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三国志演義

三国志演義・博望坡初陣戦~水魚の交わり~

作者: 霧夜シオン

はじめに:この一連の三国志声劇台本は、

     故・横山光輝先生著 三国志

     故・吉川英治先生著 三国志

     北方健三先生著 三国志

     王欣汰先生著 蒼天航路

     Wikipedia

     各種解説動画

     正史・三国志

     羅貫中著 三国志演義

     の三国志系小説・マンガや各種ゲーム等に加え、

     【作者の想像】

     を加えた台本となっています。

     またこの作品でこのキャラが喋っていた台詞を他のキャラが

     喋っているという事も多々あります。

     なお、人名・地名に漢字がない(UNIコード関連に引っかかっ

     て変換表示できない)場合、誠に遺憾ながらカタカナ表記と

     させていただいております。

     また、役の性別転換は基本的に禁止とさせていただきます。

     名前のない武将たち(例:〇〇軍部将や〇〇軍兵士など)

     が性別不問なのは、過去の歴史においていないわけではない

     、いたかもしれない、という考えに基づくものです。


     ある程度ルビは振っておりますが、一度振ったルビは同じ、

     または他のキャラに同じのが登場しても打っていない場合

     がありますので、注意してください。


     上演の際はしっかり漢字チェックを行い、

     【決してお金の絡まない上演方法】でお願いいたします。


     長くなりましたが、以上の点をご理解いただけた上で

     演じてみたい、と思われた方はぜひやってみていただけれ

     ばと思います。


三国志演義・博望坡初陣戦はくぼうはういじんせん水魚すいぎょの交わり~



作者:霧夜シオン


所要時間:約30分


必要演者数:6~10人

      (6:0)

      (7:1)

      (8:0)

      (8:1)

      (9:0)

      (9:1)

      (10:0)


※これより少なくても一応可能です。時間計測試読の際は人で兼ね役しました。


はじめに:この一連の三国志声劇台本は、

     故・横山光輝先生著 三国志

     故・吉川英治先生著 三国志

     北方健三先生著 三国志

     王欣汰先生著 蒼天航路

     Wikipedia

     各種解説動画

     正史・三国志

     羅貫中著 三国志演義

     の三国志系小説・マンガや各種ゲーム等に加え、

     【作者の想像】

     を加えた台本となっています。

     またこの作品でこのキャラが喋っていた台詞を他のキャラが

     喋っているという事も多々あります。

     なお、人名・地名に漢字がない(UNIコード関連に引っかかっ

     て変換表示できない)場合、誠に遺憾ながらカタカナ表記と

     させていただいております。

     また、役の性別転換は基本的に禁止とさせていただきます。

     名前のない武将たち(例:〇〇軍部将や〇〇軍兵士など)

