ると同時に思い出し、ゲームと違って時間経過によるストーリー進行とかがありそうだから、少しでも早く強くならなければならない。
俺と同じ転生者が他にも居るかもしれないから、俺が死んでも人類の希望は死んだことにならないかもしれない。
そんな事は考えたけど。
でも、その後マドリーンから勇者候補は殺し合うって聞いたんだったか。
勇者候補は数十人居るらしいから別に一人の勇者候補や勇者が死んだって希望は残っているのだから人類が滅びるって事にはならないだろう。
となると、その辺はゲームと異世界での現実で違っているだろうと言うのは、多分間違いないだろう。
幾ら何でも勇者候補が数十人いるが、その中の俺が勇者にならなければ人族が滅びるなんて、考えられないし。
まあ、『勇者候補の中でも俺は特別だ』と思うような事でもあれば、その辺は変わってくるのかもしれないけど、そんな事を感じた事は無いし、俺でなければならないなんて、人族が滅びずに済むするハードルが高すぎるから、ありえないだろうし。
なので、俺が死んでも他の勇者候補が生きていれば人族の希望は消えたわけではない。
そう現時点での結論を出した上で、もし勇者や勇者候補が全滅し人類の希望が無くなった事についても考えると……。
勇者や勇者候補が全滅したとして、本当に魔皇帝と魔王といった魔族に人類は滅ぼされるのだろうか?
ゲームだと、どうでもいい事だったけど、ここは異世界の現実。
俺が死んだ後、皆がこの世界で生きている事は当然考えておかなければならないだろう。
勇者候補が死んで灰になった時に、勇者候補の仲間が一緒に灰になるとは言っていなかったし。
だから、俺が死んだ後も、皆には生きていて欲しい。
出来れば、幸せに。
だけど、人族が滅びるのだとしたら、それはあり得ない。
でも……。
魔王の狂乱は120年から300年に一回の周期で起こる。
今までの魔王の狂乱で、人族が負けた事だってある筈だろう。
今までは、滅びなかったのに、今回は滅びるの?
まあ、今回は特別な魔王の狂乱と言う事もあり得るだろうけど。
あれはゲームを盛り上げる演出で、現実ではない事では……。
後は、勇者や勇者候補が全滅しても、人類の希望さえ残っていれば人類は滅びないとも読み取れるんだよな。
『勇者・勇者候補は全滅した』と言った表現では無く『人類の希望』なんて言う、曖昧な表現だから。
でも、事が事だけに、甘く考えて良い事でもない、とも思う。
ゲームではプレイヤーキャラが死んだ時点で、必ず『遠からず魔族によって人類は滅ぼされる事になる』と表示されているし。
でも、ゲームでは勇者・勇者候補は一人だけだった。
……、考えても分からないか。
でも……。
人が滅びるのなら俺達も勇者候補との殺し合いを避ける為に隠れて暮らすのではなく、進んで勇者候補と戦い強くなるか、他の勇者候補に殺されてその勇者候補の糧にならないと駄目なのでは。
皆が幸せに暮らしていくために。
正直、分からないけどさ……。
後で、マドリーンに勇者や勇者候補について書いてあった本の事を聞こう。
俺自身も、王都の図書館に行って、マドリーンの読んだ本とかを読んだ方が良いか。
でも、今はゲームには無かった講習をシッカリ受けないとな。
主人公は、冒険者ギルドの初心者講習を受けている途中に、他の事を考えてしまった様です。
『今更?』と言う事を考え始めた様ですが、今まで余裕が無く深く考えて来なかったのでしょうか。