     が性別不問なのは、過去の歴史においていないわけではない

     、いたかもしれない、という考えに基づくものです。


     ある程度ルビは振っておりますが、一度振ったルビは同じ、

     または他のキャラに同じのが登場しても打っていない場合

     がありますので、注意してください。


     上演の際はしっかり漢字チェックを行い、

     【決してお金の絡まない上演方法】でお願いいたします。


     長くなりましたが、以上の点をご理解いただけた上で

     演じてみたい、と思われた方はぜひやってみていただけれ

     ばと思います。


●登場人物


劉備りゅうび・♂:あざな玄徳げんとく

     中山靖王ちゅうざんせいおう劉勝りゅうしょう末孫まっそんにして漢の景帝けいてい玄孫げんそん

     諸葛亮しょかつりょうと言う傑物を家臣に得るが、未だその勢力は弱い。


諸葛亮しょかつりょう・♂:あざな孔明こうめい

      中国史上屈指の名宰相として名を残しているが、現在は弱小と言って

      いい劉備軍の軍師という位置づけ。

      三顧さんこの礼をもって劉備に仕え、本作では初めての実戦とな

      る。


関羽かんう・♂:あざな雲長うんちょう

     美髯公びぜんこうとあだ名される長いひげの持ち主で、知勇に優れた名将。

     義に厚く、上に不遜で下に慈悲深い。


張飛ちょうひ・♂:あざな翼徳よくとく

     一丈八尺いちじょうはっしゃく蛇矛じゃほこを軽々と振り回す酒を愛する豪傑。劉備りゅうびの義弟。

     酒による失敗も多いが、その武勇は劉備りゅうび軍の中でもトップクラス。


趙雲ちょううん・♂:あざな子龍しりゅう

     関羽かんう張飛ちょうひと並ぶ武勇と胆力の持ち主。袁紹えんしょう公孫瓚こうそんさんを経て劉備りゅうびに仕え

     る。現在では劉備りゅうび軍の武のかなめの一人として活躍している。


夏侯惇かこうとん・♂:あざな元譲げんじょう

      曹操そうそうの旗揚げ時から付き従っている隻眼の将軍。劉備りゅうび

      新野しんやで兵を養っているのを危険視し、曹操そうそうに願い出て十万の軍を率い

      、侵攻する。


于禁うきん・♂:あざな文則ぶんそく

     非常に軍律に厳しい厳格な性格で、曹操そうそう軍初期のころから参画し、着実

     に功績をあげてきた叩き上げの将軍。今回は夏侯惇かこうとんの副将の一人として

     参陣している。


李典りてん・♂:あざな曼成まんせい

     曹操そうそう軍古参の将軍の一人。思慮深く、主に副将の立場にいて、主将の暴

     走を止める役回りが多い。今回は夏侯惇かこうとんの副将の一人として参陣してい

     る。     


曹操そうそう・♂:あざな孟徳もうとく

     漢の相国しょうこく曹参そうしんが末裔を名乗る。人相見に「治世の能臣、乱世の

     姦雄かんゆう」と評された、兵法、政治、果ては詩にまで名を残す“破格の

     英雄”。人材収集癖があり、惚れこむと例え敵でも味方にせずには

     おかない性質。風雲に乗じて漢の皇帝・献帝けんていを擁し、司空しくうの地位に就

     く。自分に刃向かう者を朝敵の名のもとに次々と従わせ、あるいは

     滅ぼしていく。四十代後半~五十代。


徐庶じょしょ・♂:あざな元直げんちょく

     もと劉備りゅうびの軍師だが、曹操そうそうに母親を人質に取られて偽手紙で誘き寄

     せられ、失望した母の自害によってそのまま曹操そうそうに仕えることにな

     る。しかし、決して劉備りゅうびの為にならないような策を献策しないと自

     身に誓っている。


劉備りゅうび軍兵士・♂♀不問:劉備とその家臣たちの配下。


ナレ・♂♀不問:雰囲気を大事に。


※演者数が少ない状態で上演する際は、被らないように兼ね役でお願いしま

 す。


・キャスト例

●演じ分け得意な方向け

劉備・于禁:(25+17)

諸葛亮・徐庶:(22+8)

関羽・ナレ:(26+16)

張飛・李典:(25+17)

趙雲・曹操・劉備軍兵士:(12+14+3)

夏侯惇:(38)


●人数少なめの兼ね役版

劉備:(25)

諸葛亮:(22)

関羽:(26)

張飛:(28)

趙雲・曹操:(12+14)

夏侯惇・劉備軍兵士:(38+3)

于禁・ナレ:(17+16)

李典・徐庶:(17+8)


●台詞バランス型(推奨)

劉備:(25)

諸葛亮:(22)

関羽:(26)

張飛:(28)

趙雲・徐庶:(12+8)

夏侯惇:(38)

于禁:(17)

李典:(17)

曹操・劉備軍兵士:(14+3)

ナレ:(16)



――――――――――――――――――――――――――――――――――


ナレ:諸葛亮しょかつりょうあざな孔明こうめい道号どうごう臥龍がりゅう

   三顧さんこの礼を経て、劉備りゅうびはついに天下の賢人を迎えることに成功する。

   その喜びようは、食事、睡眠を共にし、旗上げ当時から従ってきた者

   達よりも上座かみざえて教えを乞い、そのため陣営の中に面白くない空

   気がかもされてくるほどであった。


張飛:…どうも面白くねえ。


関羽:なんだ、翼徳よくとく

   機嫌が悪いようだが、何かあったのか?


張飛:兄貴が知らないはずはねえ。

   諸葛亮しょかつりょうのことだ。


関羽:ああ…彼が来てからの兄者の行動は、ちと度が過ぎるように思うな。


張飛:だろ?

   今まで生死を共にしてきた家臣達からも不満の声が上がってる。

   このままじゃ皆の心が離れていってしまうぞ。


関羽:うむ、その恐れはある。

   …よし、今から兄者をおいさめしに行こう。


張飛:おう、そうしよう。

   ったく、奴が来てからみんなおかしくなっちまったぜ。


ナレ:二人は連れ立って劉備りゅうびの居間へおもむいた。

   各々、個人的な嫉妬しっともあったのだろうが、それよりも集団としての

   劉備りゅうび軍の崩壊を恐れたのである。


張飛:我が君、少しよろしいでしょうか。


劉備:おお、雲長うんちょう翼徳よくとく、いかがしたのだ?


関羽:…我が君は少し、人にれこみすぎるのではないかと思いまして。


劉備:孔明こうめい軍師のことを言っているのか?


張飛:そうです!

   彼奴きゃつにいったい、どれほどのものがあるって言うんです?

   我らはまだその才能も手柄もまだ見た事がありません!


劉備:いずれわかる。


関羽:しかし…。


劉備:国を造るには、智と勇が無ければならぬ。

   勇はお前達、そして智は孔明こうめいだ。

   どちらが欠けてもならんのだ。

   孔明こうめいという軍師を得た事は、魚が水を得たようなものなのだ。


張飛:ッそ、そこまで…。


劉備:だから、孔明こうめい軍師のことを悪く言わないでやってくれ。


関羽:…致し方ございませぬ。

   我が君にそうまで言われては、我らには返す言葉がありません。

   翼徳よくとく、行こう。


張飛:お、おう…。


   【三拍】


   こりゃ駄目だ。恋のやまいみたいなもんだ。

   今は何を言っても無駄だぞ、兄貴。


関羽:うむ…しかし、このままではいかんな…。


張飛:【唸る】

   ! おい、見ろ、水だ。


関羽:なに、水?


張飛:諸葛亮しょかつりょうだよ!

   ったく、おーおー水が来た、水が流れていきやがる、ってか!


関羽:なるほど、水か。

   確かに、その所作しょさは水のようだ。

   得意だという知略も、そうだといいのだがな。


諸葛亮:……。


ナレ:いっぽう、許昌きょしょうの都。

   一度は劉備りゅうび新野しんやに侵攻し大敗した曹操そうそうだったが、それで南征なんせいの野望がしぼ

   むはずもなく、諸将と連日協議を重ねていた。

   その席上せきじょう夏侯惇かこうとんが発言する。


夏侯惇:現在、新野しんや劉備りゅうび諸葛亮しょかつりょうとかいう者を軍師とし、しきりに兵馬をきたえて

    いるとか。


曹操:うむ、報告によればそのようだな。


夏侯惇:このまま捨て置いては、間違いなく後日の災いになりはしますまいか。


曹操:今のうちに邪魔石じゃまいしを取り除けと申すのか。


夏侯惇:はい。

    じゅんイク殿は諸葛亮しょかつりょう一筋縄ひとすじなわではいかないとおっしゃられていたが、それがしに兵

    をお与えくだされば、必ずや新野しんやを踏み潰してご覧に入れます!


徐庶:お待ちください、夏侯惇かこうとん将軍。

   諸葛亮しょかつりょうは決してあなどれませんぞ。


夏侯惇:むっ、徐庶じょしょか。

    なんじじゅんイク殿と同意見だというのか。


曹操:おお、そちはつい先日まで荊州けいしゅうにおったな。

   いったい諸葛亮しょかつりょうとは、どのような人物なのだ?


徐庶:諸葛亮しょかつりょうあざな孔明こうめい

   道号どうごう臥龍がりゅう先生と称し、かみ天文てんもん、下(しも地理に精通しております。

   また、六韜りくとうをそらんじ三略さんりゃくを胸にたたみ、世の常の兵法家ではないと

   言えましょう。


曹操:そちも我が一族の曹仁そうじんを手玉に取った軍師であった。

   その才を比較してどうか?


徐庶:比べ物になりませぬ。

   彼が夜空に輝く月ならば、それがしは地上を舞っているほたるにすぎないでしょ

   う。


曹操:ぬうう、それほどか。


徐庶:それがしごときでは、とうてい彼には及びませぬ。


夏侯惇:何を馬鹿な! 諸葛亮しょかつりょうも人の子であろう!

    それがしの目から見れば塵芥ちりあくたに等しい。

    しかも実戦の経験すらない、くちばしの黄色いヒヨコではないか!

    司空しくう閣下、迷われることはありませぬ!

    もし諸葛亮しょかつりょうめに敗れたなら、この首を差し出します!


曹操:よし! その意気を買うぞ、夏侯惇かこうとん

   そちに十万の兵を預ける。

   新野しんやへ侵攻し、劉備りゅうびらを滅ぼしてくるがよい!


夏侯惇:ははっ!


曹操:副将ふくしょう李典りてん于禁うきん、配下に韓浩かんこう夏侯蘭かこうらんを付ける。

   ただちに出陣するのだ!


夏侯惇:はっ、吉報きっぽうをお待ちくださいませ!


徐庶:…。

   (愚かな。慢心は破滅の元だぞ、夏侯惇かこうとん殿…。)


ナレ:曹操そうそう出征しゅっせい当日、庁舎の門前で馬にまたがって見送り、夏侯惇かこうとんは意気揚々と

   許昌きょしょうを出陣した。


   【二拍】


   曹操そうそう軍きたる。

   曹操そうそう軍南下す。

   注進の早馬は、次々と新野しんや城の門をくぐった。


劉備軍兵士:ご注進、ご注進!

      我が君、一大事でございます!

      曹操そうそうが再びこの新野しんやに侵攻を開始しました!


劉備:なにッ!

   して、敵軍の編成は?


劉備軍兵士:夏侯惇かこうとんを総大将とし、副将に于禁うきん李典りてん、その数、およそ十万!!


劉備:ご苦労、それと軍師を呼んでくれ。


   …こんな小城では十万の大軍は防ぎきれん。

   雲長うんちょう翼徳よくとく、いかがしたものであろうか。


張飛:いや、実に大変な野火のびですな。


関羽:水を向けて消したらよろしかろうと思います。


劉備:! お前達はまだそのような些末さまつな感情にとらわれているのか。

   智は孔明こうめいに、勇はお前達にくれぐれも頼むぞ、良いか!


関羽:ははっ。

   …翼徳よくとく、行こう。


張飛:おう。

   さて、奴がどうするか見ものだな!


    【三拍】


諸葛亮:お呼びでございますか、我が君。


劉備:おお、軍師。

   曹操そうそうがこの新野しんやへ十万の軍を差し向けたそうだ。


諸葛亮:やはり来ましたか。しかし、ご心配には及びませぬ。

    それよりも、問題は我が軍内部の方にあります。

    おそらく関羽かんう殿、張飛ちょうひ殿の二人が私の命令に従わないでしょう。

    作戦にそむく者がいれば、敗北は必然です。


劉備:実に困ったものだ…どうしたものであろうか?


諸葛亮:恐れながら、我が君の剣といんを私にお貸しください。


劉備:それだけで良いのか?


諸葛亮:はい、諸将をお集め下さい。


ナレ:やがて、招集に応じて集まって来た諸将が左右に居並いならぶ。

   諸葛亮しょかつりょう劉備りゅうびの隣に座っていたが、厳然げんぜんと立ち上がると声を張った。


諸葛亮:すでに皆も聞いていることと思う。

    曹操そうそう夏侯惇かこうとんを大将とし、十万の兵を与えてこの新野しんやに侵攻を開始した。

    戦の勝敗は諸将の働きにかかっている。

    …それではこれより、策を申し渡す!


    この新野しんやより九十里の外にある、博望坡はくぼうはと呼ばれる地を決戦場とする。

    そこは左に予山よざんと称する山と、右に安林あんりんと言う林がある。


趙雲:その地にって戦うのですな?


諸葛亮:うむ。

    まず関羽かんう殿は兵千五百を率い、予山よざんに潜んでいただく。

    曹操そうそう軍が来たら最初はやり過ごし、敵の後陣を叩いてから軍需物資ぐんじゅぶっし兵糧ひょうろう

    に火を放ってもらいたい。


関羽:……は。


諸葛亮:張飛ちょうひ殿も同じく千五百の兵を率いて安林(あんりん

に伏せていただく。

    火の手が上がったら敵の中軍へ突撃し、粉砕していただきたい。


張飛:ッ……。


諸葛亮:また関平かんぺい殿、劉封りゅうほう殿はそれぞれ兵五百を率い、硫黄煙硝いおうえんしょうを携えて博望坡はくぼうは

    両面から敵を火に包んでもらいたい。

    そして、趙雲ちょううん殿!


趙雲:おうっ!


諸葛亮:趙雲ちょううん殿には正面から突撃していただく。


趙雲:おお、先陣ですな!

   腕が鳴ります!


諸葛亮:そうではあるが、個人の戦功はつつしんでもらいたい。

    敵と戦闘を開始したらわざと負けたふりをし、曹操そうそう軍を深く誘い込むのが

    今回の任務であると心得ていただきたい。


趙雲:なるほど、敵の慢心を誘うのですな。

   承知しました。


張飛:いやいや、お指図、いちいちよくわかった。

   ところで、軍師自身はどこで戦われる?


諸葛亮:我が君にも一軍を率いてもらい、曹操そうそう軍を更に油断させるため、敵の正面

    に立ちふさがっていただーー


張飛:【↑の語尾に被せて】

   違うッ!!

   軍師はどこで戦うのかと聞いているのだ!


諸葛亮:私はここにあって新野しんやを守る。


関羽:なに、ここにいて…戦場には出ない、だと…?


張飛:うわっははははははははは!!!


   聞いたか、諸将!

   我が君をはじめ、我々には遠く城を出て戦えと言っておきながら、おのれは

   戦場には出ず、城を守っているという。

   これを笑わずにおれるか! 諸将、笑え!

   はっはははははは!!


諸葛亮:ここに我が君から預けられた剣といんがあるのが見えぬか!

    命令にそむく者は斬る! 

    軍律ぐんりつを乱す者も同様である!!


張飛:なにィ!?

   面白い!幾度となく戦場を駆け抜けたこの張飛ちょうひ様を、なんじのような若造に斬

   れるか!!


劉備:やめよ!! いま内輪うちわもめしている時ではない!


関羽:翼徳よくとく、我が君の剣といんの前で逆らうのは、我が君へ叛逆はんぎゃくするのと同じことに

   なる。


張飛:う、ぬうう…!


関羽:【小声で】

   今回だけは諸葛亮しょかつりょうの計略が当たるかどうか、試みに従ってみようではないか

   。


張飛:ちっ、しょうがねえ…。

   兄貴がそういうのなら試してみるとするか…。


   【諸葛亮へ向かって】

   この計がはずれたら、二度とお前の命令は聞かん!

   …我が隊は安林あんりんへ向けて出陣するぞ!


関羽:我が隊は予山よざんへ向かう!

   では我が君、ただちに作戦に移ります。


劉備:うむ。皆も頼んだぞ!


劉備・ナレ役以外全員:ははっ!【SE代用可】


ナレ:こうして表面上は皆、それぞれの持ち場へ向かっていったが、諸葛亮しょかつりょうの指揮

   を危ぶんでいたのは関羽かんう張飛ちょうひだけではなかった。

   時、建安けんあん十三年の秋、七月。

   曹操そうそう軍の夏侯惇かこうとんは、一路南下いちろなんかしてついに博望坡はくぼうはの手前まで達していた。

   みずからわずかな供を連れて偵察し、敵の陣容を眺めてから帰陣きじんしたが、いきな

   り馬上で笑い出した。


夏侯惇:うわっはははは!! なんだあの貧弱な陣容は!

    徐庶じょしょめが我が君の御前ごぜん諸葛亮しょかつりょうの才知をたたえ、まるで神通力じんつうりきでもあるかの

    ような事を言っておったが、あれでは羊をけしかけて狼と戦わせるような

    ものではないか!


于禁:将軍…確かにそうかもしれませんが、油断は禁物でございますぞ。


李典:そうです。

   司空しくう閣下の戦いを常に間近まぢかでご覧なされてきた、将軍らしからぬお言葉かと

   存じます。


夏侯惇:わかっておる!

    だがこのぶんでは彼奴きゃつらを踏みつぶすのも、さほど時間はかかるまい。

    出陣だ!


    【二拍】

    

    一気に突きくずせーーーッッ!!


夏侯惇・趙雲役以外全員:【喚声・SE代用可】


劉備軍兵士:ちょ、趙雲ちょううん将軍!

      曹操そうそう軍が現れました!

      こちらに向けて突撃してきます!


趙雲:来たか…よしっ。

   我らの任は曹操そうそう軍を深く誘い込む事だ!

   適当に戦い、わざと劣勢なふりをして退却するのだ!

   行くぞ!


趙雲・夏侯惇役以外全員:【喚声・SE代用可】


夏侯惇:劉備りゅうび軍の雑魚ざこ共に、いくさというものを教えてくれるわ!!

    そこにいるのは敵将と見た!

    夏侯元譲かこうげんじょうこれにあり、その首をおいて行けィ!!


趙雲:何をッ!

   この常山じょうざん趙子龍ちょうしりゅうの槍が受けられるか!


夏侯惇:ははは、なんじ趙雲ちょううんか!

    威勢だけは一人前だが、それで討てるとでも思っているのか!

    そりゃあああッ!!


趙雲:ッぬう! やるな!

   ならばこれはどうだ!!


夏侯惇:はッ! なんだそのへなへな槍は!!

    槍の使い方を冥土の土産みやげに教えてくれるわ!!

    おおぉぉおおぅぅッッ!!


趙雲:ぐううッ! さすがは夏侯惇かこうとん、手ごわい…!

   勝負はあずけた!!

   はッ!


夏侯惇:おおっ、逃げるか!

    口ほどもない奴め!!

    その首を置いて行けィ!!


ナレ:十数合じゅうすうごう打っては逃げ、打っては逃げ。

   趙雲ちょううんはわざと挑発しながら夏侯惇かこうとんの慢心をあおっていく。

   そしていつか、博望坡はくぼうはの地を踏みかけていた。


夏侯惇:待てィ、腰抜けめ!!

    また逃げるか!

    恥を忘れたな!?


于禁:お待ちを、将軍!


夏侯惇:何だッ、于禁うきん

    邪魔をするな!

    趙雲ちょううんが逃げてしまうではないか!


于禁:いえ、どうも怪しいです!

   戦っては逃げ、戦っては逃げている…

   これはおびき寄せようとしているのでは?


夏侯惇:伏兵があるなら蹴散らすまでだ!

    今の我が軍の勢いを止められる者など誰もおらぬわ!


李典:しかし、あまりにもろすぎます!

   ここらでいったん、陣を整えられては…!


李典、劉備役以外全員:【喚声・SE代用可】


劉備:敵は策に落ちたぞ!

   皆、突撃せよ!


夏侯惇:ふん、この伏兵が敵の策と言うものであろう!

    小賢こざかしき虫ケラどもめ!

    それッ、一息に押し潰してやれィ!!


夏侯惇・劉備役以外全員:【喚声・SE代用可】


夏侯惇:劉備りゅうびッ!!

    天下を乱し、曹司空そうしくう閣下を阻まんとする賊将ぞくしょうめ!

    大人しく夏侯元譲かこうげんじょうが槍を受けよ!!


劉備:この圧…さすがは曹操そうそう軍第一の将軍!

   だが、討たれてやるわけにはいかぬ!


趙雲:我が君には指一本触れさせん!

   はああッ!


夏侯惇:どけィ! なんじごときは相手にならぬわ!

    者ども、包囲しろッ!


劉備:くっ…曹操そうそう軍の精鋭め、なんという精強せいきょうさだ…!


趙雲:我が君! これ以上は支えきれませぬ!

   いったん兵を退くべきかと!


劉備:うむ。

   全軍、撤退せよ!!


夏侯惇:おおっ、ネズミの主従が逃げおるわ! 追えッ! 追えぇッ!!

    劉備りゅうびの首をあげた者は、司空しくう閣下に申し上げて莫大ばくだいな恩賞を取らすぞ!

    はげめや、者ども!!


ナレ:劉備りゅうびは一軍を率いて力闘りきとうに努めたが、そこは諸葛亮しょかつりょうの策もあること、防ぎか

   ねたていをなして、趙雲ちょううんと共に退却を始める。

   夏侯惇かこうとんはその勢いのまま進軍し、博望坡はくぼうはの奥深くへとおびき寄せられていった

   。

   一方、後方で軍を率いている于禁うきん李典りてん達は。


李典:おぅーーいッ、于禁うきん! おおぅーーーいッ!!

   待ってくれ!


于禁:!? 李典りてんか、何事だ?


李典:夏侯惇かこうとん将軍はいかがされた?


于禁:気の早い御方おかただ。馬の駆けるに任せて真っ先に進まれた。

   もう我らは二里にりあまりも後ろに置き捨てられている。


李典:危ういぞ、図に乗っては。


于禁:なぜだ?


李典:あまりに猪突猛進すぎる。


于禁:ははは、いくさにならぬほど敵兵力が少なすぎるのだ。

   それに、こう進軍がはかどるのは味方が強いだけでなく、敵がもろすぎるか

   らであろう。なぜそう、びくびくするのだ?


李典:いや、びくびくはせぬが…ふと、兵法へいほうの初歩を思い出してな。


于禁:…どういう事か?


李典:難路なんろを行くにしたがって狭く、山や川があいせまって草木のしげれるは敵に火計

   ありとして備えるべし。

   …それを今、思い出したのだ。


于禁:むうう…そう言われてみれば、この辺りの地形はまさにそれに当たって

   いる…。

   ! いかん! もし、敵に火計の策あらば将軍の御身おんみが危うい!

   李典りてん、お主はここで陣を固め、しばらく四方に備えていてくれ。

   それがしは、将軍に追いついて自重するよう申し上げてくる!


李典:うむ! 取り越し苦労であればよいのだが…。


ナレ:于禁うきんはひたすら馬に鞭打って夏侯惇かこうとんの元へと急いだ。

   一方、夏侯惇かこうとんはというと、逃げた劉備りゅうび達を探していた。


夏侯惇:ちィ! まったく逃げ足の速い奴らよ!

    もうどこにも人影が見えんではないか!

    まぁよい、明日こそ息の根を止めてくれるわ!


于禁:【遠くから】

   将軍ーーーッ!


   【二拍】


   【普通に】

   夏侯惇かこうとん将軍ーーーッ!!


夏侯惇:む? あれは…後方をたばねている于禁うきんではないか。

    なぜここに…?

    どうした、于禁うきん


于禁:はあっ、はあっ、す、少し、進むのを自重していただきたく飛んで参りまし

   た。


夏侯惇:なぜだ。


于禁:はっ、李典りてんが申すには、このような狭い地形で草木がしげっている場合は火計

   に注意するべきと…。


夏侯惇:なに…。

    !ッ! 言われてみればここはその条件に合致がっちしているではないか…!


徐庶:【回想】

   諸葛亮しょかつりょうあざな孔明こうめい道号どうごう臥龍がりゅう先生と称し、かみ天文てんもんしもは地理に精通して

   おります。また、六韜りくとうをそらんじ三略さんりゃくを胸にたたみ、世の常の兵法家ではな

   いと言えましょう…。


夏侯惇:しまった!

    少し深入りした形がある。なぜもっと早く言わなかったのだ!


ナレ:その時、夏侯惇かこうとん総身そうみの毛穴がぞく、とよだつ。

   長い間戦場を往来していただけに、一陣の殺気のようなものを感じ取ったの

   だ。

   馬を立て直している暇もなく、四方の草木にチラチラと火の粉が見え始める

   。


夏侯惇:こ、これは!!


于禁:や、やはり敵に備えが…!

   将軍、急いで退却を!


夏侯惇:う、うむ! 

    退け、退けェッ!!


趙雲:夏侯惇かこうとんはどこにいる!!

   昼の大言壮語たいげんそうごは置き忘れてきたか!

   今こそ趙子龍ちょうしりゅうの本気の槍を馳走ちそうしてやろう!!


夏侯惇:くっ、くそっ、かまうな!

    急いで後方の李典りてんと一体になるのだ!


趙雲:逃がすな!

   追い詰めて敵将の首をあげよ!


ナレ:夏侯惇かこうとん于禁うきんは命からがらその場をのがれると李典りてんの陣へむけて必死に駆けだ

   した。

   一方、天を赤く焦がす炎は後方で陣を固めていた李典りてんの目にも映っていた。


李典:っ! あ、あれは…やはり恐れていた事が…。

   我らは味方の救援に向かう!


   うッッ!!?


李典・関羽役以外:【喚声・SE代用可】


関羽:敵将李典てきしょうりて、よくぞこの場で待っていた!

   いざ、この関雲長かんうんちょう偃月刀えんげつとうにその首を献ぜられよ!


李典:ば、ばかな、ここもすでに包囲されていたのか!?

   いかん、炎が!


関羽:さあ行くぞ!

   一兵いっぺいたりとも逃がすな!


李典:くっ、ここはいったん退いて兵糧ひょうろう輸送隊を守らねば…!

   退け、退くのだ!!


関羽:おおっ、逃げるか李典りてん

   往生際が悪いぞ!!


ナレ:李典りてんは急いで自軍のさらに後方の兵糧ひょうろう輸送隊の方へ向かった。

   兵糧ひょうろうが焼かれれば十万という大軍の死活問題になるからだ。

   だが、辿たどり着いた先で彼が見たのは赤々と燃える炎と、それに飲み込まれ焼

   かれていく、兵糧ひょうろうの山であった。


李典:な、何と言う事だ…ここにも敵の手が…!

   徐庶じょしょが言っていた事は決して誇張こちょうではなかったのか…!


于禁:李典りてん李典りてんーーーーッ!


李典:!? おお、于禁うきん

   それに夏侯惇かこうとん将軍も!

   ご無事でしたか!


夏侯惇:うむ、無事には無事だが…くっ…してやられたわ…!

    兵糧ひょうろうまで焼かれたからには、もうこれ以上戦い続けるのは困難だ。

    許昌きょしょうの都まで撤退するほかあるまい。


于禁:そうですな…うッ!? あ、あれは!


張飛:おうおう、やっと逆賊曹操ぎゃくぞくそうそうの手下どもがここまで逃げのびてきたか!

   待ちかねたぜ!

   さあ、この燕人張飛えんひとちょうひ様が相手してやるぞ!


夏侯惇:い、いかん、これではまともな戦闘にならん。

    退けっ、退けええッ!!


張飛:待て! 一戦いっせんまじえずに逃げる気か! 曹操そうそう軍第一の将の名が聞いてあきれる

   ぞ!


夏侯惇:ぐ、ぐぐぐぬぬ……!


李典:その手には乗らん! さ、将軍!


于禁:くそっ、張飛ちょうひ! この借りはいずれ必ず返す!!


張飛:はっははは! 笑え笑え! 野ネズミがそろって逃げて行くわ!

   はっははははは!!


ナレ:博望坡はくぼうはは一瞬にして阿鼻叫喚あびきょうかんうずと化した。

   夏侯惇かこうとんら諸将は兵糧ひょうろうまで焼き払われたのを見て戦意を完全に喪失。

   みねごしに逃げのびていったが、夏侯蘭かこうらん張飛ちょうひに出会って討ち取られ、

   韓浩かんこうは炎の林に追い込まれて全身大火傷を負ってしまった。

   一夜明けて、火計の後もまだ生々しい博望坡はくぼうは


関羽:…これほど見事に行くとはな。


張飛:死者だけで三万は越えてるぞ。


関羽:このぶんでは、負傷者も数万にのぼるだろうな。


張飛:まず全滅に近い。

   戦利品も莫大ばくだいな数だ。

   これだけでかい勝利を収めたのも、俺達の調練ちょうれんあればこそだな!


関羽:それもあるが…この作戦は諸葛亮しょかつりょうの指揮によるものだから、彼の功績は

   疑うべくもない。


張飛:む、むむむ…計略は図に当たった。

   彼奴きゃつもちょっぴり、味をやりおる。


関羽:む、あれは…。


張飛:諸葛亮しょかつりょう…いや、軍師か。


関羽:軍師、ご報告いたします。

   曹操そうそう軍死者三万、負傷者数万にのぼるものと見られます。

   まず、壊滅と申しても言い過ぎではありますまいかと。


諸葛亮:御苦労でした。

    これも我が君の御徳おんとくと、皆の忠誠なる武勇によるところです。


劉備:みな、よくやってくれた。

   軍師の策と皆の武勇が合わさり、大勝利を収める事が出来た。

   さあ、城へ戻ろう!


ナレ:意気揚々と劉備りゅうび軍は新野しんや城へ引き揚げ、盛大な祝勝の宴が催される。

   その賑やかさは、笑い声が天地にこだまし、月も震えるかと思われた。


関羽:おう翼徳よくとく、飲んでるか?


張飛:おおよ!

   いやあ、こんな愉快な夜はいつ以来かな。


関羽:今夜は遠慮はいらんぞ、どんどんやれ!


張飛:曹操そうそうめ、いつでも相手になってやるぜ!

   わっははははは!!


劉備:軍師、こんな大勝利は久しぶりだ。

   礼を言うぞ。


諸葛亮:いえ、ご安心なさるのはまだ早いです。

    先に曹仁そうじんが、そして今また夏侯惇かこうとんが敗れた以上、

    次は必ず曹操そうそうみずから乗り出してくるでしょう。


劉備:曹操そうそうが…!


諸葛亮:はい、間違いなく攻めて来るでしょう。

    問題はその時です。


劉備:曹操そうそうみずから攻めてくるようでは容易ならん事になる。

   河北かほくゆう袁紹えんしょうでさえ彼に敗れた。

   北方の地を制圧した時の勢いでこの南方に来られたら…。


諸葛亮:この新野しんや城では、ひとたまりもありますまい。


劉備:では、どうすればよいであろうか?


諸葛亮:この荊州けいしゅうしかありませぬ。

    太守たいしゅ劉表りゅうひょうは重病、最近は危篤きとくが続いています。

    ここで我が君が荊州けいしゅうの豊富な軍需物資ぐんじゅぶっしを借りて策を立てれば曹操そうそうと互角に

    戦えましょう。


劉備:そ、それは確かに良い計だが、が家臣共々こんにちあるのは、劉表りゅうひょうのおか

   げだ。

   その恩人が危うい時に付け込んで、国を奪うような事は出来ぬ。


諸葛亮:小さき感情は捨てて、大義に生きねばなりませぬ。

    今、荊州けいしゅうを取っておかねば、後日かならず後悔します。


劉備:だが、義に欠けるような事は出来ぬ。


諸葛亮:では、曹操そうそうの大軍が攻めてきたら何となされます。


劉備:…いかなる災いにあおうとも、恩知らずとののしられるよりはましである。


諸葛亮:…致し方ありませぬな。


ナレ:劉備りゅうびが酔えぬ勝利の美酒を傾けていた頃、許昌きょしょうの都には敗残の夏侯惇かこうとんらが

   帰りついていた。


夏侯惇:…わしを縛れ。


于禁:えっ?


夏侯惇:曹司空そうしくう閣下の兵を預かりながらこんな惨敗ざんぱいを喫したのだ。

    堂々と拝謁はいえつなどできんわ。


李典:わ、わかりました…。


   【二拍】


   これで良いでしょうか?


夏侯惇:うむ。

    夏侯元譲かこうげんじょう司空しくう閣下に恥を忍んでお目通り致します!


曹操:夏侯惇かこうとんか、その姿はどうした。


夏侯惇:はっ…、大口を叩いての大惨敗、司空しくう閣下に会わせる顔もありませぬ。

    どうか、ご存分に成敗せいばい下さいませ。


曹操:負けいくさの詳細は聞いた。

   幼き頃より兵法へいほうを習い、数多くの戦場を駆け抜けた百戦錬磨のなんじが、

   狭き道に火攻めが必ずある事を気付けなかったとはな。


夏侯惇:何を申し上げても、弁解になります。


曹操:【苦笑】

   縄をほどいてやれ。


夏侯惇:えっ…?


曹操:なんじも優れた将だ。

   後日の機会に、今日の恥をそそげ。


夏侯惇:はっ、ははーーーーーッ!!


曹操:よい、下がって疲れを癒せ。

   …徐庶じょしょ


徐庶:はっ。


曹操:出陣前のそちの話、正直言ってもいくぶん身内のひいき目があるのでは

   ないかと疑っておったが…、これほど鮮やかにやられると、認めざるを

   えぬな。


徐庶:はっ。

   決してあなどってよい相手ではございませぬ。


曹操:しかし、諸葛亮しょかつりょうとやら…許せぬ。

   よし、次はみずからが出馬する!

   この機に南方をも手に入れてしまうのだ!


ナレ:その後、諸葛亮しょかつりょう予見よけん通り曹操そうそうは本格的に南方攻略なんぽうこうりゃくの軍をおこす。

   実数じっすう八十万を百万とごうし、かつてない規模の軍を編成したことからも、彼の

   本気がうかがえる。

   対する劉備りゅうびは義理人情にもだえていま荊州けいしゅうを取ることをためらう。

   そうしている間にも刻一刻こくいっこく曹操そうそうの大軍は野を浸し山を覆って迫りくるので

   あった。



END





しょかちゃん…じゃない、三国志演義における諸葛亮の初陣である博望坡の戦いを声劇台本化してみました。

楽しんでいただけたなら幸いです。

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